台中国家歌劇院とは?

台中国家歌劇院は、台湾に建つ、3つの劇場・カフェ・レストランなどからなる複合文化施設である。
設計を務めたのは、世界的に著名な建築家伊東豊雄。
「カテノイド」と呼ばれる有機的な構造体が魅力的な空間を作り出す、前例のない建築となっている。
また、この建築のコンペは2005年に行われたが、実際に建物が完成したのが2016年であり、約11年もの間に様々な紆余曲折を経て、ようやく実現した建物でもある。

そんな、台中国家歌劇院の建築の特徴を、今回紹介したいと思います!
伊東豊雄とは?
- 1941 京城(現・ソウル)に生まれる
- 1943 長野県諏訪郡下諏訪町に移住
- 1965 東京大学工学部建築学科卒業
- 1965 菊竹清訓設計事務所勤務
- 1971 アーバンロボット設立
- 1979 ↑伊東豊雄建築設計事務所に
- 1986 日本建築学会賞作品賞受賞
- 2013 プリツカー賞受賞
伊東豊雄は、日本のみならず世界的に活躍される建築家である。
代表作としては、「せんだいメディアテーク」や「ぎふメディアコスモス」などが挙げられる。
また、建築家安藤忠雄氏とは同年生まれであるが、安藤さんの一貫したコンクリートのスタイルとは異なり、伊東さんは特定のスタイルを持っていない。
建築の特徴

台中国家歌劇院の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- シンプル外殻と漏れ出す有機性
- カテノイドによる内部構成
- 3つの劇場
- 洞窟のような空間構成
シンプル外殻と漏れ出す有機性

台中国家歌劇院の外観は、シンプルなキューブ状の外殻でありながらも、内部空間の有機的な形状がもれだした、人々の興味を引く構成となっている。
また、周辺には高層集合住宅が立ち並びながらも、大きな公園の端部に位置する台中国家歌劇院は、公園の有機性と高層ビルの骨格を両方掛け合わせたような形状にも見える。

この外観のシンプルさも伊東建築の象徴となっています!!
カテノイドによる内部構成

上の図のような、3次元曲面の有機的な形状をカテノイドという。
台中国家歌劇院の構造体は、このカテノイドを立体的に連続させることで成り立っている。
この複雑性を建築に落とし込むために、コンピュータを用いた「エマージング・グリッド」という独自のシステムが採用された。
この、システムで作られたカテノイドによって、施設全体が劇場のような空間となっている。
三つの劇場

photo by yunlin2003/CC BY-SA 2.0/変更なし
台中国家歌劇院のメインの用途は劇場であるが、劇場は次の3つが存在する。
- Grand Theatre(グランドシアター)
- Playhouse(プレイハウス)
- Black Box(ブラックボックス)
約2000席ある劇場で、赤を基調とした配色、流動的なデザインの照明、台湾初となる2層式の舞台などが特徴である。
約800席ある劇場で、Grand Theatreとの対比として、青を基調とした配色が特徴的である。
約200席ある劇場で、屋外劇場と連続した利用が可能な点が特徴的である。

劇場の写真がご用意できなかったのが残念ですが、どの劇場も有機的な構造体と合わさり、魅力的な空間となっています!!
洞窟のような空間

台中国家歌劇院の内部は、洞窟の中のような構成となっているが、
岩石に穴が開くことによって形成される空間
1枚の薄い膜によって2つのゾーンに分けられた空間

このイメージ図を見てもらうとわかるが、カテノイドによる構成では、1枚の膜で2つの別世界がつくられる。
そのため、台中国家歌劇院の内部空間は、洞窟のようでありながら、すごく近いのに膜を突き破らないとたどり着けない別空間が隣り合った特殊な構成となっている。
この構成によって、「空間と空間」「人と人」の新しい関係性が作り出されている。
建築物概要
- 所在地:台湾台中市
- 竣工 :2016年9月
- 用途 :劇場 物販 飲食
- 構造 :RC造 一部S造
- 階数 :地下2階 地上6階 塔屋1階
- 高さ :約38m
- 設計 :伊東豊雄建築設計事務所
- 構造 :Arup London
- 設備 :竹中工務店
- 施工 :麗明營造
施設概要
- Tel :04-2251-1777
- 休館日 :月曜休館
- 営業時間:日火水木 11:30 – 21:00 金土祝日 11:30 – 22:00
最後に・・・
以上が台湾に建つ台中国家歌劇院の特徴でした。
他に類を見ない内部空間の有機的な構成が魅力的であり、伊東豊雄さんの最高傑作ともいえるような作品であったと思います。

台湾は、日本人の観光地としても人気であるため、是非一度台中国家歌劇院を訪れてみてください!
ご覧いただきありがとうございました!