みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」です。
今回紹介するのは、富山県にある有名建築物15選です。
富山県には、隈研吾・磯崎新・長谷川逸子といった有名建築家が設計を務める建築作品はもちろんのこと、あまり知られていない魅力的な建築物も数多く存在します。
今回はそのような、建築物の概要や建築的な特徴などを簡潔に説明しているので、富山県で建築巡りをする際には、是非本記事を参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
富山県の有名建築物15選【隈研吾・磯崎新・長谷川逸子など】
1.高岡市美術館【内井昭蔵】

- 設計:内井昭蔵建築設計事務所
- 竣工:1993年
- 用途:美術館
- 住所:富山県高岡市中川
- URL:公式ページ
高岡市美術館は、富山県高岡市・古城公園沿いに建つ公立美術館である。
高岡伝統の金工・漆芸の作品を中心に、様々な美術作品や工芸作品の収集・展示を行いつつ、積極的に美術家や研究者による講演を行うなど、幅広い活動を行っている。
本施設の設計は、世田谷美術館や大分市美術館など、数多くの美術館建築を手がけたことで知られる建築家「内井昭蔵」が担当している。
建築としては、円形平面を持った「アートホール」を中心に建物が展開されており、さらに前面広場と高岡市美術館の間には「パティオ」と呼ばれる、地下に設置された中庭空間が広がっている。
また、高岡市美術館のすぐそばには、同じく内井昭蔵が設計を務めた「青井記念館」が建設されており、高岡市美術館と青井記念館をつなぐようにして、ジグザグと折れ曲がる「アルミキャスト屋根」に覆われた回廊空間がつくられている。
2.射水市大島絵本館【長谷川逸子】




- 設計:長谷川逸子・建築計画工房
- 竣工:1994年
- 用途:文化施設
- 住所:富山県射水市鳥取
- URL:公式ページ
射水市大島絵本館は、1994年・富山県射水市に建てられた「世界の絵本」をテーマとする公立博物館である。
元々は、富山県射水郡大島町に建つ「大島町絵本館」として開館した博物館であるが、大島町が周辺市町村と合併して「射水市」となったため、名称を変更し、現在の「射水市大島絵本館」になった。
本施設の設計は、日本人女性として初めて大規模公共建築の設計を担当したとされる建築家「長谷川逸子」が担当。
建築としては「閉鎖的な壁」と「透明な壁」が交互に連続するファサードが印象的な外観を形成しており、そのファサードに対応するように内部でも「閉鎖的な空間」と「開放的な空間」が交互に連続した構成となっている。
また、この敷地には「3つの小さな丘」があり、その丘の一つに射水市大島絵本館が設置されているのだが、他の2つの丘と絵本館がある丘は「ゆるやかなスロープ」でつながれており、回遊的な動線が形成されている。
3.黒部川第二発電所【山口文象】




- 設計:山口文象
- 竣工:1936年
- 用途:発電所
- 住所:富山県黒部市宇奈月温泉
- URL:参考ページ
黒部川第二発電所は、富山県黒部市にある「小屋平ダム」の下流に建つ発電所施設である。
本施設の設計は、モダニズム建築の先駆者としても知られる、昭和期を代表する建築家「山口文象」が担当。
今見ると、どこにでもありそうなごく一般的な建築物だが、竣工当時はこのような装飾を極限までなくした「モダニズム建築」は珍しく、日本モダニズム初期の代表作として知られている。
また、現在はあまり聞かないが、戦前には建築家がダムや橋といった土木建築物をデザインするという事例も複数存在しており、この地域に建つ「小屋平ダム」「目黒橋」などといった土木建築物は、発電所と同じく山口文象が設計を担当している。
4.TOYAMAキラリ【隈研吾】
- 設計:隈研吾建築都市設計事務所
- 竣工:2015年
- 用途:美術館・図書館・銀行本店など
- 住所:富山県富山市西町
- URL:公式ページ
TOYAMAキラリは、元々百貨店が建っていた敷地に「再開発ビル」として建設された、美術館・図書館・銀行本店などからなる複合施設である。
本施設の設計は、新国立競技場や浅草文化観光センターなど、木材を使用した和風建築を数多く手がけることで知られる建築家「隈研吾」が担当。
再開発ビルという堅いイメージのあるものに対して「ゆるい再開発ビル」というテーマを基に本施設は設計されている。
建築としては、3種類のパネルによるきらきらとした外観と、木質ルーバーに囲われた斜めに伸びる吹き抜け空間が特徴的で、ぶる建築らしくない豊かな空間が形成されている。




5.富山県美術館【内藤廣】
- 設計:内藤廣建築設計事務所
- 竣工:2017年
- 用途:美術館
- 住所:富山県富山市木場町
- URL:公式ページ
富山県美術館は、20世紀以降の優れた近現代美術作品を数多く展示している、富山県富山市木場町に建つ公立美術館である。
設計は、木材をふんだんに取り入れた建築作品を数多く手がけることで知られる建築家「内藤廣」が担当。
本施設は、富岩運河と神通川に挟まれたウォーターフロントの敷地に建てられており、その敷地と呼応するようなクリアなガラス面が印象的な外観を形成している。
また、建物の屋上には「オノマトペの屋上」と呼ばれる緑豊かな屋上庭園が設置されており、周囲の自然や街並みを眺めながら、子供たちが楽しく遊べる魅力的な空間がつくられている。
6.富山県総合福祉会館【池原義郎】




- 設計:池原義郎・建築設計事務所
- 竣工:1999年
- 用途:事務所 集会場
- 住所:富山県富山市安住町
- URL:公式ページ
富山県総合福祉会館は、ホール・交流サロン・事務室などからなる、富山県富山市安住町にたつ総合福祉施設である。
設計は「西武遊園地」や「西武ドーム」など数多くの大型公共施設を設計したことで知られる建築家「池原義郎」が担当。
本施設は「直方体」と「三角柱」が組み合わされたボリュームが宙に浮いたような外観が特徴的だが、この形態はかつて神通川を流れていた舟に見えることから、本施設は「サンシップとやま」という愛称がつけられている。
また、本施設は福祉施設としては珍しく、全面的にガラス張りとなった構成が特徴ともなっているが、これは健常者と障がい者の心理的・視覚的な障壁を取り払う事を目指したデザインになっている。
7.富山国際会議場【槇文彦】




- 設計:槇総合計画事務所
- 竣工:1999年
- 用途:会議場
- 住所:富山県富山市大手町
- URL:公式ページ
富山国際会議場は、国際会議や学術会議などの大規模なコンベンションを行う場として、1999年・富山県富山市に建設された国際会議場である。
本施設の設計は、日本建築界の巨匠「槇文彦」が担当。
建築としては、箱型ボリュームの2面がガラスカーテンウォールとなった非常にシンプルな外観となっており、内外のアクティビティをお互いに感じられる、透明性の高い空間が形成されている。
また、ガラス面と内部空間の間には、部分的に「木製格子のスクリーン」が配置されており、この木製格子が単調なファサードや内部空間に多様な変化をもたらしている。
8.富山市民プラザ【槇文彦】




- 設計:槇総合計画事務所
- 竣工:1989年
- 用途:ホール・ギャラリーなど
- 住所:富山県富山市大手町
- URL:公式ページ
富山市民プラザは、ホール・ギャラリー・レストランなど複数の施設を内包する、富山県富山市に建つ複合施設である。
設計は、日本建築界の巨匠「槇文彦」が担当。
本施設の隣には、同じく槇文彦が設計を担当した「富山国際会議場」が建っている。
施設全体としては、大小さまざまな高さをもつ棟が複雑に絡まり合い、中央のトップライトを持つアトリウム空間を中心として、一つの都市のような多様な空間を作り出している。
このような、多様な空間性を見ると、今の代官山の街並みを作ったと言われる槇文彦の代表作「ヒルサイドテラス」を想起するのは私だけではないはずだ。
9.富山県水墨美術館【富山県建築設計監理協同組合】
- 設計:富山県建築設計監理協同組合
- 竣工:1998年
- 用途:美術館
- 住所:富山県富山市五福
- URL:公式ページ
富山県水墨美術館は、近代以降の水墨画の保存・展示を目的として1998年に建てられた、富山県富山市に建つ公立美術館である。
建築の設計は、県内20社以上の設計事務所が集結して1965年に結成した「富山県建築設計監理協同組合」が担当。
本施設は、日本伝統の「寄棟屋根・瓦葺き・平屋建て」という要素を「鉄筋コンクリート造」という強固な構造体で形成した和風デザインの建物となっており、深い軒の下から太いコンクリートの柱が伸びる様子が斬新なデザインで面白い。
また、この和風の建物は、芝生で覆われた大きな中庭を囲うようにして「L字型」の平面形状となっており、常に自然を感じられるような内部構成も魅力の一となっている。
10.氷見市海浜植物園【長谷川逸子】




- 設計:長谷川逸子・建築計画工房
- 竣工:1995年
- 用途:植物園
- 住所:富山県氷見市柳田
- URL:公式ページ
氷見市海浜植物園は、日本各地の海浜植物を中心的に取り扱う植物園として、1996年に開館した植物展示施設である。
建築の設計は、日本人女性として初めて大規模公共建築の設計を行ったとされる建築家「長谷川逸子」が担当。
本施設は、楕円形の「中庭・展示園」を囲うようにして、サークルを描く細長いボリュームの「展示棟」「温室棟」「管理棟」などが配置された全体構成となっている。
このサークル状の平面形態は、人間と植物の間に存在する「食物連鎖」をイメージしたデザインとなっており、植物への感謝の気持ちをサークルという形態によって表現しているらしい。
11.富山県立山博物館・展示館【磯崎新】




- 設計:磯崎新アトリエ
- 竣工:1991年
- 用途:博物館
- 住所:富山県中新川郡立山町
- URL:公式ページ
富山県立山博物館は、総面積約13ヘクタールの広大な敷地の中に、展示館・遙望館・まんだら遊苑といった複数の施設が分散配置された「広域分散型博物館」である。
ここで紹介する「展示館」は、富山県立山博物館の中でも常設展示室や企画展示室を有する中核施設となっており、日本を代表する山「立山」の歴史・自然・文化に関する展示などを執り行っている。
展示館の設計は、長年にわたり日本建築界を牽引してきた建築家「磯崎新」が担当。
建築としては、立山を象徴するかのような山型のボリュームに、緩やかな曲面を持つボリュームが貫入した全体構成となっており、来館者はこの曲面壁に沿うように設けられた内部階段を介して、各展示空間を回っていく動線計画となっている。
また、建物の中央には外周部の階段とは別に「螺旋階段」が設置されており、山型建築の頂点にあるピラミッド型のトップライトはこの螺旋階段の位置と対応している。
12.太閤山ランド展望塔「JETタワー」【葉祥栄】
- 設計:葉デザイン事務所+富山県建築設計監理協同組合
- 竣工:1992年
- 用途:展望塔
- 住所:富山県射水市黒河
- URL:公式ページ
太閤山ランド展望塔「JETタワー」は、富山県射水市にある都市公園「太閤山ランド」の中に建つ展望塔として、1992年に建設された建築物である。
建築の設計は、熊本県熊本市出身の建築家・葉祥栄が設立した「葉デザイン事務所」と「富山県建築設計監理協同組合」が共同で担当。
本施設は、標高60mの地点に高さ32mで建設されているため、立山連峰や富山平野などといった素晴らしい眺めを一望できる展望スポットとなっている。
建築としては、4本の足に支えられた「ロの字型平面」を描く形態が象徴的な外観を形成しており、この内部空間はすべてが展示室となり回遊的な展望空間を作り出している。
13.富山県総合運動公園陸上競技場【曽根幸一】
- 設計:曽根幸一・環境設計研究所
- 竣工:1993年
- 用途:観覧場(陸上競技場)
- 住所:富山県富山市南中田
- URL:公式ページ
富山県総合運動公園陸上競技場は、富山県総合運動公園内に建つ陸上競技・サッカー・各種イベントなどを行うことができるスポーツ施設である。
建築の設計は、静岡県出身の建築家・曽根幸一が設立した「曽根幸一・環境設計研究所」が担当。
本施設は、緩やかな曲線を持つスタンドを「V字型の列柱」が力強く支えた構成が印象的な外観を形成しており、幾何学による形態とコンクリートの無骨さがいい味を出した建築物となっている。
また、メインスタンド以外の部分にはファミリースタンドと呼ばれる「芝生席」が3面に設けられており、日常利用もしやすい、親しみ深いスタジアムを形成している。
14.黒部市庁舎【山下設計】




- 設計:山下設計
- 竣工:2015年
- 用途:市庁舎
- 住所:富山県黒部市三日市1301
- URL:公式ページ
黒部市庁舎は、行政機能・保健センター・交流スペースといった複数の機能を内包する富山県黒部市の市庁舎として2015年に建設された建築物である。
建築の設計は、日本の大手組織設計事務所「山下設計」が担当。
本施設は、南北に細長く伸びた「交流棟」と、北側に配置された「行政棟」の2棟によって構成されており、上の写真は本施設の顔となる「交流棟」を前面広場から撮影したものである。
交流棟は、長辺方向に「ブレース柱構造」、短辺方向には「純ラーメン構造」を採用しており、黒光りするブレース柱と水平性を強調したスラブの組み合わせが、スタイリッシュな外観を形成している。
15.滑川市民交流プラザ【三四五建築研究所】




- 設計:三四五建築研究所
- 竣工:2007年
- 用途:集会場・レストラン・公衆浴場
- 住所:富山県滑川市吾妻町
- URL:公式ページ
滑川市民交流プラザは、集会場・レストラン・公衆浴場など複数の交流機能を内包する、富山県滑川市に建つ市民交流施設である。
建築の設計は、富山県を拠点に設計活動を行う「三四五建築研究所」が担当。
建築としては、力強いコンクリートの「V字柱」の上に、全面ガラス張りの「キューブ型ボックス」が乗っかった構成がシンボリックな外観を作り出しており、重厚感と軽快さを併せ持った建築物となっている。
また、キューブ型ボックスの中央には円形の吹き抜けに、三角形を描く階段が設けられた「アトリウム空間」が形成されており、外観もそうだが、複数の幾何学形態の組み合わせによって本施設は構成されていることがわかる。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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