レンゾ・ピアノとは?
レンゾ・ピアノの経歴
- 1937年 イタリア・ジェノバに生まれる
- 1964年 ミラノ工科大学卒業
- 1965年 スタジオ・ピアノ設立
- 1971年 ピアノ&ロジャース共同設立
- 1981年 レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップ設立
- 1989年 RIBAゴールドメダル受賞
- 1993年 プリツカー賞受賞
- 2008年 AIAゴールドメダル受賞
レンゾ・ピアノは、1970年代に登場した革新的な建築思潮「ハイテク建築」のパイオニアとして知られる、イタリア・ジェノバ出身の建築家である。
1971年にイギリスの建築家・リチャード・ロジャースとともに参加した「ポンピドゥー・センター」のコンペで1等を獲得し、これまでの常識を覆すようなハイテク建築を手がけたことで、レンゾ・ピアノの名は世界に轟いた。
その後も世界各地でユニークな建築作品を数多く手がけ、プリツカー賞やRIBAゴールドメダルといった名だたる建築賞を総なめにしている。
ピアノの代表作としては、出世作である「ポンピドゥー・センター」はもちろんのこと、日本を代表する空港建築「関西国際空港旅客ターミナルビル」や、スイスに建つ「バイエラー財団美術館」など、多種多様な建築作品が挙げられる。
レンゾ・ピアノの代表作7選
1.ポンピドゥー・センター
- 設計:レンゾ・ピアノ+リチャード・ロジャース
- 住所:フランス・パリ
- 竣工:1977年
- 用途:美術館・図書館など
- URL:建築詳細ページ
ポンピドゥー・センターは、1977年にフランスパリの中心地に竣工した、美術館や図書館などの機能を内包する複合文化施設である。
建築の設計は、当初はまだ無名であった「レンゾ・ピアノ(イタリア)」と「リチャード・ロジャース(イギリス)」による建築家ユニットが担当。
ポンピドゥー・センターでは、通常なら建物の奥深くに隠してしまう構造や設備といった要素を、あえてファサードに表出しており、このメカニックな設計スタイルは「ハイテク建築」と呼ばれた。
リチャード・ロジャースが世界的に注目されるきっかけとなった、重要な建築作品である。
建築詳細ページ
2.関西国際空港旅客ターミナルビル
- 設計:レンゾ・ピアノetc.
- 住所:大阪府泉南郡田尻町
- 竣工:1994年6月
- 用途:空港
- URL:建築詳細ページ
関西国際空港旅客ターミナルビルは、大阪国際空港・神戸空港とともに関西三空港の一つとして知られる「関西国際空港」のターミナルビルとして、1994年に竣工した空港建築である。
建築の設計は、レンゾ・ピアノを中心とする、国際設計共同体によって実施された。
建築全体は、全長約1.7kmにも及ぶ流れるような大屋根によって覆われており、様々な機能が複雑に絡み合うターミナルビルという特殊なビルディングタイプに、ある種の一体性をもたらしている。
また、この建築では意匠・構造・設備といった要素が一体的に設計されており、ハイテク建築家として知られるレンゾ・ピアノらしい設計スタイルが顕著に表れている。
1995年には日本建築学会賞作品賞も受賞している、日本を代表する空港建築である。
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3.バイエラー財団美術館
- 設計:レンゾ・ピアノ
- 住所:スイス リーエン
- 竣工:1997年
- 用途:美術館
- URL:建築詳細ページ
バイエラー財団美術館は、美術商として名を馳せたバイエラー夫妻のコレクションを展示するための施設として、1997年スイスのリーエンという街に建てられた美術館建築である。
コレクションとしては、モネに代表される印象派の作品や、ピカソのキュビスム作品、そのほかにも様々な現代アート作品などを豊富に展示している。
建築全体は、赤い石の外壁とその上に乗る2層のガラスの屋根によって構成されており、周囲の豊かな緑と自然に調和するような落ち着いた佇まいを呈している。
また、内部の展示空間には、2層のガラス屋根を通って均質化された柔らかい自然光が降り注ぎ、光で満ちた豊かな鑑賞空間が生み出されている。
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4.カリフォルニア科学アカデミー
- 設計:レンゾ・ピアノ
- 住所:アメリカ・カルフォルニア州サンフランシスコ
- 竣工:2008年
- 用途:自然史博物館
- URL:建築詳細ページ
カルフォルニア科学アカデミーは、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコの地に建つ、世界最大級の自然科学博物館である。
この博物館の開館は1853年まで遡るが、1989年に発生した地震によって旧館が損傷。これをきっかけとして同じ敷地に新たな博物館建築が2008年に新設された。
建築全体は、平面形状こそシンプルな長方形となっているが、立体的にみると屋根面が全体的に緑化されており、さらにその屋根からは複数の大きなコブが突出しているのが見て取れる。
このコブの下には、プラネタリウムや熱帯雨林ドームなどの特殊な機能が配置されている。
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5.パウル・クレー・センター
- 設計:レンゾ・ピアノ
- 住所:スイス・ベルン
- 竣工:2005年
- 用途:美術館
- URL:建築詳細ページ
パウル・クレー・センターは、20世紀に活躍したスイスの画家「パウル・クレー」の作品を収蔵・展示するための施設として、2005年にスイスの首都ベルンに開館した個人美術館である。
館内には美術館機能のほかにも音楽ホールやレストラン、データベースライブラリーなど複数の機能が併設されており、複合文化施設としても機能している。
敷地はベルン郊外の丘陵地に位置しており、その敷地が持つ緩やかな傾斜と呼応するかのような3つの波形屋根が建築最大の特徴となっている。
この波形屋根はステンレス素材によって構成されており、ハイテク建築家としてのレンゾ・ピアノらしさも現れた建築作品となっている。
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6.ザ・シャード
- 設計:レンゾ・ピアノ
- 住所:イギリス・ロンドン
- 竣工:2012年
- 用途:オフィス・ホテル・店舗etc.
- URL:建築詳細ページ
ザ・シャードは、欧州連合(EU)で最も高い建物として、2012年イギリスの首都ロンドンに建設された超高層ビル建築である。(現在でもEU2位の高さを誇る)
建物の高さは310m。先細り型の鋭い形態をしたザ・シャードは、今やビックベンやタワーブリッジといった歴史的建造物とともに、ロンドンのシンボルとして親しまれている。
ピラミッドを引き延ばしたかのような先細りした形態は、モネやカナレットが風景画に描いた帆船のマストや、ゴシック教会の尖塔をイメージしたものだと言われている。
さらに、この超高層ビルは、最先端の構造・設備を結集して建設されており、ハイテク建築家として名を馳せたレンゾ・ピアノらしい作品となっている。
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7.牛深ハイヤ大橋
- 設計:レンゾ・ピアノ
- 住所:熊本県天草市牛深町3437
- 竣工:1997年8月
- 用途:橋
- URL:建築詳細ページ
牛深ハイヤ大橋は、くまもとアートポリス事業の一環として、熊本県の南西端に位置する牛深港の上を横断する臨港連絡橋として、1997年に竣工した土木構造物である。
橋の全長は883m・幅員は13.6mを誇る。
さらに、車道の両側には歩道も完備されており熊本随一の散策スポットとしても知られている。
橋構造の種類には、吊り橋・斜張橋・桁橋・アーチ橋など様々な種類が挙げられるが、レンゾ・ピアノは最もシンプルかつ日本で一番多く架けられている「桁橋」の構造システムを採用している。
ポンピドゥー・センターであれほど大胆に構造や設備をファサードに表出させたレンゾ・ピアノであれば、吊り橋や斜張橋といったダイナミックな構造を持つ橋を設計しそうなものだが、ここでは周辺の自然環境との調和を最優先し、シンプルな桁橋を採用している。