みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は、東京湾沿いに建つ水族館「葛西臨海水族園」の建築的特徴について解説していきたいと思います。
谷口吉生の最高傑作としても名高い建築作品です。
是非最後までご覧ください。
葛西臨海水族園の建築的特徴
東京湾沿いの公園内に建つ水族館
荒川と旧江戸川、そして東京湾によって3方を囲まれた埋立地に整備されている葛西臨海公園。
その公園内で一際存在感を放っているのが、今回紹介する葛西臨海水族園である。
ぽつんと立つガラスドームがシンボルにもなっている葛西臨海水族園は、対岸に見える東京ディズニーランドと同様、非現実世界を体験できる魅力的な観光スポットになっている。
谷口吉生の代表作
葛西臨海水族園の設計を務めたのは、世界的建築家谷口吉生である。
谷口吉生の代表作としては「豊田市美術館」や「法隆寺宝物館」といった作品が挙げられ、水平垂直ラインの際立ったスタイリッシュな建築物を数多く手がけることで知られている。
また、谷口吉生建築に共通する魅力の一つとして「空間のシークエンス」というものが挙げられるが、葛西臨海水族園でもその魅力が遺憾なく発揮されている。
海と一体になった水族館
葛西臨海水族園と周辺の園地には、至る所に「水」という自然要素が取り入れられている。
これによって、海と公園にグラデ―ショナルなつながりを生み出し、海辺という特有の立地条件を最大限に生かしているというわけだ。
上の写真のように、水族園に設けられた水盤の水と東京湾の水が連続するといった、壮大な景観が生み出されている。
唯一突出するガラスドーム
葛西臨海水族園のシンボルにもなっている、エントランスホールを内包した「ガラスドーム」。
葛西臨海水族園の建築ボリュームの大半は、周辺環境との調和のために陸側から見えないような構成になっているのだが、唯一このガラスドームだけが地上に突出している。
この構成を見ると、建築に求められるのは周辺環境との調和だけではないことがひしひしと伝わってくる。
このガラスドームのように、水族館がここにありますよというシンボル性も時には必要なのである。
噴水池と入口広場でできた円形屋上
上の写真を見て分かる通り、ガラスのドームが乗っかる葛西臨海水族園の屋上は、きれいな円形となっている。
そして、その円の3/4は噴水池、残りの1/4が入口広場となっており、自然とアプローチが一体になった魅力的な空間を作り出している。
これほどの規模感で、これほど大胆な設計をする谷口吉生はやはり恐ろしい。
移りゆく空間のシークエンス
先ほども述べたが、谷口吉生建築の魅力の一つに「空間のシークエンス」というものが存在する。
そして葛西臨海水族園でも、その空間のシークエンスが魅力の一つになっているのだが、詳細なシークエンスについて、以下で簡単に解説してみよう。
上の写真左下に見える「水の広場」を歩いていく。この水の広場の左手側には約100mに及ぶカスケード(人工滝)が設置されており、水が落ちる音と共に水族館へ向けて気持ちを整えていく。
水の広場を抜けた先にある、細長い通路(プロムナード)を歩いていく。その通路の中ほどには一部地下に埋没された「ゲート」が存在。ゲートをくぐり水族館へ向けて進んでいく。
ゲートを抜けると緩やかな階段が見える。その階段を上ると、ついにあのガラスドームが見えてくる。
ガラスドームに向かって伸びるブリッジを進んでいき、入口広場にたどり着くと同時に、背後に広大な東京湾の風景も姿を現す。
ガラスドーム内に入ると光であふれる空間が展開されている。下の階へ伸びるエスカレーターを降りて水族館内へアプローチしていく。
この綿密に計画された移り変わる空間のシークエンスこそ、谷口吉生建築の魅力なのである。
2028年に新しい水族館が開業予定
2028年、現在葛西臨海水族園が建っているすぐ隣の敷地に、上のイメージ画像のような新しい水族館が建設される予定となっている。
新しい水族館が完成するまでは、現在の谷口吉生建築で営業を続け、完成後は水族館の機能を全面的に新館へ移設するそう。
その後、現在の谷口吉生建築がどうなるのかは検討中としているが、解体される可能性も十分にあり得る。
これほど魅力的な建築物を解体するのはどうにか思いとどまってほしいところではある・・・
葛西臨海水族園の建築データ
谷口吉生の代表作
今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。