トゥーゲントハット邸とは?
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2024/02/1280px-Villa_Tugendhat_9823_Planar_3.jpg)
- 設計:ミース・ファン・デル・ローエ
- 住所:チェコ共和国・ブルノ
- 竣工:1930年
- 用途:邸宅
- URL;公式ページ
トゥーゲントハット邸は、チェコ第2の都市としてして知られる観光地「ブルノ」に建つ住宅建築である。
建築の設計は、近代建築三大巨匠のひとりとして知られるドイツ出身の建築家「ミース・ファン・デル・ローエ」が担当。
この邸宅は、ミースの代表作であると共に、近代建築の特徴を顕著に表したモダニズムの最高傑作としても知られており、2001年にはユネスコの世界遺産にも登録されている。
敷地は、ブルノの傾斜地に位置しており、その傾斜に沿うように、白く純粋な形状をした3階建ての建物が建てられている。
建物内部には、コルビュジェが提唱した「近代建築の五原則」の一つ「自由な平面」を具現化するなど、近代建築家・ミースのエッセンスが詰まった構成となっている。
トゥーゲントハット邸の建築的特徴
チェコ・ブルノに建つ住宅建築
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2024/02/16437_m.jpg)
ドイツ・ポーランド・スロバキア・オーストリアの4国に囲まれる、中央ヨーロッパの国「チェコ共和国」。
そんな内陸国・チェコの首都は「プラハ」であるが、プラハに次ぎチェコ第2の都市として知られているのが観光地「ブルノ」である。
そして、このブルノには、世界遺産にも登録されている超有名な住宅建築が存在する。
そう、その住宅建築こそ、ミース・ファン・デル・ローエが設計した「トゥーゲントハット邸」なのである。
ミース唯一の世界遺産
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2024/01/Slide2.jpg)
ミース・ファン・デル・ローエは、近代建築三大巨匠のひとりとして知られるドイツ出身の建築家である。
ミースの代表作としては、「ファンズワース邸」や「バルセロナ・パビリオン」など、建築に関わる者なら知らないと恥ずかしい、超有名な建築物が数多く存在する。
しかし、それらの有名建築ですら未だ登録されていない「世界遺産」に、トゥーゲントハット邸はミースの作品として唯一登録されている。
この理由は様々だが、一番大きいのは「竣工した年」ではないだろうか。
トゥーゲントハット邸の竣工は1930年。ファンズワース邸の1951年と比べてもかなり前だ。また、バルセロナ・パビリオンの竣工は1929年だが、この建物は一度解体され、1986年に再建されている。
これらのことを考慮すると、トゥーゲントハット邸が唯一世界遺産に登録されていることも納得できる。
傾斜地に建つ3階建ての建物
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2024/02/1083px-Vila_Tugendhat_exterior_Dvorak2.jpg)
photo by Petr1987/CC 表示-継承 4.0
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2024/02/1080px-Brno_Cerna_Pole_Cernopolni_vila_Tugendhat_01.jpg)
photo by Harold/CC 表示-継承 3.0
トゥーゲントハット邸は、ブルノの傾斜地に建っている。
そのため、南西側(庭園側)から見ると3階建てに見えるが、北東側(道路側)から見ると1階建てに見える。
ミースの他の代表作は、どちらかと言えばシンプルな箱型の建物が多い印象だが、この建築は唯一といっていいほど形状に多様性がある。
それも、この独特な敷地が原因だと考えられる。
住宅版「バルセロナ・パビリオン」
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2024/02/Tugendhat_living_room.jpg)
photo by Simonma/CC 表示 2.5
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2024/02/Van_der_Rohe_Pavillion_overview.jpg)
photo by MartinD/CC 表示-継承 3.0
トゥーゲントハット邸は「住宅版バルセロナ・パビリオン」と言えるほど、両者の間には類似点が数多く見られる。
例えば、建物を支えている細い鉄骨柱はどちらも平面形状が「十字型」になっているし、構造から独立した壁面には、どちらも「オニキス」という独特な縞模様を持った石材が用いられている。
竣工した年が1年違いと言えど、用途の違う建物がここまで似た構成で建てられているというのは、興味深い。
これも、インターナショナルスタイルやユニバーサルスペースといった「普遍性」を追求したモダニズムだからこそ、このような類似点の多い建物が出来上がったのではないだろうか。
素材にこだわった内部空間
![](https://takearch1894.com/wp-content/uploads/2024/02/Brno_Vila_Tughendat_Interior_20.jpg)
ミース建築と言えば、彼の格言「Less is more」を体現したような、装飾性のないシンプルな形態が印象的である。
一方で、そのシンプルな形態とは裏腹に、仕上げ材に関しては様々な素材を組み合わせている。
例えば、十字型の柱は反射率の高いメタリックな素材を用いているし、壁面には木材や石材など質感の高い素材を用いている。
このように、建物本体は「Less is more」の言葉通り純粋さを追求しつつも、その内部の仕上げなどには、一種の(自然素材による)装飾を施している点は、ミース建築の特徴にもなっている。
ミース・ファン・デル・ローエの関連書籍
![](https://takearch1894.com/wp-content/plugins/pochipp/assets/img/pochipp-logo-t1.png)
![](https://takearch1894.com/wp-content/plugins/pochipp/assets/img/pochipp-logo-t1.png)