山梨文化会館とは?

山梨文化会館は、山梨のテレビ局・新聞社・印刷社など、マスメディアの中核をなす企業を収容したオフィスビルである。
設計を務めたのは、世界的に有名な建築家丹下健三。
設計コンセプト「成長する都市や建築」
このコンセプトを基に建設された山梨文化会館は、1960年代の建築運動「メタボリズム」の代表作品として知られている。
またこの建築は、DOCOMOMO JAPAN選定の日本におけるモダン・ムーブメントの建築100選に選ばれている。

そんな、山梨文化会館の特徴をご紹介します!!
丹下健三とは?
- 1913 大阪府堺市に生まれる
- 1938 東京帝国大学工学部建築科卒業
- 1938 前川國男建築事務所入所
- 1941 東京帝国大学大学院入学
- 1946「丹下研究室」を作る
- 1951 CIAM参加
- 1987 プリツカー賞受賞
- 2005 3月22日死去(91歳)
丹下健三は、日本のモダニズム建築の基礎を作り上げた人物である。
さらに、「世界のタンゲ」とも呼ばれていたように、世界的にも活躍された建築家であった。
代表作としては、「東京カテドラル」や「代々木体育館」などが挙げられ、大規模で国家的な建築を多く手がけたことでも知られている。
建築の特徴

山梨文化会館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- メタボリズムの構成
- 成長する都市や建築
- 自由な平面
- 立体都市のような内部空間
メタボリズムの構成

山梨文化会館の最大の特徴は、直径5mの16本の円柱によるシンプルな構成である。
この構成は、1960年代の建築運動「メタボリズム」の考えを取り入れたものであり、円柱に梁を付け足すだけで増築が可能な、成長する建築となっている。
日本語で新陳代謝を意味し、人間の新陳代謝のように、建築も成長していくことを目標とした建築運動のことをいう。
成長する都市や建築

「成長する都市や建築」というコンセプトをもとに、山梨文化会館は実際に改修・増築が繰り返されている。
- 第一期(1974年):北東6,7,8階と南東5,6,8階の増築
- 第二期(1990年):1~5階の内外装を改修など
- 第三期(1997年):7階に貴賓室・8階にラジオスタジオ新設
- 第四期(2000年):外装全面改修
- 第五期(2005年):1Fの増床
- 第六期(2013年):大規模改修
- 第七期(2016年):免震構造に変身
このように、山梨文化会館は内包する企業の成長と共に建築自体も成長していく構成となっている。
また、将来的には「100年建築」を目指し様々な計画が、竣工から50年以上たった現在でもされている。
自由な平面

山梨文化会館の特徴的な円柱と梁による構成によって、内部空間では構造的に内部を仕切る壁などを設けなくてもいいようになっている。
そのため自由な間取りが可能となり、豊かな内部空間がつくられている。
立体都市のような内部空間
特徴的な円柱の内部空間は、エレベーターや螺旋階段、トイレ、空調設備などとして有効的に活用されている。
この円柱シャフト内の垂直方向の動線と、梁による水平方向の通路によって、人やモノが行きかう立体都市を形成。
「建築設計は小さな都市づくりであり、都市設計は大きな建築設計である」
という丹下健三の持論を実現した建築となっている。
建築概要
- 所在地:山梨県甲府市北口
- 竣工 :1966年
- 用途 :事務所、テレビスタジオなど
- 構造 :RC造 SRC造
- 階数 :地上8階、地下2階
- 高さ :42.735m(塔頂58.3m)
- 設計 :丹下健三
- 構造 :横山建築構造設計事務所
- 設備 :建築設備綜合設計研究所
- 施工 :住友建設
施設概要
- Tel :055-231-3000
- URL :https://www.sannichi-ybs.co.jp/tange-kenzo
最後に・・・
以上が山梨文化会館の特徴でした。
円柱シャフトと梁による、水平・垂直が際立った外観とそれに伴う内観が魅力的なモダニズムらしい建築であったと思います。

機会があれば是非、山梨文化会館を訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。