ポンピドゥー・センターとは?

ポンピドゥー・センターは、フランスパリの中心部に建つ美術館や図書館、カフェなどからなる複合文化施設である。
設計を務めたのは、完成当初はまだ無名であった「レンゾ・ピアノ(イタリア)」と「リチャード・ロジャース(イギリス)」による建築家ユニット。
「今までにない画期的な建築物を」
このようなフランス政府の要請に対して、構造物や設備等をすべて建物の表層に配置し、デザインとして利用するという大胆な構成がとられている。
レンゾ・ピアノとは?

- 1937 イタリアに生まれる
- 1964 ミラノ工科大学卒業
- 1965 スタジオ・ピアノ設立
- 1989 RIBAゴールドメダル受賞
- 1998 プリツカー賞受賞
レンゾ・ピアノは、イタリア出身の建築家であり、世界中で数多くの作品を手掛けている。
代表作としては、「関西国際空港旅客ターミナルビル」「ザ・シャード」などが挙げられる。
レンゾ・ピアノ氏は特定のスタイルを持っていないため、彼の作品だと一目では見分けられない。
しかし、その代わりにすべての作品で、「統一性」や「アプローチの一貫性」といった『共通のテーマ』を掲げ設計しているという。
リチャード・ロジャースとは?

- 1933 イギリスに生まれる
- 1959 英国建築協会付属建築専門大学卒業
- 1962 イェール大学大学院修了
- 1985 RIBAゴールドメダル
- 2007 プリツカー賞受賞
- 2021 12月18日、死去(88歳)
リチャード・ロジャースは、イギリス出身の建築家で、ハイテク建築の第一人者と言われている。
リチャード・ロジャースの代表作としては、「ロイズ・オブ・ロンドン」「ミレニアム・ドーム」などが挙げられる。

photo by Louisehui/CC 表示-継承 3.0
ハイテク建築とは、1970年代に登場した建築様式であり、ハイテク技術やハイテク製品などの形態を建築のデザインとして用いるというものである。
「モダニズム」→「ポストモダニズム」という二つの大きな建築的動向の間に位置づけられることが多い。
リチャード・ロジャースやノーマン・フォスターといった建築家が牽引したと言われている。
建築の特徴

ポンピドゥーセンターの建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- フランス大統領の構想から生まれた建築
- 歴史都市パリの中心部に建つ建築
- 街並みからの突出
- 建物と同等規模の広場
- デザインとしての設備管
- 柱のない大空間
- 象徴となるチューブ状の動線
フランス大統領の構想から生まれた建築

photo by André Cros/CC 表示 4.0
1968年フランスで起こった、学生を中心とする反体制運動「五月革命」。
ポンピドゥーセンターは、この運動の影響を強く受けて建てられた施設である。
「衰退したフランスを芸術文化によって復活させよう」
五月革命の翌年、大統領に就任したジョルジュ・ポンピドゥーは、このような構想を基に芸術文化の中心となるような施設の建設を決めた。
そこで建てられたのがポンピドゥーセンターであり、施設の名称に大統領の名前が入っているのもこの構想が原因となっている。
歴史都市パリの中心部に建つ建築

ポンピドゥーセンターは、「ルーブル美術館」や「ノートルダム大聖堂」などがある歴史都市パリの中心部に建っている。
この敷地を決定したのも大統領であるポンピドゥーであり、
- モニュメント性を高められる場所
- アクセスの良さ
これらのことを考慮したうえで敷地が決められたという。
街並みからの突出

さらに、ポンピドゥーセンターは、周辺の街並みより高さが倍ほど高くなっており、街から突出している。
パリでは大体30メートル程の高さ制限があったが、ポンピドゥーセンターは大統領がその制限をなくしたことによって、高層の建物となっている。
これによって、モニュメント性を高めようという狙いである。
実は、ノートルダム大聖堂など、パリのモニュメントとなっている建物はほとんどが街並みから突出している。
建物と同等規模の広場

大統領は、ポンピドゥーセンターの設計者を選ぶ国際コンペで「広大な広場を設けること」というような条件を出していた。
国際コンペでこの広大な広場をしっかりと設計案に取り入れていたのが、レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースによる案だけであった、という噂もある。
パリには大きな広場はいくつもあるが、ほとんどがある特定のモニュメントを見るために設けられたものである。
しかし、ポンピドゥーセンターの広場は、モニュメントのためではなく人々が集まるための場所として計画されているというのが特質する点である。
デザインとしての設備管

ポンピドゥーセンターという建物自体の特徴としては、ファサードに表出した設備配管が挙げられる。
通常内側に隠す設備配管を、ここでは大胆に表に出して、外観のデザイン要素として利用しているのである。
この構成をとった理由としては、次のような点が挙げられる。
- 今までにないデザインを求めたため
- 内部空間を広くとるため
当時この構成は画期的なアイデアであったが、「工場みたいだ」といった批判も当然多くみられた。
柱のない大空間

設備配管が外に出されたことで広くなった内部空間は、構造的にも広くなるような工夫がなされている。
実は、ポンピドゥーセンターの内部には柱がなく、外側の構造体だけで「160ⅿ×50ⅿの床」が支えられているのである。
この大空間を実現しているのが、次の二つの要素である。
- ブレースのついた鉄骨の柱
- 50ⅿに及ぶトラス梁
ここで用いられているトラス梁は、元々19世紀のドイツのエンジニアが考えた「橋梁システム」を参照しており、それをポンピドゥーセンターでは何層にも重ねている。
象徴となるチューブ状の動線


ポンピドゥーセンターのファサードをさらに特徴づけている「チューブ状のエスカレーター」。
このように動線がチューブ状のガラスによって囲われていることで、単調なファサードに動きがもたらされている。
さらに、ガラス張りになっていることで、パリの街並みを望みながら上階へ上がるという魅力的な体験も可能となっている。
建築概要
- 所在地:Place Georges-Pompidou, 75004 Paris
- 開館 :1977年
- 用途 :美術館、図書館
- 構造 :鉄骨造
- 階数 :地上7階、地下3階
- 設計 :レンゾ・ピアノ、リチャード・ロジャース
施設概要
- Tel :050-5541-8600
- 営業時間:11時~21時
- 開館日 :毎火曜日と5月1日は休館
- URL :ホームページ(日本語)
- 料金 :通常料金 : 14 € 割引料金 : 11 € +1 € 管理費
最後に・・・
以上がポンピドゥーセンターの特徴でした。
ポンピドゥー大統領の構想と、レンゾ・ピアノ、リチャード・ロジャースの設計がうまく融合した魅力的な建築になっていたと思います。

是非一度、ポンピドゥーセンターに訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。