兵庫県の有名建築物16選【安藤忠雄・丹下健三・村野藤吾など】

兵庫県立木の殿堂

みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」です。

今回は、兵庫県の有名建築物16戦をご紹介したいと思います。

兵庫県には、安藤忠雄の建築を始めとして、丹下健三や村野藤吾など有名建築家が設計した施設が数多く存在しています。

本記事では、それらの魅力的な建築物の特徴をわかりやすく解説しているので、兵庫県で建築巡りをする際には是非本記事を参考にしてみてください。

では早速本題に入ります。

目次

兵庫県の有名建築物16選【安藤忠雄・丹下健三・村野藤吾など】

1.兵庫県立美術館【安藤忠雄】

兵庫県立美術館は、兵庫県にゆかりのある作品をはじめとして、彫刻や版画など様々な美術作品を収蔵・展示している公立美術館である。

建築の設計は、日本を代表する建築家「安藤忠雄」が担当。

建築全体は、石壁でできた「基壇」の上に、3つの「ガラスの箱」が乗っかったような構成となっており、この3つの箱にはマトリョーシカのようにガラスの箱の中にコンクリートの箱が収まるという「入れ子構造」が採用されている。

通常、展示室には作品保護の観点から直接太陽光を取り入れることはできないのだが、入れ子構造を採用することによって、展示室と外部空間の間に「中間領域」を生み出すことができ、内外の関係性をより密接なものへと変化させている。

また、3つのガラスの箱の間には、写真2枚目にあるように「螺旋階段による円形テラス」が設置されており、魅力的な空間体験ができるようになっている。

建築詳細ページ

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2.兵庫県立木の殿堂【安藤忠雄】

兵庫県立木の殿堂は、「森と海と太陽」というテーマをもとに建設された、木の文化に関する展示などを行う展示施設である。

建築の設計は、日本を代表する建築家「安藤忠雄」が担当。

建築全体は、直径46mの円形平面の中に、直径22mの円形の吹き抜けが配置され、残ったリング状の内部に展示空間が設けられた空間構成となっている。

安藤忠雄建築としては珍しく、内外に木材をふんだんに使用した建築物となっているが、建物の形態はまるでコンクリートでつくった造形物かのような有機的な曲面をしており「やはり安藤忠雄建築だな」と笑みがこぼれる。

ちなみに、建物中央の吹き抜け空間の底には「水盤」が設けられており、ここではテーマである「森と海と太陽」という3つの要素を感じられる象徴的な空間が形成されている。

3.兵庫県立こどもの館【安藤忠雄】

「工作館」photo by Bergmann/CC 表示-継承 3.0

兵庫県立こどもの館は、児童図書室・多目的ホール・遊戯室など、子どものための複数の機能からなる、兵庫県姫路市に建つ大型児童福祉施設である。

建築の設計は、日本を代表する建築家「安藤忠雄」が担当。

本施設は、池や木々に囲まれた大自然の中に建ちながらも、安藤建築に象徴される「コンクリートの幾何学的な形態による建物」が自然に抵抗するかのように力強く佇んている。

安藤忠雄は、時が経つにつれてコンクリートの建築が周囲の木々に埋め尽くされ、自然と共生し始める未来を思い描いて本施設を設計したそうだ。

4.淡路夢舞台【安藤忠雄】

淡路夢舞台は、瀬戸内海最大の島「淡路島」の大阪湾と緑地に囲われた傾斜地に建つ、国際競技場・ホテル・野外劇場・温室など様々な施設が併設された超大型複合施設である。

建築の設計は、日本を代表する建築家「安藤忠雄」が担当。

本施設は、広大な敷地内に、複数の棟が連携するように建てられており、まるで安藤忠雄に関するテーマパークかのような全体構成となっている。

淡路夢舞台内の建物の詳細については、以下の記事をご覧いただきたい。↓

建築詳細ページ

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5.本福寺水御堂【安藤忠雄】

本福寺水御堂は、淡路島北東部の小高い丘の上に建つ寺院建築である。

建築の設計は、日本を代表する建築家「安藤忠雄」が担当。

本施設は、長径40m・短径30mの楕円形の構造物(屋根)の上に蓮池が設置されており、なんとその蓮池の下(地下空間)に本堂が収められている。

その本堂へは、楕円形の蓮池を切り裂くように設けられた階段を下っていくことでアプローチできるのだが、こんな特殊な寺院建築は世界のどこを探しても見つからないだろう。

また、蓮池の周りを囲うようにしてコンクリートの「曲面壁」と「直線壁」が2枚設置されているが、この2枚の間の空間は俗界と聖界を結ぶ中間域となっており、人々を非日常へと誘導するアプローチ空間としても機能している。

6.兵庫県立歴史博物館【丹下健三】

兵庫県立歴史博物館は、兵庫県姫路市の特別史跡「姫路城跡」の中に建設された、兵庫の歴史に関する資料の収蔵・展示などを行う歴史博物館である。

建築の設計は、日本建築界の巨匠「丹下健三」が務めた。

本施設は、隣接する姫路城を強く意識して設計されており、御影石を使用した重厚な建物は姫路城の「石垣」をイメージし、それとは対比的なガラスで囲われたティーラウンジですらも、姫路城に対面するような角度で配置されている。

そのため、ティーラウンジからは姫路城を実際に眺めることができ、まるで姫路城本体が歴史博物館の一つの展示物になったかのな空間構成となっている。

7.姫路市文化コンベンションセンター【日建設計】

  • 設計:日建設計
  • 住所:兵庫県姫路市神屋町
  • 竣工:2021年
  • 用途:劇場・展示場・会議室
  • URL:公式ページ

姫路市文化コンベンションセンターは、コンサートや展示会など様々な用途に対応可能な大中小3つのホールからなる、超大型複合施設である。

建築の設計は、日本の大手組織設計事務所「日建設計」が行った。

本施設は、東西に伸びる広い敷地に都市公園とコンベンションセンターを一体的に計画しており、前面の都市公園からは細く長く伸びる「スロープ」によって、コンベンションセンターのロビーがある2階へ直接アクセスできるようになっている。

また、コンベンションセンター本体のファサードを見ると柱の連なりがあることがわかるが、この下の空間は半屋外のピロティとなっており、屋外展示場や広場として活用できる空間となっている。

8.竹中大工道具館【竹中工務店】

竹中大工道具館は、日本で唯一「大工道具」を民族遺産として収集・展示している博物館建築である。

名称からもわかる通り、本施設は「竹中工務店」によって設立された博物館であるため、建築の設計・施工はもちろん、竹中工務店自身で行った。

大工道具の博物館という事で、建築のいたるところに伝統の職人技が用いられており、建物自体が一つの展示物になったかのような優れた建築作品となっている。

建築全体としては、周囲に広がる六甲山の麓の豊かな自然環境を破壊しないために、平屋建てにすることによって建物の存在感を抑え、地階に展示室や倉庫などの必要機能を収めている。

9.姫路市書写の里 美術工芸館【宮脇檀】

姫路市書写の里・美術工芸館は、姫路市書写を中心とするの伝統文化や作品を保存・展示しつつ、参加・体験型ミュージアムとして、1994年に開館した美術工芸館である。

本施設は、愛知県出身の建築家「宮脇檀」が設計を務めた。

建築としては「曲線を描く大屋根」とその大屋根を支える「朱塗りの柱」が特徴的で、大自然に囲まれた周辺環境と調和する建築物となっている。

また内部の展示室は、背後に広がる書写山の地形を利用して「階段状の構成」が採用されており、他の博物館では見られないような独特の雰囲気を持った展示室となっている。

10.出石町立伊藤美術館(現・伊藤清永美術館)【宮脇檀】

photo by 663highland/CC 表示 2.5
  • 設計:宮脇檀
  • 住所:兵庫県豊岡市出石町内町
  • 竣工:1989年
  • 用途:美術館
  • URL:公式ページ

出石町立伊藤美術館は、兵庫県豊岡市出身の洋画家「伊藤清永」の顕彰を主目的として、1989年に開館した美術館である。

出石町立伊藤美術館という名称だと、豊岡市の美術館としての認知度が上がらなかったことから、2014年に豊岡市立美術館「伊藤清永記念館」に改称された。

本施設は、愛知県出身の建築家「宮脇檀」が設計を担当。

コンセプト「瓦の大屋根の下にある小さな倉」

この美術館の主要構造は「鉄筋コンクリート造」でありながら、敷地周辺には日本伝統の瓦屋根を持った建築群が広がっていたため、その街並みと調和するように「瓦屋根」で全体を覆った構成が採用されている。

11.豊雲記念館【清家清】※閉館しました

  • 設計:清家清
  • 住所:兵庫県神戸市東灘区住吉山手
  • 竣工:1970年
  • 用途:記念館
  • URL:参考サイト

豊雲記念館は、大阪府出身の華道家「小原豊雲」の顕彰を主目的として兵庫県神戸市東灘区に建設された建築物である。

本施設は、京都出身の建築家「清家清」が設計を担当。

この建築は竣工当初、作品の収蔵をメインにした「小原流芸術参考館」として開館したが、1998年からは作品の展示なども行う「豊雲記念館」として運営されていた。

建築としては、重厚感のある建物に軽々しい「波形の屋根」が乗った構成が特徴的で、この波形は内部の天井にそのまま現れ、豊かな内部空間を作り出している。

※残念ながら本施設はすでに閉館しており、いつ解体されてもおかしくない状況だという。

12.能勢妙見山信徒会館『星嶺』【高松伸】

photo by I, KENPEI/CC 表示-継承 3.0

能勢妙見山信徒会館『星嶺』は、大阪府豊能郡能勢町にある日蓮宗の寺院「能勢妙見山」の境内に建設された、礼拝施設である。

本施設は、島根県出身の建築家「高松伸」が設計を担当。

建築としては、ガラスと木で構成された塔状の形態が特徴的だが、これは能勢家の家紋である「矢筈」と、信仰のルーツである「星」をイメージしてデザインしたという。

さらに、礼拝堂の床は10㎜の強化合わせガラスとなっており、とことん透明感のある建築になっている。

13.原田の森ギャラリー【村野藤吾】

原田の森ギャラリーは、村野藤吾が初めて手掛けた美術館建築物である。

元々は「兵庫県立美術館」として建てられた施設なのだが、2001年からは安藤忠雄が設計した現・兵庫県立美術館に機能が移され、現在この施設は「原田の森ギャラリー」と名前を変え、兵庫県立美術館の分館として運営されている。

建築としては、真っ白なボリュームが柱で持ち上げられ、まるで浮遊しているかのような重厚ながらも軽快さをあわせもった外観が特徴的。

極限まで無駄を排したような純粋な形態を持ちつつ、どこか豊かさを感じる建築物となっている。

14.兵庫県立但馬ドーム【仙田満】

  • 設計:仙田満
  • 住所:兵庫県豊岡市日高町
  • 竣工:1998年
  • 用途:スポーツ施設・集会施設
  • URL:公式ページ

兵庫県立但馬ドームは、兵庫県豊岡市に建つ、全天候型ドームと屋外グラウンド3面等からなるスポーツ施設である。

本施設では、児童施設を数多く手がけることで知られる建築家「仙田満」が設計を担当。

この建築は、北側と南側から見た時に全く印象が異なる。

写真1枚目は、北側から見た施設外観だが、北から見ると複数の「山型屋根」が連なる小屋のような建築となっている。

一方で、写真を用意できなかったが、南側からこの施設を見ると「白いテフロンテントの開閉式ドーム」が大きな一つの山型の外観を作り出している。

この対比が本建築の面白い点である。

15.六甲枝垂れ【三分一博志】

六甲枝垂れは、兵庫県の六甲山上に建てられた展望台施設である。

本建築では、自然環境と調和した建築作品を数多く手がける建築家「三分一博志」が設計を担当。

「山の上に立つ一本の大きな樹」をコンセプトに、枝垂れをイメージし、スチールとヒノキの枝材で作られた建物がシンボリックな外観を形成している。

さらに、樹の幹を成す煙突のような部分の中には、天井に直径約2mほどの穴が開けられており、この孔を通り風が外に抜けていく仕組みとなっている。

三分一博志建築らしい、地球の一部となった建築というわけである。

16.西山記念会館【村野藤吾】※現存せず

photo by 663highland/CC 表示 2.5
  • 設計:村野藤吾
  • 竣工:1975年
  • 用途:記念館・ホール
  • 住所:兵庫県神戸市中央区脇浜町
  • URL:参考ページ

西山記念会館は、川崎製鉄初代社長・西山弥太郎の顕彰を目的として1975年建設された、記念室や多目的ホールなどからなる複合施設である。

本施設の設計は、商業建築の礎を築いたと言われる建築家「村野藤吾」によって行われた。

この建築の平面形態には三角形が採用されており、それぞれの頂点に値する部分は「強固なRC造のコア」、残りの部分は「フレキシブルな鉄骨造」として構造を使い分けている。

さらに、RC造コア部分の壁面は、コンクリートの可塑性という性質を活かして「滑らかな曲面」となっており、その微妙な曲面が建築に豊かな表情をもたらしている。

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今回はこれで以上になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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