【建築解説】黒田記念館|岡田信一郎

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みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、東京・上野公園に位置する「黒田記念館」の建築的特徴を解説していきたいと思います。

スクラッチタイルが印象的な歴史主義建築です。

是非最後までご覧ください。

目次

黒田記念館の概要

黒田記念館は、洋画家・黒田清輝の顕彰などを目的として、1928年、東京芸術大学音楽学部に隣接する位置に建てられた美術館である。

現在は、東京国立博物館の一施設として運営されており、黒田清輝の代表作『湖畔』などを展示している。

建築の設計は、黒田清輝と同じ東京美術学校で教授を務めた建築家「岡田信一郎」が担当。

煉瓦造風の外観を呈している建築物だが、外壁を覆っているのはスクラッチタイルで、構造自体は鉄筋コンクリート造。建物中央にはイオニア式の列柱が並ぶなど、歴史主義的な建築作品となっている。

設計者:岡田信一郎とは?

  • 1883年 東京に生まれる
  • 1906年 東京帝国大学建築学科卒業
  • 1907年 東京美術学校講師
  • 1912年 早稲田大学教授
  • 1923年 東京美術学校教授
  • 1932年 逝去(48歳)

岡田信一郎は、大正・昭和初期に活躍した日本の建築家である。

東京帝国大学建築学科を卒業後、東京美術学校(現・東京芸術大学)や早稲田大学で教鞭をとりながら、数多くの建築作品を残した。

代表作としては「第3期・歌舞伎座」「明治生命館」などが挙げられ、歴史主義建築から日本の伝統様式を取り入れた和洋折衷建築まで、多種多様な建築作品を残している。

黒田記念館の特徴

黒田清輝の作品を展示する美術館

黒田清輝の代表作『湖畔』

日本近代洋画家の父とも呼ばれる画家・黒田清輝。

代表作としては『湖畔』『読書』『智・感・情』などが挙げられるが、特に上にも示した『湖畔』は、誰もが一度は見たことのある絵画なのではないだろうか。

そんな日本を代表する洋画家・黒田清輝の作品を展示しているのが、黒田記念館というわけである。

西洋風のデザインが見られる歴史主義建築

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黒田記念館には、西洋建築の特徴が随所にみられる。

例えば、施設全体は荘厳なシンメトリーで構成されているし、正面入り口や2階の窓部分は西洋らしいアーチ状の形状をしている。

さらに、最も印象的なのがファサード正面に設置されたイオニア式の列柱である。

ファサードに現れるイオニア式の列柱

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黒田記念館のファサード中央には、6本のイオニア式の列柱が設置されている。

ちなみに、イオニア式とは古代ギリシャ建築に用いられたオーダー(柱と梁の構成方法)の一つで、他にドリス式やコリント式といったオーダーの種類が存在する。

西洋建築においてオーダーは、建築美の象徴的存在として扱われている。

スクラッチタイルが印象的なファサード

一見、煉瓦造にも見える黒田記念館であるが、構造は鉄筋コンクリート造となっており、外壁は茶褐色のスクラッチタイルで埋め尽くされている。

スクラッチタイルとは、細い溝の模様が入ったタイルのことで、質感のいい陰影に富んだファサードを作り出すことができる。

近代建築の三大巨匠の一人「フランク・ロイド・ライト」が帝国ホテルで用いたことでも有名である。

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今回はこれで以上になります。

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