みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」です。
今回は、島根県の有名建築物10選をご紹介したいと思います。
島根県には、高松伸・菊竹清訓・丹下健三といった、日本建築界の大巨匠たちが手がけた建築作品が数多く存在しています。
本記事では、それら有名建築物の概要を簡単に解説しているので、鳥取県で建築巡りをする際には是非本記事を参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
鳥取県の有名建築物10選【高松伸・菊竹清訓・丹下健三など】
1.植田正治写真美術館【高松伸】
植田正治写真美術館は、世界的写真家「植田正治」の顕彰を目的として建設された、鳥取県西伯郡伯耆町に建つ美術館施設である。
建築の設計は、島根県出身の建築家「高松伸」が行った。
建築としては、下層がつながった「4棟の直方体の建物」と、その直方体を囲うように配された「曲壁」による構成が特徴的な外観を形成している。
そして、4棟の直方体の間に設けられた「余白の空間」には水が張られており、その水面に鳥取最高峰の山「大山」が映り込むことによって「逆さ大山」を望むことができるようになっている。
このような洗練された構成を持つ植田正治写真美術館は、1996年に「芸術選奨文部大臣賞」を受賞している。
2.みなとさかい交流館【高松伸】
みなとさかい交流館は、フェリーターミナル・展示場・公衆浴場などの機能が入った、鳥取県境港市に建つ複合施設である。
建築の設計は、島根県出身の建築家「高松伸」が行った。
本施設は、漫画家「水木しげる」の代表作である『ゲゲゲの鬼太郎』のオブジェがいくつも立ち並ぶ「水木しげるロード」の起点に配置されている。
この建築を設計する上で高松伸が求められたのは「環日本海交流の拠点たるべき象徴的建築」である。
その結果として完成した建築は、海側から見ると「4本のシリンダー」、街側から見ると「7本のガラスの塔」が立ち並んだ、まさに象徴的な建築物となっている。
3.境港市文化ホール【高松伸】

境港市文化ホールは、収容人数400人の小規模コンサートホールを内包する、鳥取県境港市に建つ芸術文化施設である。
建築の設計は、島根県出身の建築家「高松伸」が行った。
本施設は、複数の円形平面を持った構造物を組み合わせることによって全体像が構成されており、白い円筒型のコンサートホールと、そのホールから円を描きながら伸びる「コンクリートの曲面壁」がシンボリックな外観を作り出している。
また、そのコンクリートの曲面壁の内側には人工池が設けられており、緑や水といった「自然」と、コンクリートや幾何学形態といった「人工」が一体になった豊かな空間が生まれている。
4.米子市公会堂【村野藤吾】

米子市公会堂は、演劇や講演会などを行う「大ホール」や「集会場」などの機能が入った、鳥取県米子市に建つ公会堂である。
建築の設計は、昭和期を代表する建築家「村野藤吾」が行った。
建築としては、大ホールの客席部分(2階・3階)が、入り口上部に張り出した構成や、コンクリートの柱梁がむき出しになった構成がインパクトのある外観を形成している。
1998年に現在の国土交通省が発表した「公共建築百選」に、鳥取県で唯一選ばれたという実績もあり、鳥取を代表する建築作品となっている。
5.ホテルエリアワン境港マリーナ【菊竹清訓】

ホテルエリアワン境港マリーナは、日本海や大山といった雄大な自然に囲まれる鳥取県境港市新屋町の沿岸に建つ、1985年に建設されたホテル施設である。
本施設は、1960年代に起こった建築運動「メタボリズム」の第一人者として知られる建築家「菊竹清訓」が設計を担当。
建築全体は、円形平面を持った客室の入る低層部分と、正方形平面を持った宴会場などの入る高層部分を、外形上で明確に分離することでシンボリックな外観を形成しており、コンクリート打ち放しの仕上げが建築にさらなる重厚感を付加している。
菊竹清訓の代表作と言ったら、自邸である「スカイハウス」や両国駅前にある巨大な「江戸東京博物館」などが挙げられるが、このホテルは、スカイハウスの「質感」と江戸東京博物館の「巨大性」を組み合わせたかのような建築物となっている。
6.東光園【菊竹清訓】

東光園は、日本海に面した海辺の温泉地「皆生温泉」の中に存在する宿泊施設である。
本施設は、1960年代に起こった建築運動「メタボリズム」の第一人者として知られる建築家「菊竹清訓」が設計を担当。
地下1階・地上7階建ての建築物で、6本の力強い主柱によって7階部分を支え、そこから5,6階の客室部分を吊るという大胆な構造が採用されており、その秀逸な構造デザインによって本建築物は国の登録有形文化財に登録されている。
メタボリズム建築の集大成としても名高い建築作品である。
7.わらべ館【山本浩三】
わらべ館は、童謡・唱歌・おもちゃの3つをテーマにした、鳥取県鳥取市に建つテーマミュージアムである。
建築は、地元鳥取県出身の建築家「山本浩三」が設計を担当。
本敷地には以前、市民に長年親しまれた旧県立図書館が建っており、わらべ館では旧図書館の外観を一部復元しつつ、新しい要素も取り入れることで、現代的ながら親しみやすい施設を作り出している。
施設全体としては、復元棟・イベントホール棟・展示棟・アトリウムという4つの要素で構成されているのだが、どの棟も全く別の建物かのような外観を現わしており、その対比が人々の好奇心を刺激する魅力をはらんでいる。
8.倉吉市庁舎【丹下健三】

倉吉市庁舎は、鳥取県倉吉市の執行機関としての業務を行う施設として、1956年に建設された庁舎建築物である。
建築の設計は、日本建築界の大巨匠「丹下健三」が担当。
コンクリート打ち放しの仕上げやピロティ空間、水平性を強調したファサードなどからは、当時建築界で主流だった「モダニズム建築」の特徴が色濃く感じられる。
丹下健三の庁舎建築としては、1958年香川県に竣工した「香川県庁舎」がかなり有名ではあるが、本施設は香川県庁舎よりも2年早く竣工しており、その価値は登録有形文化財として正式に国から認められている。
9.倉吉博物館・倉吉歴史民俗資料館【日建設計】
倉吉博物館・倉吉歴史民俗資料館は、鳥取県倉吉市のシンボルである「打吹山」の麓に位置する、美術部門と歴史部門からなる博物館施設である。
建築全体は、博物館と資料館の2棟で構成されており、両者はデッキによって接続され一体利用が可能となっている。
本施設は、日本の大手組織設計事務所「日建設計」が設計を担当。
建築は「赤瓦の片流れ屋根」と「白いが壁」がコントラストのある魅力的な外観を形成しており、伝統的建造物群保存地区を有する倉吉の町並と調和するような建築物となっている。
10.三仏寺投入堂【設計者不明】

- 設計:不明
- 住所:鳥取県東伯郡三朝町
- 竣工:11世紀後半頃
- 用途:寺院建築
- URL:公式ページ
三仏寺投入堂は、三徳山中腹の断崖絶壁の窪みの中に建ち「日本一危険な国宝」という異名も持つ、鳥取県東伯郡三朝町の木造寺院建築物である。
設計者は不明。木材の年輪に11世紀後半のものが見られることから、12世紀前半には現在の姿になっていたと推測されている。
本施設は、立地が特殊過ぎるため、その特殊性ばかりに目を向けられることが多いが、建築自体に目を向けてみると、軽快ながら重厚感も感じられる屋根といい、堂を支える長短さまざまな柱といい、意匠的にもかなり優れた建築物となっていることがわかる。
三仏寺投入堂の中は危険なため、基本的に入ることはできないそうだ。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。