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台湾大学 社会科学部棟【伊東豊雄】

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台湾大学 社会科学部棟とは?

photo by 翁維德/CC 表示-継承 2.0

台湾大学社会科学部棟は、台湾の首都台北市に建つ、台湾大学の新校舎である。

建物は、8層の「教室棟」と、その前面に広がる「図書館棟」の2棟構成になっている。

設計を務めたのは、日本の建築家伊東豊雄。

コンセプト「自然に開かれた建築」

このコンセプトを基に、教室棟には吹き抜けや空洞、図書館棟には樹木のような内部空間が設けられている。

たけひこ
たけひこ

そんな、台湾大学社会科学部棟の特徴をご紹介します!!

伊東豊雄とは?

  • 1941 京城(現・ソウル)に生まれる
  • 1943 長野県諏訪郡下諏訪町移住
  • 1965 東京大学工学部建築学科卒業
  • 1965 菊竹清訓設計事務所勤務
  • 1971 アーバンロボット設立
  • 1979 ↑伊東豊雄建築設計事務所改称
  • 1986 日本建築学会賞作品賞受賞
  • 2013 プリツカー賞受賞

伊東豊雄は、日本を代表する建築家であり、代表作として「ぎふメディアコスモス」「多摩美術大学図書館」などが知られている。

また、建築家安藤忠雄とは同年生まれであるが、安藤さんの一貫したコンクリートのスタイルとは異なり、伊東さんは特定のスタイルを持っていない。

そのため、同じ人物が設計したとは思えない、多種多様な建築作品が魅力的である。

建築の特徴

photo by Peellden/CC 表示-継承 4.0

台湾大学社会科学部棟の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 周辺環境に配慮された構成
  2. 吹き抜けや空洞のある「教室棟」
  3. 蓮の花を描く「図書館棟」
  4. 樹木のような構造体
  5. 屋根の隙間から降り注ぐ光
  6. 川の流れのように配置された家具
  7. ライトの「ジョンソンワックス社事務所棟」

周辺環境に配慮された構成

photo by 翁維德/CC 表示-継承 2.0

台湾大学社会科学部棟は、横長の「教室棟」、その前面に広がる「図書館棟」によって構成される。

上の写真の背景にそびえたつ建物が教室棟である。

「教室棟」は、大きな道路に沿って168mに及ぶ横長の構成

「図書館棟」は、教室棟前庭に存在し平屋状の構成

この2棟には、コンセプトの「自然に開かれた建築」を基に、周辺環境や自然環境と調和する様々な工夫がなされている。

吹き抜けや空洞のある「教室棟」

photo by 翁維德/CC 表示-継承 2.0

横幅168mに及ぶ教室棟には、各所に吹き抜けやボイド(建物えをくりぬいた空洞)などが設けられている。

この構成によって、建物内に風や光が入り込み自然を感じられる空間がつくられている。

さらに、上記写真の下のほうに設けられたボイド空間には樹木が植えられており、コンセプトの「自然に開かれた建築」を象徴している。

蓮の花を描く「図書館棟」

図書館棟の屋根面とその周囲の広場は、上から見ると水に浮かぶ蓮の葉のような形状となっている。

蓮の花を描く屋根

さらに、ある三つの中心点からは、蓮の花の形状となるようなパターンを描くアルゴリズムが用いられている。

このような幾何学的な建物や植栽、遊歩道などによって、自然界の風景を人工的に作り出しつつ、実際の自然とも調和した魅力的な空間がつくられている。

樹木のような構造体

図書館棟の内部空間は、樹木のような柱が林立する空間となっている。

これは、約50m四方の平面内に、コンクリートで被膜された鉄骨柱とそこから連続する鉄筋コンクリート造の蓮の葉をイメージした屋根が空間を包み込む構成。

柱の太さは、スパンによって4種類が存在し、中心部程細い柱になっている。

屋根の隙間から降り注ぐ光

photo by 國立臺灣大學圖書館/CC 表示-継承 4.0

さらに、蓮の葉状の屋根の間からは、自然光が柔らかく降り注ぎ、森の木漏れ日の中で読書ができるような空間が作り出されている。

また、内部から蓮の葉状の天井を見ると、水中から蓮の葉が浮いた水面を眺めるような魅力的な体験ができる。

川の流れのように配置された家具

photo by 國立臺灣大學圖書館/CC 表示-継承 4.0

内部空間に配置された本棚は、点在する細い柱をよけながら、川の流れのように配置されている。

これらの家具は、日本の家具デザイナー藤江和子氏による竹製の作品である。

藤江和子氏は、伊東豊雄氏設計の「多摩美術大学図書館」でも家具の設計をされている。

ライトの「ジョンソンワックス社事務所棟」

ジョンソンワックス社 事務所棟

台湾大学社会科学部棟と構成が似ている建築が存在する。

ジョンソンワックス社事務所棟

これは、近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトによる作品である。

ここでも蓮の葉をイメージした構造体が特徴的であるが、この建築の竣工は1939年である。

しかし、この建築は2022年現在でも、先進的なデザインに見えるため驚きである。

伊東豊雄氏が手がけた「台湾大学社会科学部棟」の構成は、より柱がランダムに配置され、有機的な形態になっている。

建築概要

  • 所在地:台湾台北市
  • 竣工 :2013年5月
  • 用途 :教育施設(大学)
  • 構造 :RC造 S造
  • 階数 :地下2階 地上8階 塔屋1階
  • 高さ :34.55m
  • 設計 :伊東豊雄建築設計事務所
  • 構造 :SAPS(Sasaki And Partners)
  • 設備 :竹中工務店
  • 施工 :互助営造

施設概要

  • 休館日 :日曜日
  • 営業時間:8:20〜21:00(月〜金曜日)、9:00〜17:00(土曜日)
  • アクセス:台北捷運文湖線「楼科技大站」駅より徒歩12分

最後に・・・

以上が台湾大学社会科学部棟の特徴でした。

蓮をイメージした図書館棟と、環境に調和した教室棟の構成が魅力的な建築になっていました。

たけひこ
たけひこ

台湾を訪れる際は是非、台湾大学社会科学部棟に立ち寄ってみてください!!

ご覧いただきありがとうございました。

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