【建築解説】東京国立博物館・表慶館|片山東熊

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みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、東京国立博物館の中で最も古い建物「東京国立博物館・表慶館」の建築的特徴を解説していきたいと思います。

日本でも数少ないネオ・バロック様式の建築物です。

是非最後までご覧ください。

目次

東京国立博物館・表慶館の概要

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東京国立博物館・表慶館は、当時の皇太子(後の大正天皇)のご成婚を記念して建設された美術館である。

上野公園の敷地内に建つ6つの展示館で構成される「東京国立博物館」の一施設として1908年に竣工し、現在トーハクの中で最も古い展示館となっている。

建築の設計は、東宮御所(現在の迎賓館)なども手掛けたことで知られる宮廷建築家・片山東熊が担当。

3つの青緑色のドームが象徴的な外観をあらわす、煉瓦造・石張りの建築物となっている。

設計者:片山東熊とは?

  • 1854 山口県に生まれる
  • 1868 戊辰戦争に参戦
  • 1873 工部大学校(現・東京大学工学部)の1期生として入学
  • 1879 卒業。工部省営繕課に勤務
  • 1917 死去(65歳)

片山東熊は、日本に西洋建築が伝わってきた明治期に活躍した宮廷建築家である。

日本に西洋建築を伝えたイギリス人建築家「ジョサイア・コンドル」の弟子としても知られており、辰野金吾らと共に工部大学校(現・東京大学工学部)の1期生としてコンドルから建築を学んだ。

代表作としては「旧東宮御所(現・迎賓館)」「奈良国立博物館・本館」などが挙げられる。

東京国立博物館・表慶館の建築的特徴

噴水広場に面する棟

表慶館は、東京国立博物館の中心に位置する噴水広場の西側に建つ棟である。

対面には谷口吉郎設計の東洋館、斜め左前には渡辺仁設計の本館が建っており、3棟で噴水広場を囲い込む配置構成となっている。

将棋で例えるならば、本館が「王将」、東洋館と表慶館が「金将」といったところだろうか。(笑)

ネオ・バロック様式の建築物

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表慶館は、当時欧州で主流だったネオ・バロック様式を用いた建築物となっている。

ネオ・バロックとは、17世紀にイタリア・ローマを中心に広がった「バロック様式」の復興を目的とした建築運動である。

ネオ・バロック様式の建築には、シンメトリー性やうねる曲面、凹凸の強調といった特徴が見られ、表慶館でもそれらの特徴が顕著に表れている。

象徴的なドーム屋根

表慶館の外観を象徴づけているの3つのドーム屋根。

このドーム屋根は、きれいな緑青色をした銅板瓦で構成されており、白い石張りの外壁によってさらにその象徴性が強調されている。

特に中央の大きなドーム屋根は美しい曲面を描く見事なものとなっており、このドーム屋根の内部には、大きな吹き抜け空間が展開されている。

光が差し込むドーム下空間

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外観を象徴づけている中央のドームの下には、上の写真の通り、吹き抜けの大空間が展開されている。

そして、天井を見上げると、中央のトップライトから光が差し込んでおり、陰影のある天井面を浮かび上がらせている。

また、この吹き抜けの周囲には、西洋建築の象徴でもあるオーダーが並んでおり、日本とは思えないような荘厳な雰囲気を作り出している。

美しい曲線を描く階段

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ネオ・バロック様式の建築では、楕円や曲線といった有機的な形状が多用されたことで知られている。

それは表慶館も例外ではなく、施設内部には滑らかな曲線を描くダイナミックな階段が設置されている。

表慶館随一のフォトジェニックスポットである。

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今回はこれで以上になります。

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