【建築紹介19】東京国際フォーラム:ラファエル・ヴィニオリ

目次

東京国際フォーラムとは?

東京国際フォーラムは、国際会議、式典、展示会、コンサート、ファッションショーなどの様々な用途で使用される複合施設である。

2021年の東京オリンピック・パラリンピックでは、ウエイトリフティングとパワーリフティングの競技会場として利用された。

設計を務めたのは、アメリカの建築家ラファエル・ヴィニオリ。

国際フォーラムの設計者は、日本初となる公開国際コンペによって行われ、要求に対する返答が最も明快であるとしてラファエル・ヴィニオリの案が採用された。

建築の構成としては、ガラス棟・4つのホール棟・中央の地上広場がバランスよくシンプルに配置されている。

そんな、東京国際フォーラムの特徴をご紹介します!!

ラファエル・ヴィニオリとは?

  • 1944 ウルグアイにて生誕
  • 1964 6人の仲間と建築設計事務所設立
  • 1968 ブエノスアイレス大学学位取得
  • 1978 アメリカに移住
  • 1983 建築事務所設立

ラファエル・ヴィニオリとは、ウルグアイ出身、ニューヨーク在住の建築家であり、自身の事務所を各地に展開し、世界各国で活躍されている建築家である。

代表作としては、「ヴエノスアイレス市銀行」「ブルックリン子供博物館」「スターバックス・リザーブ・ロースタリー・ニューヨーク」などが知られている。

建築の特徴

3つの空間による構成

概略平面図

東京国際フォーラムは、、、

  1. ガラスの棟
  2. 4つのホール棟
  3. 地上広場

この3つの空間によって構成されている。

象徴的な光であふれる「ガラス棟」と、黒い箱型の「ホール棟」、その間に緑豊かな「地上広場」が挟まれている。

光であふれるガラスの棟

photo by Haya_BS/CC BY-SA 2.0

ガラス棟は、全長208m・高さ60m、3600枚のガラスを使用したファサードが特徴的な、他に類を見ない建築である。

このガラスに囲われた建物は、昼間は外から光を大量に取り入れ、夜間は外に対して幻想的な光を放つ。

1日を通して光にあふれた空間となっている。

山手線に合わせた配置と形態

ガラス棟は、隣を通る山手線の曲線に合わせて配置され、形態もその山手線の形状に合わせて曲線状になっている。

この曲線を用いた形態による外観は、見方によっては光る生物のようにも見える。

高さ60mの圧倒的大空間

ガラス棟の印象的な外観に対して、内部空間も負けず劣らずの圧倒的な構成となっている。

内部は、地下1階部分から高さ60mまで、吹き抜けとなっており、空港のターミナルを思わせる空間が形成されている。

この圧倒的な構成を目の当たりにすると、誰もが立ち止まって上部を見上げてしまう。

しかし、床面積を広く確保した効率的な建築が求められる東京では、このような大胆な構成は、空間の無駄遣いと批判の声も多い。

日本を代表する建築家磯崎新氏は東京国際フォーラムのことを、東京五大粗大ごみの一つと揶揄している。

東京五大粗大ごみ
  1. 江戸東京博物館(菊竹清訓)
  2. 東京都庁舎(丹下健三)
  3. 東京国際フォーラム(ラファエル・ヴィニオリ)
  4. 東京芸術劇場(芦原義信)
  5. 東京都現代美術館(柳澤孝彦)

船底をイメージした屋根

ガラス棟の有機的な屋根は、船の底をイメージしているそう。

船底
海中から見た船底

実際にガラス棟の屋根は、この写真のように、海の中から船底を見ているような構成になっている。

構造としては、南北にある高さ約50mにも及ぶ、2本の大柱によって支えられており、この柱の間を鉄の白い梁がめぐらされていることで船底に似た空間が出来上がっている。

スロープと空中ブリッジ

ガラス棟全体を囲うようにめぐらされているスロープは、地下空間から地上7階までをつないでいる。

また、途中には空中ブリッジが渡っており、そこではガラス棟全体を眺めることができる魅力的な空間となっている。

スロープは魅力的な空間だが、長すぎて疲れてしまうなどの声もある。

木製ルーバーによる壁

ガラス棟一階部分の壁には、4層分ぐらいの高さがある木製ルーバーが並べられている。

このルーバーは曲線の壁に合わせて設置され、さらに内側に向けて少し傾いているため、空間を包み込むような優しい雰囲気を作り出している。

多種多様な空間を収容するホール棟

大小様々な正方形平面を持つ4つのホール棟

上の写真は、一番大きな平面を持つ棟を地上広場から見たものである。

上部(黒い部分)がホールで、下部は地上広場に開いた構成をしている。

夜になると写真のように、ホール棟とガラス棟を繋ぐ光の道が現れ、地上広場に賑わいを与えている。

大小8つのホール

断面概略図

ホール棟は大小8つのホールが、4つの四角い棟に分かれて配置されている。

  1. ホールA  5,012席を持つ国内有数の大ホール
  2. ホールB5 600㎡
  3. ホールB7 1,400㎡
  4. ホールC  1,502席の音楽ホール
  5. ホールD1 137㎡
  6. ホールD5 285㎡
  7. ホールD7 340㎡
  8. ホールE  5,000㎡の大展示空間
ホールE
photo by scarletgreen/CC BY 2.0
ホールC
photo by Seiya Ishibashi/CC BY 2.0

ホール棟にはこのように、多種多様な空間が設けられており、様々な用途に対応できるようになっている。

中央の地上広場

ガラス棟とホール棟に囲われた中央の地上広場には、木が植えてあったり、ショップや飲食店が並ぶなど人々が集まる豊かな空間がつくられている。

また、ガラス棟とホール棟は外部に対して閉鎖的であるといわれるが、それはこの地上広場に対して最大限に開いた結果、そのようになってしまったようだ。

建築概要

  • 所在地:東京都千代田区丸の内
  • 竣工 :1996年5月
  • 用途 :複合施設
  • 構造 :RC造 SRC造 S造
  • 設計 :ラファエル・ヴィニオリ
  • 構造 :構造設計集団
  • 設備 :森村設計
  • 施工 :大林組、清水建設など

施設概要

  • Tel    :03-5221-9000
  • 受付時間:7:00~23:30
  • アクセス:有楽町駅より徒歩1分
  • URL  :https://www.t-i-forum.co.jp/
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