高松伸とは?
- 1948 島根県に生まれる
- 1971 京都大学工学部建築学科卒業
- 1971 川崎清環境建築研究所
- 1980 同大学院博士課程修了
- 1980 高松伸建築設計事務所設立
- 1997 京都大学大学院工学研究科教授
- 2013 京都大学名誉教授
高松伸は、1997年から16年に渡り「京都大学」で教授を務めていた経歴を持つ、日本を代表する建築家である。
代表作としては「キリンプラザ大阪」「植田正治写真美術館」「国立劇場おきなわ」などが挙げられ、幅広いジャンルの建築作品を数多く手がけている。
また、高松伸は「作風が変化していく建築家」として知られており、ポストモダニズム的な作品から、ガラスの箱で覆われた明快な作品まで、多種多様な建築物を設計している。
今回は、そんな特徴を持つ建築家「高松伸」の建築作品12選をご紹介したいと思います。
【代表作】建築家高松伸の建築作品12選
1.植田正治写真美術館





- 住所:鳥取県西伯郡岸本町須村353-3
- 開館:1995年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
植田正治写真美術館は、世界的写真家「植田正治」の顕彰を目的として建設された、鳥取県西伯郡伯耆町に建つ美術館である。
建築としては、下層がつながった「4棟の直方体の建物」と、その直方体を囲うように配された「曲壁」による構成が特徴的。
そして、4棟の直方体の間に設けられた「余白の空間」には水が張られており、その水面に鳥取最高峰の山「大山」が映り込み、「逆さ大山」を望むことができるようになっている。
このような洗練された構成を持つ植田正治写真美術館は、1996年に「芸術選奨文部大臣賞」を受賞している。
2.ナンバヒップス




- 住所:大阪府大阪市中央区難波1丁目
- 開館:2007年
- 用途:複合レジャー施設
- URL:公式ページ
ナンバヒップスは、パチンコ・カラオケ・スポーツバー・ゴルフスタジオなどで構成される、大阪市中央区難波に建つ複合レジャー施設である。
建物中央に「赤い構造物」があるのが特徴的な建築だが、実はこれ、垂直落下するアトラクション「フリーフォール」となっている。
しかし、残念ながらこのフリーフォールは、竣工後に様々なトラブルが起こったようで無期限休止に追い込まれ、現在は完全に停止されている。
その代わりと言っては何だが、現在はその部分に岩を模した「フリークライミングウォール」が設置されており、ここではロッククライミングの世界大会なども開催されているという。
3.仁摩サンドミュージアム




- 住所:島根県邇摩郡仁摩町大字天河内町975
- 開館:1990年
- 用途:博物館
- URL:公式ページ
仁摩サンドミュージアムは、「鳴り砂」で有名な琴ヶ浜がある、島根県・仁摩町に建設された「砂の博物館」である。
「砂の博物館」という事で、砂をイメージさせる形態「ピラミッド型」が建築にも採用されており、大小6つのガラスのピラミッドが仁摩町のランドマークとなっている。
また、館内には世界最大の一年計砂時計「砂暦(すなごよみ)」が設置されており、その高さは約5メートルにも及ぶ。
4.みなとさかい交流館








- 住所:鳥取県境港市大正町215
- 開館:1997年
- 用途:フェリーターミナル・展示場・事務所・公衆浴場
- URL:公式ページ
みなとさかい交流館は、フェリーターミナル・展示場・公衆浴場などの機能が入った、鳥取県境港市に建つ複合施設。
この施設は、漫画家「水木しげる」の代表作である『ゲゲゲの鬼太郎』のオブジェがいくつも立ち並ぶ「水木しげるロード」の起点に配置されている。
この建築を設計する上で高松伸が求められたのは「環日本海交流の拠点たるべき象徴的建築」である。
その結果として完成した建築は、海側から見ると「4本のシリンダー」、街側から見ると「7本のガラスの塔」が立ち並んだ、まさに象徴的な建築となっている。
5.島根県立産業交流会館 くにびきメッセ








- 住所:島根県松江市西川津町3669
- 開館:1993年
- 用途:展示場 会議室 事務室
- URL:公式ページ
くにびきメッセは、島根県松江市に建つ、山陰地方最大規模のコンベンション・センターである。
施設全体としては、大展示場が入った「低層棟」と、会議室・事務室などが入った「高層棟」によって構成される。
2枚目の写真を見て分かる通り、高層棟の中央部分には5層ほど吹き抜けた「ガラスアトリウム空間」が存在し、その内部には円錐型や球型をした構造物が収められている。
この空間は「交流サロン」としての役割を果たすのだが、まるで宇宙のような空間となっており、コンベンションセンターとしては異彩を放っている。
6.能勢妙見山信徒会館『星嶺』




- 住所:兵庫県川西市奥山467他
- 開館:1998年
- 用途:礼拝堂
- URL:公式ページ
能勢妙見山信徒会館『星嶺』は、大阪府豊能郡能勢町にある日蓮宗の寺院「能勢妙見山」の境内に建設された、礼拝施設である。
建築としては、ガラスと木で構成された塔状の形態が特徴的だが、これは能勢家の家紋である「矢筈」と、信仰のルーツである「星」をイメージしてデザインしたという。
さらに、礼拝堂の床は10㎜の強化合わせガラスとなっており、とことん透明感のある建築になっている。
7.国立劇場おきなわ




- 住所:沖縄県浦添市勢理客4-14-1
- 開館:2003年
- 用途:劇場
- URL:参考ページ
国立劇場おきなわは、沖縄伝統芸能の保存振興を主目的として建設された国立劇場である。
建築としては、沖縄の伝統的な竹垣「チニブ」をモチーフにしたという、プレキャストコンクリートでできた重厚感のある外観が特徴的。
また、屋根には琉球瓦や琉球石灰岩を用いるなど、施設全体として琉球時代の家屋を連想させるようなデザインが取り入れられており、沖縄という風土に適した施設となっている。
8.キリンプラザ大阪(現存せず)




- 住所:大阪府大阪市中央区宗右衛門町7-2
- 開館:1987年
- 用途:ギャラリー・多目的ホール・飲食店
キリンプラザ大阪は、キリンビール株式会社によって建設された、飲食店や多目的ホールなどからなる複合施設である。
この施設は、世の中がポストモダニズムの時代に建設されており、機械的かつ象徴的なその外観は、時代の潮流を色濃く投影している。
高松伸は、このキリンプラザ大阪で「日本建築学会賞作品賞」を受賞している。
残念ながらこの建築は、老朽化などを原因に2008年に解体された。
9.浜田市世界こども美術館




- 住所:島根県浜田市野原町859番地の1
- 開館:1996年
- 用途:美術館 アトリエ
- URL:公式ページ
浜田市世界こども美術館は、次代を担う子どもたちのための施設として、島根県浜田市の海のみえる文化公園建設された美術館である。
この施設は、「日本海に漂う創造と美の船」というコンセプトを基に設計されており、真っ白な直方体の外観が象徴的である。
また、施設の前面には「湾曲するコンクリート壁」で覆われた芝生の広場が存在。
この広場では、屋外彫刻などが展示できるようになっている。
10.玉造温泉 ゆ~ゆ








- 住所:旧・島根県八束郡玉湯町大字玉造237
- 開館:1996年
- 用途:公衆浴場 集会場
- URL:公式ページ
玉造温泉 ゆ~ゆは、1996年・島根県玉湯町(現松江市)に建設された温泉施設である。
コンクリートの上に乗っかる、直径約41メートルの「半球体状の構造物」が象徴的で、この内部に浴場が配置されている。
また、インパクトのある半球体に気を取られがちだが、実はその下のコンクリート部分は平面が「鋭角な角を持つ三角形」となっており、内部にはトップライトを持つ求心的な空間がつくられている。
11.長崎港ターミナルビル








- 住所:長崎県長崎市元船町17-3
- 開館:1995年
- 用途:フェリーターミナル
- URL:公式ページ
長崎港ターミナルビルは、地域住民・離島住民・観光客などが利用するフェリーターミナルとして建設された施設である。
建築としては、「水平に伸びるシリンダー」と「垂直に伸びるシリンダー」が交差した構成が特徴的。
さらに、垂直のシリンダーはコンクリートの外壁によって重厚感を、水平のシリンダーはメタリックな外壁で近未来感が感じられ、この両者の素材の対比も魅力的な建築となっている。
12.江津市総合市民センター




- 住所:島根県江津市江津町1110他
- 開館:1995年
- 用途:市民ホール
- URL:公式ページ
江津市総合市民センターは、大ホール・会議室・ギャラリーなどが入った、島根県江津市に建つ市民ホールである。
この建築は、「天の川」をイメージしてデザインされているらしく、「ミルキーウェイホール」という愛称もつけられている。
さらに、外壁には複数の光ファイバーが埋め込まれており、夜になると12宮星座が壁面に浮かび上がる。
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今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、高松伸が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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