リチャード・ロジャースとは?【代表作品5選を解説】

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目次

リチャード・ロジャースとは?

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リチャード・ロジャースの経歴

  • 1933年 イタリア・フィレンツェに生まれる
  • 1937年 イギリスに移住
  • 1954年 AAスクールで建築を学ぶ
  • 1962年 イェール大学大学院修士課程修了
  • 1962年 チーム4 設立
  • 1967年 チーム4 解散
  • 1971年 ピアノ&ロジャース 設立
  • 1977年 リチャード・ロジャース・パートナーシップ 設立
  • 1985年 RIBAゴールドメダル受賞
  • 2007年 プリツカー賞受賞
  • 2021年 逝去(88歳)

リチャード・ロジャースは、世界的に権威のある建築賞「RIBAゴールドメダル」や「プリツカー賞」などを総なめにする、イギリスを代表する建築家である。

1971年に行われた「ポンピドゥー・センター」のコンペで、レンゾ・ピアノとともに最優秀賞を受賞したことで建築界にその名を轟かせ、その後も世界各地で数多くの前衛的な建築作品を手がけている。

彼の代表作としては、建築界に革命をもたらした「ポンピドゥー・センター」や、ハイテク建築の象徴「ロイズ・オブ・ロンドン」、前衛的なドーム建築「ミレニアム・ドーム」などが挙げられる。

代表作のラインナップからもわかる通り、1970年代に登場した建築思潮「ハイテク建築」のパイオニアとして知られる建築家である。

ちなみにハイテク建築とは、モダニズムが機能主義のモチーフとした「機械」を、建築の意匠にも採用した建築様式のことであり、構造や設備といった通常は裏に隠す要素をファサードに表出させるという意匠的特徴がみられる。

リチャード・ロジャースの代表作品5選

1.ポンピドゥー・センター

  • 設計:レンゾ・ピアノ+リチャード・ロジャース
  • 住所:フランス・パリ
  • 竣工:1977年
  • 用途:美術館・図書館など
  • URL:建築詳細ページ

ポンピドゥー・センターは、1977年にフランスパリの中心地に竣工した、美術館や図書館などの機能を内包する複合文化施設である。

建築の設計は、当初はまだ無名であった「レンゾ・ピアノ(イタリア)」と「リチャード・ロジャース(イギリス)」による建築家ユニットが担当。

ポンピドゥー・センターでは、通常なら建物の奥深くに隠してしまう構造や設備といった要素を、あえてファサードに表出しており、このメカニックな設計スタイルは「ハイテク建築」と呼ばれた。

レンゾ・ピアノが世界的に注目されるきっかけとなった、重要な建築作品である。

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2.ロイズ・オブ・ロンドン

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  • 設計:リチャード・ロジャース
  • 住所:イギリス・ロンドン
  • 竣工:1986年
  • 用途:オフィスビル
  • URL:建築詳細ページ

ロイズ・オブ・ロンドン(ロイズビルディング)は、世界的な保険組合「ロイズ」の本社ビルとして、1986年イギリスの首都ロンドンに建設されたビル建築である。

敷地は、世界屈指の金融街として知られるロンドンの中心地「シティ・オブ・ロンドン」に位置しており、街には古典的な様相を示す建築作品が数多く残されている。

その歴史的な街並みに反して、ロイズ・オブ・ロンドンのファサードは、まるで工場のように構造や設備が表出したメカニカルな外観を示している。

ロジャースの出世作が「ポンピドゥー・センター」であるとすれば、ロイズ・オブ・ロンドンは、ポンピドゥー・センターで獲得した地位を不動のものとした、彼の代表作だと言えるだろう。

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3.ミレニアム・ドーム(The O2)

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  • 設計:リチャード・ロジャース
  • 住所:イギリス・ロンドン・グリニッジ
  • 竣工:1999年
  • 用途:多目的アリーナ
  • URL:建築詳細ページ

ミレニアム・ドームは、1999年にイギリス・ミレニアムプロジェクト(2000年記念事業)の一環として、ロンドン南東部の街グリニッジに建設された、超大型ドーム建築である。

現在は「The O2」という名の複合施設として運営されている。

建築全体には、膜構造の白い屋根を12本の黄色いマストからケーブルで吊り上げるという「吊り構造」が採用されており、ハイテク建築家であるロジャースらしい前衛的な作品となっている。

また、このドームの直径は365m、さらにマストの位置は正円を12等分した位置に立てられており、建築全体で「365日」や「12時間」といった地球の時間軸を象徴する形態を表している。

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4.バラハス空港ターミナル4

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  • 設計:リチャード・ロジャース
  • 住所:スペイン・マドリード
  • 竣工:2005年
  • 用途:空港
  • URL:建築詳細ページ

バラハス空港ターミナル4は、スペインの首都マドリードに位置する「バラハス空港」の第4ターミナルとして、2005年に竣工した空港建築である。

配置計画的には、直線ボリュームを横に並べた非常にシンプルな全体構成となっているが、立体的にみると、波のようにうねる屋根が特徴的な外観を示している。

さらに、その波形屋根は、内部に複雑な三次曲面の天井を生み出し、包み込むような優しい空間を生み出している。

一方で、この有機的な形態は、一つのユニットを連続する形で生み出されているため、増改築にも容易に対応できるようになっている。

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5.政策研究大学院大学

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  • 設計:リチャード・ロジャース+山下設計
  • 住所:東京都港区六本木
  • 竣工:2005年2月
  • 用途:大学施設
  • URL:建築詳細ページ

政策研究大学院大学は、政策研究を専門とする大学院大学(学部を持たず大学院のみを設置している学校機関)として、1997年に設立された教育機関である。

政策研究大学院大学の本部キャンパスは、2005年に六本木に建設された施設に位置しており、ここに世界60近くの国と地域から学生が集まってくる。

本施設は六本木という大都会に位置しているが、すぐ目の前には黒川紀章の代表作「国立新美術館」が建ち、さらにその横には緑豊かな青山霊園・青山公園が広がっている。

そんな、特異な街並みの中に建つ政策研究大学院大学は、建物全体が14層の「高層棟」と5層の「低層棟」で構成され、さらにそれらの棟を6ブロックに分節することによって、周囲の景観との調和を図っている。

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