【建築特徴】ザ・シャード｜レンゾ・ピアノ

ザ・シャードとは？

ザ・シャードは、欧州連合(EU)で最も高い建物として、2012年イギリスの首都ロンドンに建設された超高層ビル建築である。(現在でもEU2位の高さを誇る)

建物の高さは310m。先細り型の鋭い形態をしたザ・シャードは、今やビックベンやタワーブリッジといった歴史的建造物とともに、ロンドンのシンボルとして親しまれている。

この型破りな超高層ビルを設計したのは、イタリア出身の建築家「レンゾ・ピアノ」である。

ピラミッドを引き延ばしたかのような先細りした形態は、モネやカナレットが風景画に描いた帆船のマストや、ゴシック教会の尖塔をイメージしたものだと言われている。

さらに、この超高層ビルは、最先端の構造・設備を結集して建設されており、ハイテク建築家として名を馳せたレンゾ・ピアノらしい作品となっている。

ザ・シャードの建築的特徴

EUで最も高い建物として建設された超高層ビル

ザ・シャードは、高さ310mを誇る超高層建築である。

この310mというのは、竣工当時は欧州連合(EU)最高の高さを誇っており、竣工から10年以上たった現在でも、EU2位の位置につけている。(現在の1位はポーランドのヴァルソタワー)

ちなみに、ヨーロッパではなく欧州連合(EU)と書いているのは、ロシアにはザ・シャードの310mを超える超高層ビルが数多く建っているためである。

ヨーロッパで最も高い建物は、ロシア・サンクトペテルブルクに建つラフタ・センター(462m)となっている。

ロンドンに生まれた新たなシンボル

日本には、634mの高さを誇る「東京スカイツリー」や、2023年に竣工した日本一高い超高層ビル「麻布台ヒルズ森JPタワー(325m)」など、数多くの高層建築が存在する。

そのため、ザ・シャードの310mという高さを聞いても、あまりピンと来ないかもしれないが、ザ・シャードに関してはロンドンという歴史地区に建つという要素が極めて重要となる。

皆さんご存じかと思うが、ロンドンでは「ビッグベン」や「タワーブリッジ」など、中低層の歴史的建造物が美しい街並みを形成している。

しかし、ザ・シャードはその歴史的な街並みとは正反対の、現代的なガラスの被膜をまとった超高層建築である。

そのため、当然ながらザ・シャードの竣工当初は、ロンドンの街並みには適していないなどの批判的な意見もがったそうだが、今では歴史的建造物とともにロンドンのシンボルとして親しまれている。

レンゾ・ピアノの代表作

ザ・シャードの設計を務めたのは、イタリア出身の世界的建築家「レンゾ・ピアノ」である。

レンゾ・ピアノは、1977年に竣工した「ポンピドゥー・センター」によってハイテク建築家としてその名を轟かせ、その後も世界各地で革新的な建築作品を数多く手がけてきた建築家だ。

彼の設計スタイルは、構造や設備といった通常は裏に隠してしまう要素を意匠と同等に扱う、ハイテク建築から通ずるようなスタイルで知られている。

そのスタイルは、ザ・シャードでもいかんなく発揮されており、ガラスによって形成された鋭いファサードによって、現代建築らしい革新的な建築作品を生み出している。

「帆船のマスト」や「教会の尖塔」をモチーフにした形態

ピラミッドの頂部を持ち上げ、天まで引き伸ばしたかのような鋭い形態を持つ「ザ・シャード」。

この象徴的な形態は、モネやカナレットが風景画に描いた「帆船のマスト」や、ゴシック様式を用いた「教会の尖塔」をモチーフにしていると言われている。

このことを考慮すると、天にも伸びるような鋭い形態が特徴的な「ゴシック建築」が数多く立ち並ぶロンドンの街に、ザ・シャードの鋭い形態は調和しているようにも感じる。

レンゾ・ピアノが、この調和を狙ったのかどうかは不明だが。

最先端の構造設備を導入したハイテク建築

ザ・シャードは、最先端の構造・設備技術を駆使して建設されたハイテク建築である。

例を挙げると、建物全体を覆うガラスのファサードは、外部換気装置を備えたトリプルスキンで構成されており、エネルギー消費の大幅な削減に寄与している。

また、先細りする形態で最大限のレンタブル比を確保するために、3Dモデルなどを用いて設備機器の最適な配置を検討することなども行っている。

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