九州で最も人口が多く、福岡市と北九州市という2つの政令指定都市を抱える福岡県。
博多ラーメンやもつ鍋など料理がおいしいことでも知られる福岡県ですが、実は一風変わった建築物も多く存在する。
そこで今回は、「福岡県の有名建築物17選」をご紹介します。
福岡県の有名建築物17選【現代建築~レトロ建築まで】
1.北九州市立中央図書館

- 設計:磯崎新アトリエ+環境計画
- 竣工:1974年
- 用途:図書館・歴史博物館・視聴覚センター
- 住所:北九州市小倉北区城内4番1号
- URL:公式ページ
北九州市立中央図書館は、福岡県北九州市に建つ公立図書館である。
設計を務めたのは、北九州市立美術館や由布院駅などを手掛けたことで知られる建築家『磯崎新』。
ボールト(アーチを連続させた形)の屋根が特徴的で、ボールト特有の包み込むような優しい空間が魅力的な図書館となっている。
2013年に公開された映画『図書館戦争』のメインロケ地と使用されたことでも知られる。
2.九州国立博物館




- 設計:菊竹清訓
- 竣工:2003年
- 用途:博物館
- 住所:福岡県太宰府市石坂4-7-2
- URL:公式ページ
九州国立博物館は、日本に4つある国立博物館(東京・京都・奈良・九州)の中で唯一、歴史系博物館として2005年に開館した博物館である。(九州以外はすべて美術系博物館)
設計を務めたのは、江戸東京博物館やスカイハウスなどで知られる建築家『菊竹清訓』。
周囲の雄大な自然を写す大きなガラススキンと、その内部に構築される柱のがほとんどない超大空間が最大の特徴である。
一見大胆な建築に見えるが、細部には木材が使用され和を感じられる工夫を施していたりなど、細かな部分にも魅力が詰まった建築となっている。




3.アクロス福岡




- 設計:エミリオ・アンバース、日本設計、竹中工務店
- 竣工:1995年
- 用途:公民複合施設
- 住所:福岡県福岡市中央区天神1-1-1
- URL:公式ページ
アクロス福岡は、コンサートホールや国際会議場を始めとする公共施設と、ショップやレストランなどの民間施設が複合された「公民複合施設」である。
設計は、アルゼンチンの建築家『エミリオ・アンバース』と『日本設計』『竹中工務店』が共同で行った。
最大の特徴は、斜めに切られたような階段状の屋上と、その上に広がる山のような緑化空間である。
この空間は「アクロス山」ともいわれ、前面の天神中央公園から緑を連続する形で広がり、建物の上にラピュタのような空中庭園を作り出す。




4.ぐりんぐりん




- 設計:伊東豊雄建築設計事務所
- 竣工:2005年
- 用途:温室 その他
- 住所:福岡県福岡市東区香椎浜3丁目地内
- URL:公式ページ
ぐりんぐりんは、博多湾東部の「福岡アイランドシティ」という人工島の上に建つ、温室などからなる丘状建築の名称である。
設計を務めたのは、せんだいメディアテークやぎふメディアコスモスなどで知られる建築家『伊東豊雄』。
ぐりんぐりん最大の特徴は、何といっても丘のような局面で形成される有機的な大屋根である。
伊東氏は丘のような有機的な形態を用いることで、人々の多様なアクティビティを誘発するような環境を人工島につくろう試みた。




5.北九州市立美術館




- 設計:磯崎新アトリエ+環境計画
- 竣工:1974年
- 用途:美術館
- 住所:福岡県北九州市戸畑区西鞘ケ谷21―1
- URL:公式ページ
北九州市立美術館は「丘の上の双眼鏡」という愛称を持つ、1970年代に建設された歴史のある建築物である。
設計を務めたのは、京都コンサートホールや由布院駅の設計者としても知られる建築家『磯崎新』。
北九州市立美術館は磯崎新の代表作であり、そのシンメトリーな外観や拡張性を感じさせるメタボリズム的な形態は「THE磯崎建築」と言えるだろう。
さらに、この美術館は映画『デスノート』や『図書館戦争』などのロケ地としても使用されたことで一時期話題になった。
6.スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店




- 設計:隈研吾建築都市設計事務所
- 竣工:2011年
- 用途:飲食店
- 住所:福岡県太宰府市宰府3-2-43
- URL:公式ページ
スターバックス太宰府天満宮表参道店は、太宰府という伝統と歴史のある街に建つスターバックスである。
設計を務めたのは、国立競技場や浅草文化観光センターなどの設計者として知られる建築家『隈研吾』。
建築最大の特徴は、店内のみならず店の外まで飛び出てくるように空間を覆う、隈研吾お得意の木組み構造。
この木組みによって、太宰府という歴史ある街並みに溶け込みつつ、インパクトを与えるようなスターバックスが完成している。




7.福岡市美術館




- 設計:前川國男建築設計事務所
- 竣工:1979年
- 用途:美術館
- 住所:福岡県福岡市中央区大濠公園
- URL:公式ページ
福岡市美術館は、22万平方メートルの大池を有した大濠公園の敷地内に建つ、市立美術館である。
設計を務めたのは、東京都美術館や東京都文化会館など多くの文化施設を設計したことでも知られる建築家『前川國男』。
建築最大の特徴は、レンガ色のタイルで埋め尽くされ外壁と、空間を包み込むようななめらから曲面を持つボールト屋根による荘厳な空間構成である。
2019年には、新しいアプローチ空間設けるなど、街との親和性がより高められた建築としてリニューアルオープンを果たした。
8.福岡銀行本店




- 設計:黒川紀章建築・都市設計事務所
- 竣工:1975年
- 用途:専用事務所
- 住所:福岡県福岡市中央区天神2-13-1
- URL:公式ページ
福岡銀行本店は、1975年に本部として建設され、現在は営業部門のみの機能が入った歴史のある建築物である。
設計を務めたのは、国立新美術館や中銀カプセルタワービルなどを手掛けたことで知られる建築家『黒川紀章』。
直方体を大胆に切り取った構成が特徴的で、日本の街にある軒下空間をイメージしつつ、街に対して寛容な空間を目指したという。
さらに、その軒下空間には緑や彫刻などを設置することで、銀行という堅いイメージのある施設に文化性や公共性をもたらしている。
9.九州芸文館




- 設計:隈研吾建築都市設計事務所
- 竣工:2012年
- 用途:研修施設 展示施設
- 住所:福岡県筑後市大字津島1131
- URL:公式ページ
九州芸文館は、筑後船小屋駅前に立つ、ギャラリーや工房などからなる文化交流施設である。
設計を務めたのは、国立競技場や根津美術館などを手掛けたことで知られる建築家『隈研吾』。
複雑な多角形を持った傾斜面が、ある時には屋根となり、またある時には壁となり、またまたある時にはゲートとなり、建築を開いたり閉じたりして一つの施設に多様な空間を作り出している。
さらに、建物中央には大きな中庭も存在し、建築全体が街に対して開かれた印象を持つ。
10.TOTOミュージアム
- 設計:梓設計
- 竣工:2015年
- 用途:展示場 博物館 事務所
- 住所:福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
- URL:公式ページ
TOTOミュージアムは、トイレメーカーで圧倒的なシェアを誇るTOTOの歴史や今後について発信するために建てれた施設である。
設計を務めたのは、埼玉スタジアムや東京国際空港国際線旅客ターミナルなどを設計した、大手設計事務所『梓設計』。
建築では、TOTOを象徴する形態として『水滴』と『大地』をイメージしつつ、衛生陶器のような滑らかな曲面を持つ白い構造体によって、TOTOらしさを存分に表現している。
11.博多リバレイン




- 設計:日建設計など
- 竣工:1999年
- 用途:美術館 店舗 住宅 事務
- 住所:福岡県福岡市博多区下川端町
- URL:公式ページ
博多リバレインは、「博多リバレインモール」や「福岡アジア美術館」「ホテルオークラ福岡」など、再開発によって生まれた二つの街区にまたがる施設群の総称のことである。
大規模開発なだけあって設計には、日建設計・観光企画設計社・都市未来ふくおか・西日本技術開発設計共同企業体など様々な企業などがかかわっている。
複数の施設からなる博多リバレインだが、最も魅力的なのは写真上部にあるガラスの屋根と壁に囲われた「アトリウムガーデン」である。
このアトリウムガーデンでは、外部なのか内部なのかわからなくなるような魅力的な空間がつくられている。
12.キャナルシティ博多




- 設計:ジャーディ・パートナーシップなど
- 竣工:1996年
- 用途:専用店 量販店 飲食店 ホテル 劇場 映画館 事務所
- 住所:福岡市博多区住吉1-2-22
- URL:公式ページ
キャナルシティ博多とは、7つの施設からなる超大型複合商業施設である。
基本計画は、アメリカの建築家ジョン・ジャーディ氏が担当し、具体的な設計に関しては福岡地所や清水建設など多くの企業が担当している。
建築は「運河を軸とする都市」というコンセプトを基に、大胆にも河川から運河として水を引き込み、その周りにまるでテーマパークのような都市を建設している。
13.ヒルトン福岡シーホーク




- 設計:シーザー・ぺリ&アソシエーツ
- 竣工:1995年
- 用途:ホテル
- 住所:福岡県福岡市中央区地行浜2丁目2番3号
- URL:公式ページ
ヒルトン福岡シーホークは、福岡ドームのすぐ隣に建つ高さ143メートルにも及ぶ超高層ホテルである。
設計を務めたのは、国立国際美術館や大阪歴史博物館などを手掛けたことで知られるアメリカの建築家『シーザーペリ』。
強大な船をモチーフとして設計されたホテルももちろん魅力的だが、さらに注目したいのがその横に建つ、高さ40m程あるガラス張りのアトリウム空間である。
この空間、実は内部は天井高が約40mもあるレストランのダイニングスペースとなっている。
世界一贅沢な空間の使い方である。
14.福岡ドーム




- 設計:竹中工務店+前田建設工業
- 竣工:1993年
- 用途:野球場
- 住所:福岡県福岡市中央区地行浜2-2-2
- URL:公式ページ
福岡ドームは現在、福岡ソフトバンクホークスの本拠地として使用されているドーム型球場である。
設計を務めたのは、竹中工務店と前田建設工業。
日本初の開閉式ドームとして建設され、2020年にPayPayが命名権を取得してからは、『福岡PayPayドーム』として野球ファンに親しまれている。
15.北九州国際会議場




- 設計:磯崎新アトリエ
- 竣工:1990年
- 用途:会議場 イベントホール 事務所
- 住所:福岡県北九州市小倉北区浅野3-9-30
- URL:公式ページ
北九州国際会議場とは、国際会議はもちろん、学会やセミナーなど幅広い目的をもって1990年に建てられた施設である。
設計を務めたのは、北九州市立美術館や由布院駅などを手掛けたことで知られる建築家『磯崎新』。
最大の特徴である鮮やかな色使いだが、これは埋め立て地特有の暗い雰囲気を払拭しつつ、国際会議場という用途の華やかさを演出するために、磯崎氏はこのような配色にしたと言う。
その他にも、波打つような大屋根や、敷地の軸線から決められたという建物の全体構成など、磯崎らしい設計手法がふんだんに取り入れられた建築となっている。
16.関門海峡ミュージアム




- 設計:仙田満など
- 竣工:1990年
- 用途:展示施設
- 住所:福岡県北九州市門司区西海岸1-3-3
- URL:公式ページ
関門海峡ミュージアムは、本州と九州を隔てる海峡「関門海峡」の歴史や文化を伝えるために建設された歴史博物館である。
設計を務めたのは、石川県立図書館やマツダスタジアムを手掛ける建築家『仙田満』。
建築としては、アールデコ的なレトロな雰囲気を持つ写真左の建物と、逆円錐型で何層もの庇を持つ写真右のガラスの建物という、異質なものを混在することで、多様な空間が生み出されている。
17.九州歴史資料館




- 設計:久米設計・三島設計・吉田建築設計事務所
- 竣工:2009年
- 用途:博物館
- 住所:福岡県小郡市三沢5208-3
- URL:公式ページ
九州歴史資料館は、九州の歴史や文化を発掘・調査・研究し、その成果を公開することを目的として建設された歴史博物館である。
設計は、久米設計・三島設計・吉田建築設計事務所が共同で行った。
建築構成としては、低層寄棟造り・深い軒下空間・大きな中庭など、和を感じる構成が魅力的で、時の流れを忘れるような落ち着いた雰囲気がつくられている。
まとめ
今回紹介した建築物をまとめます。
- 北九州市立中央図書館
- 九州国立博物館
- アクロス福岡
- ぐりんぐりん
- 北九州市立美術館
- スターバックスコーヒー 太宰府天満宮表参道店
- 福岡市美術館
- 福岡銀行本店
- 九州芸文館
- TOTOミュージアム
- 北九州市立いのちのたび博物館
- 博多リバレイン
- キャナルシティ博多
- ヒルトン福岡シーホーク
- 福岡ドーム
- 北九州国際会議場
- 関門海峡ミュージアム
- 九州歴史資料館
今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございます!
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