【建築特徴】ロビー邸|フランク・ロイド・ライト

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ロビー邸とは?

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  • 設計:フランク・ロイド・ライト
  • 住所:アメリカ・イリノイ州・シカゴ
  • 竣工:2010年
  • 用途:住宅
  • URL:公式ページ

自転車製造業で財を成したフレデリック・C・ロビーの邸宅として、2010年にアメリカ第三の都市・シカゴに建設された個人住宅「ロビー邸」。

ロビー邸は、フランク・ロイド・ライトが提唱した革新的な建築思想「プレーリースタイル(草原様式)」の最高傑作とも言われる、ライトの代表作である。

建築全体は、周囲の豊かな自然環境に溶け込むように高さが抑えられ、限りなく続く地表と並列するように水平ラインが強調されている。さらに平面的にも、大きなバルコニーやテラスを設けることで、周辺環境と建物内部との連続性を演出。建築全体がまるで草原に溶け込むような構成となっている。

そんなロビー邸は、2019年7月に「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」として世界遺産に登録されている。

ロビー邸の建築的特徴

シカゴの郊外に建つ名作住宅

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ニューヨーク・ロサンゼルスに次ぎ、アメリカ第3位の人口を誇る巨大都市・シカゴ。

摩天楼(超高層ビル)発祥の地としても知られるシカゴの郊外には、シカゴ大学のキャンパスに隣接する位置に「ロビー邸」と呼ばれる名作住宅が建っている。

ロビー邸は、自転車製造業で財を成した人物「フレデリック・C・ロビー」の住まいとして1910年に建設された住宅建築

そんな、100年以上も前に建てられた住宅の設計を担当したのは、近代建築の三大巨匠のひとりとして知られる建築家「フランク・ロイド・ライト」である。

フランク・ロイド・ライト初期の代表作

ル・コルビジェ」「ミース・ファン・デル・ローエ」と共に、近代建築三大巨匠のひとりとして名を連ねる建築家フランク・ロイド・ライト。

落水荘やグッゲンハイム美術館の設計者と言った方が、伝わるだろうか。

そんな、数多くの魅力的な作品を世に送り出してきた世界的建築家・ライトが、建築家人生の初期にアメリカで設計した作品が今回紹介する「ロビー邸」である。

フランク・ロイド・ライトの一部の作品群は「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」として世界遺産に登録されているが、ロビー邸もその作品群の一つとなっている。

「プレーリースタイル」の極致

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フランク・ロイド・ライトが提唱した建築思想の一つに「プレーリースタイル」というものがある。

これは別名「草原様式」とも呼ばれる革新的な建築思想であり、以下のような建築的特徴を有している。

プレーリースタイルの建築的特徴

  • 低層
  • 深い軒
  • 水平ラインを強調した構成
  • 建物内部と自然環境の融合

これらの特徴を持つプレーリースタイルの建築物は、装飾性を重視した「歴史主義建築」と無駄を極限まで排した「モダニズム建築」の中間的立ち位置を取る。

そして、このプレーリースタイルの代表作にして、極致とも言われるのが、ロビー邸なのである。

徹底した水平ラインの強調

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上記に挙げたプレーリースタイルの特徴の中でも、ロビー邸は「水平ラインの強調」という点に重点が置かれている

水平に低く伸びる屋根はもちろんだが、レンガの壁の上部や下部には「白い石灰岩」が帯状に配されており、水平ラインの強調に一役買っている。

さらに、レンガの壁の横目地にはクリーム色のモルタルが充填されているのに対して、縦目地にはレンガと同じ色のモルタルが充填されている。

この徹底した水平ラインの強調によって、ロビー邸は周辺の自然環境とのファサード的融合を目指しているのである。

ポーチやバルコニーによる内外の一体化

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ロビー邸には、ポーチやバルコニーといった中間領域的空間が複数存在している。

この空間によって、建物の内部に外部の自然環境が取り込まれ、建築と自然がより一層融合し始めるというわけである。

一方で、建築と自然の融合を実現すると同時に、建物全体を囲うようにしてレンガの壁を配すことによって、最低限のプライバシーを確保できる構成にもなっている。

随所にみられる日本的意匠

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フランク・ロイド・ライトは、ロビー邸が竣工する5年ほど前に初来日し、日本を観光している。

その時に見た日本建築や文化に影響を受けたのか、ロビー邸の内部空間には、随所に日本的な和の意匠が取り込まれている。

世界的建築家フランク・ロイド・ライトが、大の親日家だという事実は、日本人としても誇らしいことだ。

フランク・ロイド・ライトの関連書籍

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