建築

東京都現代美術館【柳澤孝彦】

東京都現代美術館とは?

photo by Kakidai/CC 表示-継承 4.0

東京都現代美術館は、江東区内にある緑豊かな都立公園「木場公園」の北端に建つ美術館である。

設計を務めたのは、2017年に逝去されるまで数多くの建築作品を手掛けてきた建築家「柳澤孝彦」。

広大な木場公園の自然を視線的に取り込みつつ、回遊的な動線による空間体験が魅力的な美術館となっている。

柳澤孝彦とは?

  • 1935 長野県に生まれる
  • 1958 東京芸術大学建築科卒業
  • 1958 竹中工務店入社
  • 1986 TAK建築・都市計画研究所を設立
  • 2017 逝去

柳澤孝彦は、竹中工務店に入社したのちに、独立して設計活動を行うようになったという特異な経歴の持ち主である。

代表作としては、「新国立劇場」「東京オペラシティ」「東京都現代美術館」などが挙げられる。

1986年、新国立劇場の国際コンペで最優秀賞に輝いたことをきっかけに独立し、生涯にわたり建築界に多大なる影響を及ぼした。

建築の特徴

photo by Kakidai/CC 表示-継承 4.0

東京都現代美術館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 木場公園との繋がり
  2. 「3つの棟」と「リニアなエントランス」
  3. トラス構造とガラス
  4. 豊かな余白空間

木場公園との繋がり

東京都現代美術館は、上の地図を見ると一目瞭然なのだが、木場公園という広大な都立公園の北端に厳然と建てられている。

そのため、この美術館ではいかにして「公園」と「美術館」、「自然」と「アート空間」をつなげるかが課題となった。

そこで、柳澤孝彦は美術館と公園の境界部分を横断するようなリニアなエントランス空間を設けたのである。

「3つの棟」と「リニアなエントランス」

平面概略図

上の図を見てもらうと、企画展示棟・美術情報棟・常設展示棟の三つのアートのための空間と公園の間を横断するようにパブリック棟というリニアな棟が建てられているのがわかる。

このパブリック棟は、他の各棟に対してチャンネルとしての機能を備えつつ、木場公園と美術館を視線的にも繋ぐ役割を果たしている。

トラス構造とガラス

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パブリック棟は、幅10m、天井高さ8m、全長160mにも及ぶ大規模な空間として存在している。

この空間の両側には、大きなトラスの構造体が表出しており、そのまた奥には大きなガラスがパブリック棟一面に張り巡らされている。

このトラスとガラスによって、木場公園の緑を視覚的に美術館にとりこっもうとしたのであろう。

豊かな余白空間

photo by yisris/CC BY 2.0

東京都現代美術館では、象徴的かつ圧倒的存在感を示すパブリック棟に注目されがちだが、実はそれ以外の部分にも多くの魅力が潜んでいる。

その一つが、分棟形式によって生まれた「サンクンガーデン」や「中庭」といったいわば余白の空間である。

これら余白の空間によって、建物内部に光や自然が導かれると同時に、人々の活動を多様なものに変貌させている。

建築概要

  • 所在地:東京都江東区三好
  • 竣工 :1994年9月
  • 用途 :美術館
  • 構造 :SRC造、一部S造
  • 階数 :地下3階 地上3階
  • 設計 :柳澤孝彦+TAK建築・都市計画研究所
  • 施工 :竹中・村本・浅沼・大木・森本・三平・巴組建設共同企業体
  • URL :https://www.mot-art-museum.jp/

最後に・・・

以上が東京都現代美術館の特徴でした。

公園と美術館の境界に横断するリニアなエントランス空間と、分棟形式によって生まれた余白空間が魅力的な建築になっていたと思います。

ご覧いただきありがとうございました。

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