皆さんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は、竹中工務店の設計部を長年先導した建築家「柳澤孝彦」の建築作品5選をご紹介したいと思います。
美術館や劇場などの文化施設を数多く手がけた人物です。
是非最後までご覧ください。
柳澤孝彦とは?
柳澤孝彦の経歴
- 1935年 長野県松本市に生まれる
- 1958年 東京芸術大学美術学部建築科卒業
- 1958年 竹中工務店・設計部入社
- 1981年 竹中工務店東京本店設計部長
- 1985年 竹中工務店プリンシパル・アーキテクト
- 1986年 TAK建築・都市計画研究所を設立
- 1996年 柳澤孝彦+TAK建築研究所に改組
- 2017年 逝去(82歳)
柳澤孝彦は、竹中工務店でプリンシパル・アーキテクトにまで上り詰めながらも、後年は自身の事務所を立ち上げ、生涯をかけて設計活動を行った建築家である。
独立するきっかけになったのは、1986年に開催された「第二国立劇場(現・新国立劇場)」の国際コンペで最優秀賞を受賞したことであった。
この時、柳澤孝彦はすでに50歳を迎えていた。50を過ぎても新たな環境に飛び込むという、行動力と好奇心の旺盛さには驚かされる。
独立した柳澤孝彦の代表作には、「国立新劇場」「東京都現代美術館」「真鶴町立中川一政美術館」などの文化施設が数多く挙げられる。
柳澤孝彦建築作品5選
1.新国立劇場
- 設計:柳澤孝彦
- 住所:東京都渋谷区本町1-1-1
- 竣工:1997年2月
- 用途:劇場
- URL:公式ページ
新国立劇場は、オペラやバレエなど、現代舞台芸術を上映するための劇場として、1997年、東京都渋谷区に建設された文化施設である。
新国立劇場の設計者選定に際しては、国際的な設計競技が実施され、海外60作品を含む計228作品の中から、竹中工務店設計部として提案していた柳澤孝彦の案が最優秀賞に選ばれた。
建築全体としては、劇場空間の魅力もさることながら、エントランスやロビー、プロムナードやピロティなど、劇場以外の部分にも、都心の劇場とは思えないほど大胆な空間が展開されている。
また、建物のファサードは水平性を強調する形でまとめられており、現代舞台芸術を取り扱う施設としてふさわしい、スタイリッシュな外観をが形成されている。
2.東京都現代美術館
- 設計:柳澤孝彦
- 住所:東京都江東区三好4-1-1
- 竣工:1994年9月
- 用途:美術館
- URL:建築詳細ページ
東京都現代美術館は、江東区の緑豊かな都立公園「木場公園」の北端に建つ、現代美術館である。
上の写真は、木場公園側から見た東京都現代美術館の外観である。
公園側には「パブリック棟」と呼ばれる横に長いガラス張りの空間が展開されており、その裏に「企画展示棟」や「常設展示棟」といった美術館としての主要機能が配置されている。
つまり、パブリック棟が東京都現代美術館における「チャンネル」としての機能を果たしており、各展示室へアクセスする基点になっているのである。
そして、このパブリック棟はなんと、幅10m・天井高さ8m・全長160mもの大規模建築になっている。
新国立劇場でもそうだったが、柳澤孝彦は建築の設計において、メイン機能以外の部分(ロビーやホワイエ)をかなり重視して設計していることがわかる。
3.真鶴町立中川一政美術館
- 設計:柳澤孝彦
- 住所:神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴
- 竣工:1988年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
真鶴町立中川一政美術館は、神奈川県真鶴町にゆかりのある洋画家・中川一政の顕彰を目的として、1988年に建設された個人美術館である。
本美術館は、周囲を海と緑に囲まれた真鶴半島自然公園内に位置しており、コンクリート壁とボールト屋根で覆われた建物は、その雄大な自然に溶け込むような落ち着いた佇まいをしている。
建物全体は、5つの展示室と茶室によって構成されていおり、森側に設けられた中庭を囲うようにして、コの字型に配置されている。
柳澤孝彦は、この美術館で1990年の吉田五十八賞を受賞している。
4.郡山市立美術館
- 設計:柳澤孝彦
- 住所:福島県郡山市安原町字大谷地
- 竣工:1992年
- 用途:美術館
- URL:公式サイト
郡山市立美術館は、郡山市にゆかりのある作品の保存・展示など目的として、1992年に風土記の丘公園内に建設された美術館建築である。
建物全体は、緩やかな傾斜を持った「石の広場」を囲うようにして、L字型の棟が配置された構成となっている。
そして、そのL字型の棟には、有機的な曲線屋根がかけられており、周辺の丘の傾斜と呼応するようなおおらかなファサードを作り出している。
また、建物の前面に設けられた池と石の広場の間には、約100mに及ぶキャノピー(庇)を持った回廊空間が設けられており、来館者をエントランスまで誘う役割を果たしている。
5.富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館
- 設計:柳澤孝彦
- 住所:群馬県富岡市黒川351-1
- 竣工:1995年2月
- 用途:美術博物館
- URL:公式ページ
この建物は、郷土ゆかり作家の作品を展示する「富岡市立美術博物館」と、富岡市出身の洋画家・福沢一郎の顕彰を目的とした「福沢一郎記念美術館」を併設する美術博物館である。
敷地は、富岡市内の丘陵地にある「もみじ平総合公園」内に設定されており、周囲は豊かな自然に囲われている。
建物全体は、細長いボールト屋根の集合によって構成されており、内部には、ボールト屋根特有の包容力のある落ち着いた空間が展開されている。
先ほど紹介した「真鶴町立中川一政美術館」と共通点の多い一作である。
柳澤孝彦の関連書籍
参考サイト・書籍
本記事は、上記のサイトや書籍を参考に執筆しました。
今回はこれで以上になります。最後までご覧いただきありがとうございました。