【建築特徴】ミレニアム・ドーム(The O2)|リチャード・ロジャース

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目次

ミレニアム・ドーム(The O2)とは?

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  • 設計:リチャード・ロジャース
  • 住所:イギリス・ロンドン・グリニッジ
  • 竣工:1999年
  • 用途:多目的アリーナ

ミレニアム・ドームは、1999年にイギリス・ミレニアムプロジェクト(2000年記念事業)の一環として、ロンドン南東部の街グリニッジに建設された、超大型ドーム建築である。

現在は「The O2」という名の複合施設として運営されている。

この巨大なドーム建築を設計したのは、イギリスを代表する現代建築家「リチャード・ロジャース」である。

建築全体には、膜構造の白い屋根を12本の黄色いマストからケーブルで吊り上げるという「吊り構造」が採用されており、ハイテク建築家であるロジャースらしい前衛的な作品となっている。

また、このドームの直径は365m、さらにマストの位置は正円を12等分した位置に立てられており、建築全体で「365日」や「12時間」といった地球の時間軸を象徴する形態を表している。

ミレニアム・ドーム(The O2)の建築的特徴

ロンドン・グリニッジ半島に建つドーム建築

photo by The Millennium Dome and Isle of Dogs from the air by Thomas Nugent/CC 表示-継承 2.0

イギリスの首都ロンドンの南東部に位置する街「グリニッジ」。

ミレニアム・ドームは、この街の最北端、周囲をテムズ川に囲われたグリニッジ半島の先端に位置している。

ミレニアム・ドームという名は、このドームがイギリスのミレニアムプロジェクト(2000年記念事業)の一環として建てられたことに由来しているが、現在は「The O2」という名称へと変わっている。

開業当初、ミレニアムプロジェクトに関する展覧会などを開催していた本施設だが、経営不信に陥り1年余りで閉鎖。

その後、エンターテイメント企業「AEG」が再開発を行い、複合施設としてリニューアルオープンした。この時ドームの命名権はイギリスの携帯電話会社「O2」に売却され、この社名が現在の「The O2」という名の由来となっている。

リチャード・ロジャースの代表作

photo by National Assembly for Wales/CC 表示 2.0

ミレニアム・ドームの設計は、イギリスを代表する建築家「リチャード・ロジャース」が担当。

リチャード・ロジャースは、1970年代に生まれた建築思潮「ハイテク建築」のパイオニアとして知られる建築家であり、ハイテク建築の象徴「ポンピドゥー・センター」によってその名を世界に轟かせた。

ハイテク建築とは、構造や設備などの通常は建物奥深くに隠してしまう要素を建物のファサードに表出させるという、ハイテクなデザインが特徴的な建築物のことを指す。

ミレニアム・ドームもハイテク建築とは言えないが、構造要素が建物のデザインを決定しているという点においては、ハイテク建築を根底とする作品であると言えるだろう。

12本のマストから吊り上げられる膜屋根

photo by zakgollop/CC 表示 2.0

このドーム建築には、膜構造の屋根を12本のマストからケーブルで吊り上げるという「吊り構造」が採用されている。

大規模建築に吊り構造を用いるというのはそこまで珍しい事ではないが、ここまでマストとケーブルの存在感を残したままデザインされた建築物はなかなかない。

これも、ハイテク建築家であるリチャード・ロジャースが設計したからこそ生まれた、革新的なデザインであろう。

地球の時間軸を意識した形態

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ミレニアム・ドームを上空から見ると、外周部が波打った円形をしていることがわかるが、この円の直径は365mになっている。

また、12本のマストは、円を12等分した位置に設置されており、まるで時計のような配置構成である。

これらの地球の時間軸を意識したような形態は、ミレニアム・ドームが元々はミレニアムプロジェクト(2000年記念事業)の一環として建てられたことが起因しているのであろう。

膜屋根の上に設置された橋

photo by Walkway, O2 Arena, Greenwich by Christine Matthews/CC 表示-継承 2.0

上の写真を見てわかる通り、膜屋根の上には人が歩くことのできる橋が架けられている。

この橋は、一般の人でも歩くことができるようになっているらしく、観光スポットとしてもにぎわっているようだ。

とはいえ、吊り構造を近くで見るとこれだけのケーブルが用いられているのかと驚く。電線のようでちょっと鬱陶しい気もするが。

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