スカイハウスとは?

スカイハウスは、東京都文京区の傾斜地に建つ住宅建築である。
設計を務めたのは、1960年代の建築運動メタボリズムの第一人者として有名な建築家「菊竹清訓」。
コンセプト「代謝する建築」
このコンセプトを基に、人間が新陳代謝によって成長するように、建築も増改築という代謝によって、機能や時代の変化に適応できるようにと考え設計されたのが、このスカイハウスである。
菊竹清訓とは?
- 1928 福岡県に生まれる
- 1950 早稲田大学建築学科入学
- 1950 竹中工務店勤務
- 1952 村野・森建築設計事務所勤務
- 1953 菊竹清訓建築設計事務所設立
- 2011 死去
菊竹清訓は、黒川紀章らと共に「メタボリズム」提唱した建築家の一人である。
代表作としては、「スカイハウス」「江戸東京博物館」「九州国立博物館」などが挙げられる。
また、菊竹独自の設計論を展開している著書『代謝建築論 か・かた・かたち』は、建築界に大きな影響を与えたともいわれている。
建築の特徴
天空に浮かぶ住宅

スカイハウスはその名の通り、天空に浮かぶように建てられている。
これは、敷地が傾斜地であること、さらには4つの壁柱によって一階部分がピロティとなっていることによって、建築が浮いているように見えるのである。
一方で、浮遊感とは対立する重厚感すらも感じられるような両義性がこの建築を一層、魅力的なものにしている。
代謝する建築

人間の新陳代謝のように建築も代謝していくことを目指し、1960年代に流行した建築運動「メタボリズム」。
スカイハウスは、そのメタボリズムの代表作になっている。
一方で、メタボリズムという時代のムーブメントを抜きにしても、それ単体として圧倒的な存在感を示しているのがスカイハウスのすごいところである。
代謝を可能にする構造

建築の代謝(増改築の容易さ)を実現するためにスカイハウスでは、次の三つの構造形式が用いられている。
- HPシェル構造の屋根
- ワッフルスラブ
- 4本の壁柱
これらの住宅建築としては珍しい構造形式を用いることで、構造体を強固なものとし、新たなものを付加できる仕組みを作り出しているのである。
可変性による多様性

前項で説明した強固な独立した構造形式によって、内部空間にはフレキシブルなワンルーム空間が作り出されている。
そのワンルーム空間を季節や家族の変化に合わせて、多様に組み替えられるようにするために、菊竹は「可動式建具」と「ムーブネット」という2つの動くものを設置している。
可動式建具は障子などのことを指し、これによって内外の多様なあり方つくりだす。
一方で、ムーブネットとは菊竹独自の言葉であり、キッチンや浴室といった生活の装置を移動可能にしたものを言い、壁だけにとどまらずあらゆるものを移動可能とすることで、内部空間に極限の多様性をもたらしている。
現在の姿

これが2023年、スカイハウスの現状である。
周辺には高層の建物が多く立ち並び、「スカイハウス」という名前の意味が消えてしまっているものの、70年近く前の建築がこれほど堂々と立っていることに驚かされる。
これも、構造の強さ、形式の強さによる結果であろう。
建築概要
- 所在地:東京都文京区大塚
- 竣工 :1958年
- 用途 :住宅
- 構造 :RC造
- 階数 :地上2階
- 設計 :菊竹清訓+菊竹紀枝
- 施工 :白石建設
- 構造 :早稲田大学谷資信構造研究室
最後に・・・
以上がスカイハウスの特徴でした。
メタボリズムあるいは20世紀を代表するにふさわしい、重厚で力強い建築でした。
ご覧いただきありがとうございました。