高知駅とは?

今回紹介する高知駅は、2008年に完成したJR四国の新駅舎であり、今回のもので三代目となる。
設計を務めたのは、日本を代表する建築家内藤廣。
愛称「くじらドーム」
この愛称ように、有機的な大屋根をつくる架構はクジラのようにダイナミックな構成となり、雄大な黒潮の水平線を望む高知らしい駅舎が完成している。

そんな、高知駅の特徴をご紹介します!!
内藤廣とは?
- 1950 横浜市に生まれる
- 1974 早稲田大学理工学部卒業
- 1976 早稲田大学大学院修了
- 1979 菊竹清訓建築設計事務所勤務
- 1981 内藤廣建築設計事務所設立
- 2003 東京大学教授
内藤廣とは、多くの公共建築や文化施設などを手掛ける、日本を代表する建築家である。
代表作としては、「海の博物館」「島根県芸術文化センター」「安曇野ちひろ美術館」などが知られ、屋根天井などに木材をふんだんに使用した建築を多く手がける。
また、建築に関する著書も多く手がけており、文筆家・思想家としても知られている。
建築の特徴

高知駅の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 高知にふさわしい駅舎
- 左右非対称のアーチ構造
- 大屋根に覆われた北口自由通路
- アーチを形成するハイブリッド構造
- 似た架構を持つ日向市駅
高知にふさわしい駅舎

高知県は、県土の8割以上が森林になっており、国内有数の「森林県」として知られる。
そんな高知の風土性をいかし、地元産のスギ材を利用した駅舎が計画された。
スギは、材質が柔らかいため加工性には優れているが、駅舎のような大規模建築には不向きである。
そのため、構造材としてはあまり使われないが、高知駅ではあえて屋根構造材として利用するという試みをしている。
左右非対称のアーチ構造

高知駅をすっぽりと覆うアーチ状の大屋根は、奥行き60m、高さ23mの大空間を作り出している。
それだけでなく、このアーチ架構の最大の特徴は左右非対称の構成である。
片方は高架上(ホームレベル)に、もう片方は駅前広場(地上レベル)に架構の脚が下りている。
これは、供用中の旧路線を避けながら建設しなければならないという条件によるもので、南側には地上に脚を下ろせないためとられた構成でもある。
大屋根に覆われた北口自由通路

北側には、駅前広場まで大屋根の脚が下りてきているため、その下には開放的な自由通路が形成されている。
屋根を支えているのは、鉄骨鉄筋コンクリート造の柱で、その上には庇を設置。
さらに、コンクリートにはスギ型枠を使用しているため、木目が投影され木のぬくもりを感じる空間がつくられている。
アーチを形成するハイブリッド構造

巨大なアーチ状の大屋根は、「スギ集成材」と「鉄骨トラス」によるハイブリッド構造によって支えられている。
大規模建築の構造材としては不向きなスギ材を、鉄骨トラスによって補強した形である。
この大架構は、国立代々木競技場などの構造設計も務めた川口衞氏とチームを組んで設計している。
似た架構を持つ日向市駅

高知駅の設計を務めた内藤廣氏と川口衞氏は、宮崎県の「日向市駅」のプロジェクトでもチームを組み設計をしている。
この日向市駅も高知駅のように、スギ集成材による屋根架構を形成。
両者ともに木材のぬくもりを感じる豊かな駅舎がつくられている。
建築概要
- 所在地:高知県高知市栄田町
- 竣工 :2009年1月
- 用途 :駅舎
- 構造 :SRC造、RC造、S造、木造
- 階数 :地上3階
- 高さ :23.3m
- 設計 :内藤廣建築設計事務所
- 施工 :鹿島・四国開発建設共同企業体
- 構造 :川口衞構造設計事務所
- 設備 :四国鉄機(機械)
施設概要
最後に・・・
以上が高知駅の特徴でした。
スギ集成材によるアーチ状の大屋根が豊かな空間をつくる、魅力的な建築になっていたと思います。

機会があれば是非、高知駅を訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。