ジョンソンワックス本社ビルとは?
- 設計:フランク・ロイド・ライト
- 住所:アメリカ・ウィスコンシン州ラシーン
- 竣工:1939年
- 用途:事務所
ジョンソンワックス本社ビルは、床用ワックスの製造販売会社「ジョンソンワックス社」の本社として、1939年に建設されたオフィス建築である。
設計を担当したのは、近代建築を代表する世界的建築家「フランク・ロイド・ライト」。
建築最大の特徴はなんといっても、先細りした樹状の柱が林立する、2層吹き抜けのオフィススペース「グレート・ワーク・ルーム」だ。
上端で柱と一体化された浮葉のような構造体が屋根を支え、その浮葉の隙間に設けられた天窓(半透明のガラス)からは、拡散光が室内へ流れ込む。
ライト建築の中でも、特に異質な建築作品である。
ジョンソンワックス本社ビルの建築的特徴
ウィスコンシン州ラシーンに建つオフィスビル
アメリカ合衆国の中西部の最北に位置する州「ウィスコンシン州」。
2つの湖や森林、農場などが広がるアメリカの中でも自然に恵まれたウィスコンシン州の南東部には、「ラシーン」という一つの都市が存在している。
そして、その都市・ラシーンに建つのが、今回紹介する「ジョンソンワックス本社ビル」なのである。
F.L.ライトの代表作の一つ
近代建築三大巨匠のひとり「フランク・ロイド・ライト」。
『グッゲンハイム美術館』や『落水荘』など、世界的に有名な建築物を数多く残した、20世紀を代表する建築家である。
そんな大建築家・F.L.ライトが、72歳の時(1939年)に竣工したのが、この『ジョンソンワックス本社ビル』。
彼の作品の中でも異質な特徴を有した、代表作となっている。
流線型の曲線を描くレンガの壁
ジョンソンワックス本社ビルの外壁は、赤褐色のレンガ壁によって覆われている。
そして、このレンガ壁は、流線型の綺麗な曲線を描きながら全体シルエットを形成。
まるで、彼の代表作である『ロビー邸』と『グッゲンハイム美術館』のファサードを組み合わせたかのような、異質な外観が生み出されている。
樹状柱が林立するオフィススペース
建物内部に収められた2層吹き抜けのオフィススペース、通称「グレート・ワーク・ルーム」。
この大空間には、下に行くにつれて先細りした樹状柱が何本も林立しており、まるで森の中を思わせるかのような豊かな内部空間が生み出されている。
ジョンソンワックス本社ビルが建つ敷地周辺には、自然が少ない工業的な風景が広がっていた。
そのため、ライトは、外部環境に自然を求めるのではなく、内部空間に自然を創造してしまったのである。
半透明ガラスを用いたトップライト
オフィス内に林立する柱の上部には、水に浮かぶ蓮のようなコンクリートの量塊がくっついて、一つのユニットを形成している。
そして、それらの量塊が重なりあうことによって生み出された天井の隙間空間には「半透明ガラス管」が埋め込まれている。
半透明というのポイントである。
通常のガラスで天窓を作ってしまうと、直射日光が直接オフィス空間に差し込み、業務を妨げてしまう危険があるが、半透明ガラスにすることで光が拡散され、オフィス空間を柔らかい光が包み込むことになるのだ。
伊東豊雄『台湾大学 社会科学部棟』がそっくり
上記の写真は、伊東豊雄が設計した『台湾大学 社会科学部棟』である。
見てわかる通り、ジョンソンワックス本社ビルとかなり構成が似ている。
一方で、台湾大学社会科学部棟の方は、より密度が高く、より不均質性があるため、より森の中のような豊かな空間に近づいている気がする。
ジョンソンワックス本社ビルの建築的特徴まとめ
ジョンソンワックス本社ビルの建築的特徴まとめ
- ウィスコンシン州ラシーンに建つオフィスビル
- F.L.ライトの代表作の一つ
- 流線型の曲線を描くレンガの壁
- 樹状柱が林立するオフィススペース
- 半透明ガラスを用いたトップライト
- 伊東豊雄『台湾大学 社会科学部棟』がそっくり
今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。