建築

みんなの森 ぎふメディアコスモス【伊東豊雄】

ぎふメディアコスモスとは?

photo by Asturio Cantabrio/CC 表示-継承 4.0 /変更なし

みんなの森 ぎふメディアコスモスは、建築家伊東豊雄が手がけた、岐阜市に建つ図書館を中心とした複合施設である。

建築の最大の特徴は、「グローブ」と呼ばれるテントや傘のようにも見える物体が天井から吊られている、2階の図書スペースである。

さらにグローブ上の天井は、波打つようなヒノキ材による木組みによって構成されており、経験したことのない自然的な体験ができる図書館となっている。

たけひこ
たけひこ

そんな、ぎふメディアコスモスの建築の詳細を今回紹介したいと思います!!

伊東豊雄とは?

  • 1941 京城(現・ソウル)に生まれる
  • 1943 長野県諏訪郡下諏訪町に移住
  • 1965 東京大学工学部建築学科卒業
  • 1965 菊竹清訓設計事務所勤務
  • 1971 アーバンロボット設立
  • 1979 ↑伊東豊雄建築設計事務所改称
  • 1986 日本建築学会賞作品賞受賞
  • 2013 プリツカー賞受賞

伊東豊雄は、日本を代表する建築家であり、代表作として「せんだいメディアテーク」「多摩美術大学図書館」などが知られている。

また、建築家安藤忠雄とは同年生まれであるが、安藤さんの一貫したコンクリートのスタイルとは異なり、伊東さんは特定のスタイルを持っていない。

そのため、同じ人物が設計したとは思えない、多種多様な建築作品が魅力的である。

建築の特徴

photo by Asturio Cantabrio/CC 表示-継承 4.0 /変更なし
  1. シンプルながら細部に個性がにじみ出る外観
  2. 公開書庫を核とする1階内部
  3. グローブと木組みによる2階内部
  4. 「大きな家」と「小さな家」による構成
  5. 空間を緩やかに区切るグローブ
  6. ヒノキ材による天井の木組み

シンプルながら細部に個性がにじみ出る外観

photo by Opqr/CC 表示-継承 4.0

造形的な内部空間が魅力的なぎふメディアコスモスであるが、外観は内部とは対照的に、ガラスカーテンウォールによるシンプルな構成になっている。

しかし、よく観察すると、2階の特徴的な木組による天井の構成が、外のテラス部分にまで連続し、内外をシームレスに繋いでいる。

また、夜になると内部の木組やグローブが外観に浮き上がり、つい内部へ引き込まれてしまいそうな景観となっている。

公開書庫を核とする1階内部

1階の内部空間は、天井にもうけられた木材ルーバーが特徴的である。

この後紹介する2階の天井と比べてしまうと、かなりシンプルな構成にも見える。

しかし実は、1階の最大の魅力は平面構成にある。

1F平面概略図

ここで注目したいのが、ガラスに囲われた公開書庫が建物中央に配置されている点である。

この公開書庫をとり囲うようにして、市民活動交流センターやエントランスホール、ギャラリーなどが配置されている。

たけひこ
たけひこ

この構成を見ると、様々な要素が本から派生していくようなイメージを感じます!

グローブと木組みによる2階内部

2階部分は、上の平面概略図のように、様々な用途を持った「グローブ」下の空間が、ワンルーム内に点在している。

この「ワンルーム×グローブ」という構成は「大きな家」と「小さな家」という概念から生まれたものである。

「大きな家」と「小さな家」による構成

「大きな家」と「小さな家」とは、通常の大きなワンルーム空間では、空調の調節が難しく、その分無駄なエネルギーを消費してしまう。

そこで、人が集まる「小さな家」内では環境を完璧に調節し、その外の「大きな家」の中は、外部と内部の中間領域として機能させる。

このような構成をとることで、効率的な内部環境が作り出せる。

この考えをもとに伊東豊雄氏は、「小さな家」として「グローブ」というものを作り出した。

空間を緩やかに区切るグローブ

photo by Asturio Cantabrio/CC 表示-継承 4.0

ポリエステルファブリックという素材による、直径8m~14mの天井から吊り下がっているものを伊東氏は「グローブ」と名付けた。

グローブは全部で11個存在するが、それぞれの表面には異なるパターンの模様が入っている。

たけひこ
たけひこ

さらに、グローブは、ワンルーム空間にあいまいな領域を作り出しているが、その機能とは別に省エネにも貢献しています!

冬場は、グローブ内に温められた空気をためておき、春や秋には、グローブの形状を生かした自然換気のみの空調とするなど、工夫がなされている。

ヒノキ材による天井の木組み

photo by Asturio Cantabrio/CC 表示-継承 4.0

2階の構成としてグローブが印象的であるが、このグローブをさらに魅力的にしているのが、天井のグローブに合わせて隆起した有機的な木組みである。

この木組みは、幅120㎜、厚さ20㎜という、住宅スケールのヒノキ材を三角形格子状に積層させ、このセットをさらに7層重ねている。

たけひこ
たけひこ

この天井が、約80m×90mの大規模な建物全体を、波打ちながらつないでいる光景は圧巻です!

建築物概要

  • 所在地:岐阜県岐阜市司町
  • 竣工 :2015年2月
  • 用途 :図書館 市民活動交流センターなど
  • 構造 :RC造(1階) S造・W造(2階) 
  • 階数 :地下1階 地上2階
  • 高さ :16.090m
  • 設計 :伊東豊雄建築設計事務所
  • 構造 :Arup
  • 施工 :戸田建設など
  • 設備 :イーエスアソシエイツなど

施設概要

  • Tel   :058-265-4101
  • 休館日 :毎月最終火曜日、年末年始
  • 料金  :無料
  • 営業時間:9:00~21:00
  • アクセス:「岐阜市役所・メディアコスモス」バス停下車すぐ
  • URL  :https://g-mediacosmos.jp/

最後に・・・

以上が、伊東豊雄が手がけた、ぎふメディアコスモスの特徴でした。

有機的な木組みと、グローブの組み合わせ、シンプルな外観などが魅力的な空間となっていたと思います。

たけひこ
たけひこ

岐阜市を訪れる際は、是非ぎふメディアコスモスに立ち寄ってみてください!

ご覧いただきありがとうございます!

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