みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」です。
今回は、山口県の有名建築物15選をご紹介したいと思います。
山口県には、隈研吾や村野藤吾、内藤廣などの有名建築家が設計した作品が数多く点在しています。
本記事では、それら建築物の特徴をわかりやすく解説しているので、是非最後までご覧ください。
では早速本題に入ります。
山口県の有名建築物15選【隈研吾・村野藤吾・内藤廣など】
1.山口情報芸術センター【磯崎新】
山口情報芸術センターは、図書館・展示室・レストランなど複数の機能からなる、山口県山口市に建つ複合施設である。
建築の設計は、日本を代表する建築家「磯崎新」が担当。
磯崎新の建築作品と言えば、代表作の北九州市立美術館やアートプラザなどに象徴される、直線ラインを基本とした幾何学的な造形を想像する人も多いと思うが、本施設ではそのような構成は採用されていない。
周囲の山並みと呼応するかのような滑らかな曲線を持った大屋根。
そして、その大屋根の下に収まるフレキシビリティのある大空間など。
磯崎新のスタイルの変化が伺える作品となっている。
2.秋吉台国際芸術村【磯崎新】

秋吉台国際芸術村は、宿泊所・食堂・スタジオ・コンサートホールなど複数の機能からなる、滞在型芸術文化施設である。
近年、日本が地方を中心に展開している、芸術家が一定期間その土地に滞在しながら作品制作などを行う「アーティスト・イン・レジデンス(滞在型創作活動)」のための施設だ。
建築の設計は、日本を代表する建築家「磯崎新」が担当。
小高い丘に囲まれる豊かな敷地に、コンサートホールなどが入る「本館」と、分棟配置されている「宿泊棟」によって全体が構成され、池やテラスなどの外部空間を織り交ぜながら、自然と一体になった創作空間を作り出している。
3.宇部興産ビル【村野藤吾】

宇部興産ビルは、大手総合化学メーカー宇部興産が建設した、ホテル・オフィス・会議室などからなる複合施設である。
建築は、商業施設の大家として知られる建築家「村野藤吾」が設計を担当。
L字型に建つ高層棟(ホテル・オフィス)と、それに囲まれる低層棟(国際会議場)といった全体構成が特徴的で、低層棟の1階部分には大きなピロティ空間が設けられている。
また、竣工当時このピロティ空間には「大きな噴水」が設置されており、豊かな空間が形成されていたそうだが、現在は駐車場に改築されてしまっている。
5.渡辺翁記念会館【村野藤吾】

渡辺翁記念会館は、宇部市の発展に大きく貢献した実業家「渡辺祐策」の顕彰を目的として、1937年に建設された文化施設である。
設計を務めたのは、昭和期を代表する建築家村野藤吾だ。
村野藤吾は、宇部市で複数の建築作品を手掛けたことで知られているが、その第一作となったのがこの「渡辺翁記念会館」であった。
建築としては、緩やかな曲線を持った平面形態と、外壁の黒褐色タイル張りが象徴的な外観を作り出しており、村野藤吾自身はこの建築を「私の出世作」と語っていたらしい。
6.周南市立徳山駅前図書館【内藤廣】
周南市立徳山駅前図書館は、JR徳山駅に隣接する位置に建てられた、図書館・書店・カフェなどからなる複合施設である。
本施設は、木材を巧みに使用する建築家「内藤廣」が設計を担当。
建築全体は、水平性のあるスタイリッシュな外観となっている一方で、駅前広場に向けて大きく張り出したテラスが、人々の交流やアクティビティを誘発する魅力的な半屋外空間を作り出している。
さらに、そのテラスや内部空間の天井面には、美しい色合いを持ったスギ板が全面的に張られており、内藤廣建築特有の木材に囲まれた温もりのある空間を形成している。
7.山口県立萩美術館・浦上記念館【丹下健三】

山口県立萩美術館・浦上記念館は、萩市出身の実業家「浦上敏朗」のコレクションを基にした浮世絵・東洋陶磁・陶芸などの展示を行うための施設として建設された美術館である。
本施設は、日本建築界の大巨匠「丹下健三」が設計を務めた。
敷地の周辺には、城下町の街並みを保存した歴史的地区が広がっており、丹下健三はこの歴史的景観と調和できる建築を追求して本施設を設計している。
具体的には、萩の歴史的な街並みを象徴づけている「横長の白壁」に注目して、その白壁と共鳴し合うかのような直線ボリュームを組み合わせたかのような美術館を作り出している。
8.山口県立美術館【鬼頭梓】
山口県立美術館は、山口県にゆかりのある作家の作品を中心に収蔵・展示等を行う施設として、山口県山口市に建設された公立美術館である。
本施設は、前川國男事務所に勤務勤務後独立を果たした建築家「鬼頭梓」が設計を担当。
前川國男の弟子と言うだけあって、その設計スタイルはかなり前川國男の影響を受けたものになっているようだ。
特に、前川國男の美術館建築では必ずと言っていいほど使用されていた「赤レンガ風のタイル」。そして、前川國男が常に重視していた人が集まる空間(広場・ロビーなど)の豊かさなどは、前川國男に負けず劣らずの魅力的な空間構成となっている。
9.下関市立しものせき水族館【日本設計】

下関市立しものせき水族館は、フグの取扱量日本一で有名な山口県下関市に建つ水族館である。
フグの聖地に建つ水族館というだけあって、ふぐの展示種数はなんと世界一位を誇る。
建築は、日本の大手組織設計事務所「日本設計」が設計を担当。
施設全体は、スパンが50mにも及ぶシェル構造の大屋根によって覆われているが、この大屋根の形状は「鯨」をモチーフとしており、水族館にふさわしい鯨に覆われた施設となっている。
そんな、軽快なステンレスの大屋根とは対照的に、建物本体の外壁には赤レンガ風のタイルが使用されており、重と軽の対比が魅力的な建築物が作り出されている。
10.House & Restaurant【石上純也】
House & Restaurantはその名の通り「フレンチレストラン」兼「オーナー家族の住宅」として建てられた建築物である。
本施設は、近年注目度が上がっている若手建築家「石上純也」が設計を担当。
建物自体がまるで「自然の洞窟」かのような特異な形態をしており、その建物が大きく開けられた穴の中に埋まるように配置されている。
どのような手順でこの建築が施工されたのかというと、まず地面に穴を掘り、その穴にコンクリートを流す。そして、土の中の躯体を掘り起こし、躯体同士の間にガラスを嵌める。このような手順でこの建築は施工されている。発想がすごい。
それから、元々躯体はコンクリート仕上げにする予定だったそうだが、施工途中に躯体に着いた土をそのまま残して仕上げとする案を思いつき、急遽仕上げを変更したという。
11.中原中也記念館【宮崎浩】
- 設計:宮崎浩/プランツアソシエイツ
- 住所:山口県山口市湯田温泉
- 竣工:1993年
- 用途:博物館
- URL:公式ページ
中原中也記念館は、詩人「中原中也」の顕彰を目的として、中原生誕の地である山口市湯田温泉に建てられた記念館である。
本施設は、槇文彦事務所出身の建築家「宮崎浩」が設計を担当。
建築全体は、曲線と直線を組み合わせたコンクリート躯体が、複雑に絡まり合いながら幾何学的な形態を作り出しており、博物館建築にふさわしい重厚感のある佇まいを生み出している。
また、そのコンクリートの躯体は、建物の内部空間を生み出すためだけではなく、中庭や駐車場、アプローチ空間といった外部要素を規定する役割も果たしている。
12.和木町庁舎【黒川紀章】

和木町庁舎は、土地の半分以上が山地である山口県和木町の庁舎として、1975年に建設された建築物である。
本施設は、建築運動メタボリズムの第一人者として知られる建築家「黒川紀章」が設計を担当。
建築としては、非常に単純明快な構成となっており、箱型のボリュームの中心に「町民広場」と呼ばれる大きな中庭が配置された全体構成になっている。
しかし、このシンプルな構成の中にも、空間をより魅力的なものにするための細かい工夫が行われており、例えば、シンプルな直線の外形とは異なり、中庭の外壁にはわずかな曲線が用いられている。
このわずかな曲線を侮ってはいけない。この曲線によって空間の質がやわらぎ、市民がより居心地がいいと感じる空間を作り出しているのである。
13.下関市川棚温泉交流センター【隈研吾】

下関市川棚温泉交流センターは、山口県下関市にある温泉街「川棚温泉」の活性化を目的として2009年に建設された、ホール・資料館・広場などからなる観光交流施設である。
本施設は、和風建築でおなじみの建築家「隈研吾」が設計を担当。
とはいえこの建築は、一般的に知られている隈研吾の木材を多用したスタイルとはかなり異なる作品になっている。
ご覧の通り、外装に木材は一切使用されておらず、三角形が組み合わされた多面体の壁・屋根によって、内部空間が生み出されているのである。
ちなみに、内側にも基本的に木材は使用されておらず、多面体の形状を反映させた幾何学的な空間が形成されている。木材に頼らず構造で勝負した作品という事だろう。
14.岩国徴古館【佐藤武夫】

岩国徴古館は、太平洋戦争真っただ中の1942年に起工し、終戦直後の1945年に竣工した博物館建築物である。
岩国市の歴史・民俗・芸術に関する資料の収蔵・展示などを行っている。
建築の設計は、岩国中学出身の建築家「佐藤武夫」が担当。
建築全体は、ドイツ古典主義の影響を強く受けたデザインとなっているそうで、建物正面に設けられた列柱からは古典主義の性格を強く感じ取ることができる。
15.火の山展望台【菊竹清訓】※現存せず

- 設計:菊竹清訓
- 住所:山口県下関市みもすそ川町
- 竣工:不明
- 用途:展望台
火の山展望台は、山口県下関市の火の山山頂に2017年まで建っていた展望台である。
残念ながら本施設は、老朽化や耐震性などの問題により解体されてしまった。
本建築の設計者は、黒川紀章らと共にメタボリズム建築を提唱した日本を代表する建築家「菊竹清訓」である。
建築としては、円柱型の下部構造の上に正方形型の展望台が乗っかった全体構成となっており、どことなく菊竹清訓の自邸「スカイハウス」の面影を感じる作品となっている。
この展望台が撤去された跡地には、令和6年に新しい展望デッキが建設される予定となっている。
山口県関連の書籍
今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。