ぐりんぐりんとは?

ぐりんぐりんとは、博多湾東部の「福岡アイランドシティ」という人工島の上に建つ、丘のような建築の名称である。
設計を務めたのは、日本を代表する建築家「伊東豊雄」。
「シームレスな建築」
このようなコンセプトを基に、平坦な人工島に丘のように起伏のある建築を建てることで、多様なアクティビティを喚起している。
伊東豊雄とは?
- 1941年 京城(現・ソウル)に生まれる
- 1943年 長野県諏訪郡下諏訪町に移住
- 1965年 東京大学工学部建築学科卒業
- 1965年 菊竹清訓設計事務所勤務
- 1971年 アーバンロボット設立
- 1979年 ↑伊東豊雄建築設計事務所改称
- 1986年 日本建築学会賞作品賞
- 2013年 プリツカー賞受賞
伊東豊雄は、建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞した経歴を持つ、日本を代表する建築家である。
代表作としては「せんだいメディアテーク」「ぎふメディアコスモス」などが挙げられる。
伊東豊雄氏の設計事務所は、「妹島和世」「平田晃久」「佐藤光彦」といった、建築界の第一線で活躍する建築家を多く輩出していることでも有名である。
建築の特徴

ぐりんぐりんの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 丘のような建築
- スパイラルを用いた建築
- 全面緑化された屋上空間
- 3つの内部空間
- 自然光を取り入れるトップライト
- 「コンピュータ」と「職人」の技術の結集
丘のような建築

人工島という平坦で何もない場所に、人々の様々な活動を喚起するような建築とはどういうものか?
この疑問に対して伊東氏は、丘のように起伏のある建築をつくることで様々なアクティビティを喚起できるのではないかと考えた。
つまり、建築というよりはランドスケープと一体となった空間をつくるということである。
スパイラルを用いた建築

丘のように隆起する躯体は、スパイラルを描くことでシームレスに連続している。
スパイラルという形態は、建築内に納めたかった「洞窟のような空間」「丘の上」「明るい温室」という3つの要素を合理的に収めることができる形態であったため採用したという。
このスパイラル形状のスタディは模型とCADで行い、あえて形態に幾何学性を持ち込まないことで従来のスケール感からの逸脱を図っている。
全面緑化された屋上空間

スパイラル状の形態によって生まれた丘のような躯体。
この躯体の上(屋上空間)は全面的に緑化がなされ、もはや本当の丘のような空間が形成されている。
この緑化によって、地面と屋根の区別もなくなり、屋上空間も散策路の一部のようになっていく。
3つの内部空間

起伏を持った躯体の盛り上がっている部分の下には、次の3つの大きな内部空間が存在する。
- 北ブロック :もっとも広いフリースペース
- 中央ブロック:亜熱帯の植生展示などを行うスペース
- 南ブロック :ワークショップなどを行うスペース
この3つの内部空間が外部空間と連続しながらシームレスに繋がっていることが、この建築の魅力でもある。
自然光を取り入れるトップライト

ぐりんぐりんの内部空間には、全部で4つの大きなトップライトが存在する。
このトップライトによって、丘の下の空間にも光や緑、空の青といった自然要素が取り込まれる。
「コンピュータ」と「職人」の技術の結集

これほど複雑な形状をしたぐりんぐりんの躯体は、職人の技術とコンピュータ技術の融合によって成り立っている。
とくに鉄筋は、技術力のある職人がコンピュータグラフィックス(CG)を利用して配置図を描き、それを基に配筋している。
このような「コンピュータ技術」と「職人技術」の融合は、職人が減少する建築界では今後さらに加速していくのかもしれない。
建築概要
- 所在地:福岡県福岡市東区香椎浜
- 竣工 :2005年4月
- 用途 :温室 その他
- 構造 :S造 RC造
- 階数 :地上1階
- 設計 :伊東豊雄建築設計事務所
- 施工 :竹中工務店・高松組建設工事共同企業体
- 構造 :佐々木睦朗構造計画研究所
- 設備 :環境エンジニアリング
- URL :https://ic-centralpark.jp/grin-grin/
最後に・・・
以上がぐりんぐりんの特徴でした。
スパイラル状の躯体と緑豊かな植栽によって実現した、丘のような外観や空間構成が魅力的な建築だったと思います。

是非一度、ぐりんぐりんを訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。