【代表作】建築家渡辺仁の建築作品6選

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渡辺仁とは?

  • 1887 新潟県に生まれる
  • 1912 東京帝国大学工科大学建築学科卒業
  • 1912 鉄道院勤務
  • 1920 渡辺仁建築工務所設立
  • 1953 渡辺高木建築事務所開設
  • 1967 渡辺仁建築事務所に改称
  • 1973 死去(86歳)

渡辺仁は、日本建築界が「歴史主義(近代化)」から「モダニズム」へと変遷していく時代に生きた建築家である。

そのため、彼自身の作品にも「歴史主義建築」「帝冠様式建築(和洋折衷建築)」「モダニズム建築」など、多種多様な様式を持った作品が存在し、時代の流れに沿って様式を選択的に用いていた建築家としても知られている。

代表作としては「銀座和光」「東京国立博物館・本館」「原邦造邸」などが知られ、それぞれ時代の流れを反映した異なる特徴を持つ。

今回は、あらゆる様式を選択的に用いた建築家「渡辺仁」の建築作品6選をご紹介したいと思います。

【代表作】建築家渡辺仁の建築作品6選

1.服部時計店(現・銀座和光)

photo by 663highland/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:渡辺仁
  • 住所:東京都中央区銀座
  • 竣工:1932年
  • 用途:商業施設
  • URL:建築詳細ページ

服部時計店は、今や銀座のシンボルにもなっている、「大きな時計台」が屋上に設置された商業施設である。

服部時計店の商業施設としてオープンした本施設は、1947年、小売部門が株式会社和光として独立を果たしたことにより、現在は「銀座和光」という名称で親しまれている。

この建築には「ネオ・ルネッサンス様式」が用いられており、角地という敷地条件に合わせて建物の角を削り緩やかな曲面を持たせた優美な外観が特徴的。

渡辺仁による「歴史主義建築」の代表作である。

建築詳細ページ

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2.東京国立博物館・本館

photo by Wiiii/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:渡辺仁
  • 住所:東京都台東区上野公園
  • 竣工:1937年
  • 用途:博物館
  • URL:建築詳細ページ

東京国立博物館は、日本と東洋の文化財の保存・展示などを目的に、上野恩賜公園内に建設された国立博物館である。

施設全体としては「本館」「表慶館」「東洋館」「平成館」「法隆寺宝物館」「黒田記念館」という6つの棟によって構成されているが、渡辺仁が担当したのは「本館」の設計である。

本館の設計にあたりコンペが行われ、渡辺仁の案が1等に選ばれたわけだが、実施設計に関しては宮内省内匠寮が行っており、多少、渡辺仁の案の変更も行われてしまったそう。

本館の建築は「帝冠様式」と呼ばれる、和洋折衷型の様式が採用されており、西洋的な石造りを模した建物に日本的な瓦葺屋根を載せた構成となっている。

この建築は、渡辺仁の「帝冠様式」の代表作として知られている。

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3.原邦造邸(現存せず)

photo by Wiiii/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:渡辺仁
  • 住所:東京都品川区北品川
  • 竣工:1938年
  • 用途:住宅
  • URL:参考ページ

原邦造邸は、実業家・原邦造の邸宅として1938年に東京都品川区に建設された建築である。

1979年以降は、現代美術を中心に扱う「原美術館」として運営されていましたが、老朽化などが原因で2021年に原美術館は閉館し、その後解体されてしまった。

建築としては「装飾を排した外観」「大きな開口部」「屋上庭園」など、モダニズム建築と共通する特徴を持ち、渡辺仁による「モダニズム建築」の代表作として知られている。

一方で、緩やかな曲面や空間のシークエンス、タイルを用いた構成などからは「アール・デコ」的な匂いを感じ、わずかに歴史主義の残り香も感じる作品となっている。

4.ホテルニューグランド

photo by Wiiii/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:渡辺仁
  • 住所:神奈川県横浜市中区山下町
  • 竣工:1927年
  • 用途:ホテル
  • URL:参考ページ

ホテルニューグランドは、戦前に建設された「クラシックホテル」の代表作として知られる、神奈川県横浜市に建つホテル施設である。

アーチ窓や曲面壁、荘厳な内部空間など、基本的には西洋風のデザインがなされているが、所々にと東洋的なテイストのデザインが紛れ込んでいるのがこの建築の魅力。

ホテルニューグランドには、マッカーサー元帥やチャーリー・チャップリン、ベーブ・ルースをはじめとする、数多くの著名人が来訪したことでも知られ、横浜のランドマーク的な存在にもなっている。

5.第一生命館(現・第一生命日比谷ファースト)

photo by Kakidai/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:渡辺仁
  • 住所:東京都千代田区有楽町
  • 竣工:1938年
  • 用途:オフィスビル
  • URL:建築詳細ページ

第一生命館は、1938年・東京都千代田区有楽町の皇居沿いに建設された建築物である。

日比谷濠に向けて大きな柱を複数並べた「歴史主義」的な建築物となっており、日本近代建築の代表作としても知られている。

第一生命館は1989年、隣接する「農林中央金庫有楽町ビル」と共同開発が行われ、2つの建物の一部を解体し、その跡地に新しく高層棟が建設された。それに伴い名称も変更され現在は「第一生命日比谷ファースト」になっている。

また、太平洋戦争後この施設にはマッカーサー率いるGHQの本部が置かれたことでも知られており、マッカーサー元帥の執務室は現在も「第一生命日比谷ファースト」内に保存されているという。

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6.日本劇場(現存せず)

  • 設計:渡辺仁
  • 住所:東京都千代田区有楽町
  • 竣工:1933年
  • 用途:劇場
  • URL:参考ページ

日本劇場は「日本初の高級映画劇場」として1933年に建設された劇場建築である。

建築としては「大きな円弧を描いた形態」や「アール・デコ調の装飾的な内観」など西洋的な構成が特徴的で、日本近代建築の代表作としても知られている。

しかし、この建築は老朽化や東京都の再開発事業、機能不足などが原因で1981年に解体されており、わずか50年ほどでその歴史に幕を下ろした。

渡辺仁の関連書籍

今回はこれで以上になります。

今回ご紹介した建築は、渡辺仁が設計した建築のほんの一部です。

そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。

ではまた。

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