【建築特徴】牛深ハイヤ大橋|レンゾ・ピアノ

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牛深ハイヤ大橋とは?

牛深ハイヤ大橋は、くまもとアートポリス事業の一環として、熊本県の南西端に位置する牛深港の上を横断する臨港連絡橋として、1997年に竣工した土木構造物である。

橋の全長は883m・幅員は13.6mを誇る。
さらに、車道の両側には歩道も完備されており熊本随一の散策スポットとしても知られている。

牛深ハイヤ大橋は土木建築ではあるが、その設計はイタリア出身の世界的建築家「レンゾ・ピアノ」が担当した。

橋構造の種類には、吊り橋・斜張橋・桁橋・アーチ橋など様々な種類が挙げられるが、レンゾ・ピアノは最もシンプルかつ日本で一番多く架けられている「桁橋」の構造システムを採用している。

ポンピドゥー・センターであれほど大胆に構造や設備をファサードに表出させたレンゾ・ピアノであれば、吊り橋や斜張橋といったダイナミックな構造を持つ橋を設計しそうなものだが、ここでは周辺の自然環境との調和を最優先し、シンプルな桁橋を採用している。

牛深ハイヤ大橋の建築的特徴

牛深港を横断する連絡橋

熊本県北西端に浮かぶ「天草下島」と「下須島」に囲われる形で形成されている「牛深港(うしぶかこう)」。

この牛深港には、海の上を横断し天草下島と下須島の架け橋となる「牛深ハイヤ大橋」という巨大な連絡橋が設置されている。

牛深ハイヤ大橋の全長は883mで、幅員は13.6mに及び、熊本県内では最長の橋建築となっている。

さらに、車道の両側には歩道も整備されているうえに、夜間になると橋がライトアップされるため、熊本県を代表する観光スポットとしても人々に親しまれている。

世界的建築家レンゾ・ピアノによる土木建築物

photo by Columbia GSAPP/CC 表示 2.0

牛深ハイヤ大橋の設計は、イタリア出身の世界的建築家「レンゾ・ピアノ」が担当している。

レンゾ・ピアノは、1977年に完成したハイテク建築「ポンピドゥー・センター」によって世界に名を轟かせ、その後も世界各地で数多くの革新的な建築作品を手がけている建築家である。

ハイテク建築とは、1970年代に登場した革新的な建築思潮のことであり、構造や設備を意匠としてファサードに表出したハイテクなデザインで知られている。

牛深ハイヤ大橋は、そんなハイテク建築の巨匠として知られるレンゾ・ピアノの作品ではあるが、橋自体の構造は以外にもかなり質素なものとなっている。

シンプルさを優先した桁橋構造

橋の構造形式には、吊り橋・斜張橋・アーチ橋など様々な種類が存在するが、牛深ハイヤ大橋では最もシンプルな「桁橋」という構造形式が用いられている。

桁橋とは、柱と柱の間に桁をかけるという非常にシンプルな構造形式を用いて作られる橋のことである。

レンゾ・ピアノは、橋がつなぐ街並みや自然風景、海の上を進む漁船群等の小さなスケール感には大胆な構造形式を表出する吊り橋や斜張橋ではなく、シンプルな桁橋が適していると判断したようだ。

このように、建築家としてのエゴを捨て去り、周囲の風景や街並みとの調和を最優先するスタイルが、レンゾ・ピアノの世界的な評価につながっているのだろう。

風の流れに配慮した構造

牛深ハイヤ大橋の側面には、2.5m幅のフラップ(風除板)が大量に設置されており、橋のデザインの象徴となっている。

また、上の写真を見ると、桁梁の側面が曲面になっているのがわかるが、これもフラップと同様に風の渦巻き減少を防ぐための構成となっている。

また、フラップは風よけとしてだけではなく反射板としての機能しており、照明の光を反射し歩道を明るく照らし出す役割を果たしている。

夜間になると光り輝く牛深ハイヤ大橋

牛深ハイヤ大橋は、夜間になるとフラップに照明の光を反射させる形でライトアップされる。

通常は白いライトで照らされるだけなのだが、年末年始になるとボランティア団体によってライト部分にカラーフィルムが貼り付けられ、虹色にライトアップされる。

この美しい景色がSNSなどでも話題となり、年末年始には多くの観光客も訪れるという。

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