建築

ヒルサイドテラス【槇文彦】

ヒルサイドテラスとは?

A棟・B棟
photo by Wiiii/ CC 表示-継承 3.0

ヒルサイドテラスは、渋谷区猿楽町・鉢山町の旧山手通り沿いに建ち並ぶ、集合住宅・店舗などからなる複合施設である。

設計を務めたのは、日本を代表する建築家槇文彦。

「代官山という街の形成に影響を与えた作品」

ヒルサイドテラスの特徴である、「都心部で高さを抑えた構成」「住居と店舗の併設」「30年にわたる計画」などは、現在の代官山という街並を形成した基盤になっている。

たけひこ
たけひこ

そんな、ヒルサイドテラスの特徴をご紹介します!!

槇文彦とは?

  • 1928 東京都に生まれる
  • 1953 東京大学工学部建築学科卒業
  • 1954 米最大の建築事務所SOM勤務
  • 1955 セルト・ジャクソン建築設計事務所勤務
  • 1993 プリツカー賞受賞

槇文彦は、日本を代表する建築家であり、国内外で数々の権威ある賞を受賞してきた経験を持つ。

代表作としては、「スパイラル」「名古屋大学豊田講堂」「ヒルサイドテラス」などが挙げられ、特にヒルサイドテラスは世界中から高く評価されている。

建築の傾向としては、人々が心地いいと感じる空間構成を追求されており、年月を重ねても色あせない空間が魅力的である。

建築の特徴

F棟・G棟
photo by Wiiii/ CC 表示-継承 3.0

ヒルサイドテラスの特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 住居と店舗を併設
  2. 30年にわたる都市計画
  3. 都心部で高さを抑えた計画
  4. 代官山と呼応する建物
  5. 人々を引き込む工夫
  6. ヒルサイドテラスに隣接する「代官山蔦屋書店」

住居と店舗を併設した施設

ヒルサイドテラスのオーナーである朝倉家の当主は、槇文彦氏と大学の同窓生という縁から、集合住宅の計画を槇氏に依頼した。

当時、この地域は、第一種住居専用地区に指定されていたため、住宅以外の建物は建設できなかった。

そこで槇氏は、一団地計画として用途規制緩和を申請。

これにより、ショップやレストランなど店舗と住居を併設するヒルサイドテラスが完成した。

30年にわたる都市計画

ヒルサイドテラスは、1969年~1998年まで約30年の歳月をかけて建てられた複合施設である。

  • 第一期:1969 A・B棟
  • 第二期:1973 C棟
  • 第三期:1977 D・E棟
  • 第四期:1985 アネックスA・B棟
  • 第五期:1987 ヒルサイドプラザ
  • 第六期:1992 F・G・H棟
  • 第七期:1998 ヒルサイドウエスト

期を重ねるごとに得られる教訓によって、ヒルサイドテラスは多様に変化しつつ、低層の建物という構成は一貫。

この四半世紀にわたる変容と一貫性の記録は、都市開発のケーススタディともなっている。

都心部で高さを抑えた計画

  • 用途規制(住居のみ建設可)
  • 高さ制限(高さ10m以下)

第一期計画当初、用途規制は緩和されたが、高さを10m以下にしなけらればならないという規制は残っていた。

そのため、第一期計画で建てられたA・B棟は当然高さが10m以下になっている。

その後、高さ制限も緩和されたが、建物の統一性を作り出すために、道路に面した建物の高さは10m以下に抑えられた。

この一貫した構成は、国内外から高く評価され、現在の代官山の街並み形成に大きな影響を与えたとも言われている。

代官山と呼応する建物

C棟アプローチ

代官山は起伏の多い地形が特徴的であり、ヒルサイドテラスではこの特有の地形が建物に織り込まれている。

例えば、ヒルサイドテラスの内部空間では、スロープやスキップフロアによって床の高さが多用に変化。

この構成により、代官山の地形と呼応しつつ、人々を内側へ誘導している。

人々を引き込む工夫

C棟中庭空間

さらに、ヒルサイドテラスでは、人々を内側へ誘導するた工夫がたくさんされている。

  1. 広々とした中庭空間
  2. 隅入りのアプローチ空間
  3. ピロティ空間

隅入りとは、コーナーから建物へアプローチする形式のことで、日本の伝統的な建築でよく見られる構成である。

このような、魅力的な空間構成が槇文彦氏の真骨頂でもある。

ヒルサイドテラスに隣接する「代官山蔦屋書店」

ヒルサイドテラスの横には、代官山蔦屋書店が隣接している。

この蔦屋書店の設計は、クラインダイサムアーキテクトという建築事務所で、ヒルサイドテラスのように低層の建物群によって構成されている。

さらに、高さや距離感に変化を持たせることによってヒルサイドテラスに溶け込みつつ、シンボルであるT型が連続したファサードで個性も作り出している。

建築概要

  • 所在地:東京都渋谷区猿楽町
  • 竣工 :1969 – 1992
  • 用途 :集合住宅、店舗
  • 構造 :RC造など
  • 設計 :槇総合計画事務所
  • 施工 :竹中工務店
  • 構造 :山杞設計
  • 設備 :桜井建築設備研究所

施設概要

最後に・・・

以上がヒルサイドテラスの特徴でした。

代官山の現在の街並みをつくったともいえる空間構成が魅力的な建築だったと思います。

たけひこ
たけひこ

是非一度、ヒルサイドテラスに訪れてみてください!!

ご覧いただきありがとうございました。

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