石上純也とは?
- 1974 神奈川県で生誕
- 2000 東京藝術大学大学院修了
- 2000 妹島和世建築設計事務所勤務
- 2004 石上純也建築設計事務所設立
石上純也は、世界的建築家「妹島和世」の事務所を出て、2014年にはハーバード大学の客員教員なども務める建築家である。
建築の作品数こそあまり多くないが、KAIT広場・KAIT工房を始めとして、前例のない異彩を放った建築作品を多く手がける。
また、洞窟のような建築や広場のような建築など、自然と建築の関係性を重視した作品も多く、庭の設計も行うなど活動の幅もかなり広い。
【代表作】建築家石上純也の建築作品6選
1.KAIT工房

- 住所:神奈川県厚木市下荻野1030
- 竣工:2008年
- 用途:工房
KAIT工房は、神奈川工科大学のロボットや人力飛行機といった様々な創作活動と、それらの展示を行うために建てられた施設である。
石上純也氏の建築デビュー作でもある。
建築としては、広いワンルーム空間に細い柱がいくつもランダムに林立し、まるで森の中のような複雑性を持った空間が特徴的。
また、通常の建築なら地震に耐えるための「耐震壁」というのが必要になるが、KAIT工房にそういった壁は一切なく、何百もある柱だけで地震に耐えられる構造となっている。
これによって、壁のない一体性のある内部空間が作り出されている。
2.KAIT広場




- 住所:神奈川県厚木市下荻野1030
- 竣工:2020年
- 用途:多目的広場
KAIT広場は、KAIT工房に隣接する位置に建てられた「広場建築」である。
KAIT工房と同様に広いワンルーム空間が特徴的だが、KAIT広場には柱が一切ない。
ではどうやって、これだけ広い空間に屋根をかけているのかというと、「4方の壁」から「めちゃくちゃ薄い鉄板の屋根」を吊り下げる構造で、この柱のない大空間を実現している。
また、その鉄板の屋根には無数の開口部が設けられており、外部と内部を緩やかに繋げる効果を持つ。
3.サーペンタイン・パヴィリオン 2019




- 住所:イギリス,ロンドン,ケンジントン・ガーデンズ
- 竣工:2019年
- 用途:パヴィリオン
ロンドンにある「サーペンタイン・ギャラリー」では2000年から毎年、異なる建築家がギャラリーに隣接する広場にパヴィリオン(仮設建築物)を作るという取り組みが行われている。
そして、2019年にその取り組みの設計者に選ばれたのが石上純也であった。
石上純也は、106本の柱でスレート約61tからなる屋根を支える空間を作り出した。
細い柱がいくつも林立する様子は、彼のデビュー作KAIT工房を彷彿させるが、そこに重厚感のある大量のスレートを組み合わせることで、軽くて重い不思議なパヴィリオンが完成している。
4.House & Restaurant
- 住所:山口県宇部市
- 竣工:2022年
- 用途:住宅+レストラン
House & Restaurantはその名の通り「フレンチレストラン」兼「オーナー家族の住宅」として建てられた建築である。
しかし、そんな普通の用途とは裏腹に建築はまるで「自然の洞窟」のような異彩を放ったものとなっている。
どのようにしてこんな建築を作ったのかというと、地面に穴を掘りコンクリートを流して土の中の躯体を掘り起こしガラスを嵌める、このような手順で施工されている。
元々は、コンクリートの躯体は現しにする予定だったが、施工途中に躯体に着いた土をそのまま残して仕上げとする案を思いついたという。
5.Vijversburg Visitor Center
- 住所:オランダ,ズワールテウェフセント
- 竣工:2017年
- 用途:ビジターセンター
VijversburgVijversburg Visitor Centerは、オランダにあるVijversburgという公園のビジターセンター(公園の利用案内所)として建てられた建築物である。
「KAIT工房」や「サーペンタイン・パヴィリオン 2019」ではあれほど大量の柱を立てていた石上純也だが、この建築では1本も柱がない。また壁らしきものもない。
ではどうやって、屋根を支えているのか?
答えはガラスである。10+10㎜という「合わせガラス」を用いて屋根荷重等を支えているのである。
6.ボタニカルガーデンアートビオトープ「水庭」




- 住所:東京都板橋区
- 竣工:2010年
- 用途:住宅 長屋
最後に紹介するのは建築ではなく「庭園」である。
ボタニカルガーデンアートビオトープ「水庭」は、ガラス工芸や陶芸を楽しむことができる滞在型体験施設につくられた庭園となっている。
この庭園は、元々あった「318本の雑木林」の形状や大きさなどを1本1本調査した上で、計画的に再配置し、その間を縫うように「160個の池」を作ることで全体像が形成されている。
ここまで念入りに計画されたい庭園は、もはや建築と言えるのではないだろうか。
石上純也の関連書籍




今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、石上純也が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
コメント