日向市駅とは?

日向市駅は、宮崎県日向市に建つ駅舎で、JR日豊本線の高架化ともなって新築された。
設計を務めたのは、日本を代表する建築家内藤廣。
「地元産のスギ材を使用した駅舎」
このコンセプトを基に、駅舎のあらゆるところに地元産のスギ材が使用され、木のぬくもりを感じる豊かな空間がつくられている。

そんな、日向市駅の特徴をご紹介します!!
内藤廣とは?
- 1950 横浜市に生まれる
- 1974 早稲田大学理工学部卒業
- 1976 早稲田大学大学院修了
- 1979 菊竹清訓建築設計事務所勤務
- 1981 内藤廣建築設計事務所設立
- 2003 東京大学教授
内藤廣とは、多くの公共建築や文化施設などを手掛ける、日本を代表する建築家である。
代表作としては、「海の博物館」「牧野富太郎記念館」「ちひろ美術館・東京」などが知られ、屋根天井などに木材をふんだんに使用した建築を多く手がける。
また、建築に関する著書も多く手がけており、文筆家・思想家としても知られている。
建築の特徴

日向市駅の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- スギを中心としたまちづくり
- 構造材としてスギを使う
- スギの温かみを感じる1階空間
- 有機的なスギ材によるホーム階の天井
- ガラス張りの外観
スギを中心としたまちづくり

宮崎県は、スギ素材生産量で日本一を誇る。
これを生かし、「スギ技術の情報発信をしていきたい」という日向市の意向に沿い、スギを中心としたまちづくりの象徴となる駅舎が計画された。
しかし、スギは材質がやわらかいため加工性には優れているが、強固さが足りないため大規模な建築には不向きである。
構造材としてスギを使う

内藤廣「スギは本来、構造材に使うものではない」
設計者である内藤氏がこう述べるように、スギは駅舎のように大規模建築には不向きな材料である。
しかし、日向市側のスギを使いたいという意志は強かった。
そこで、宮崎県の土木部や地元業者、構造設計を担当する川口衞構造設計事務所で「技術検討グループ」を編成し、技術面での検討を繰り返した。
スギの温かみを感じる1階空間

高架化された駅舎の1階部分天井には、スギの間伐材を使用しており、木のぬくもりを感じる空間がつくられている。
さらに、蛍光灯には暖色系でオレンジっぽい「電球色」が用いられているため、温もりが強調されている。
また、写真には写っていないが、1階外周部にある柱は、ホーム階で使用したスギ材の余りを利用している。
有機的なスギ材によるホーム階の天井

ホーム階の天井は、スギ板を何重にも重ね接着した「スギ集成材」による梁によって構成されている。
この集成材は、S字型の曲線を描いており、シャープな印象を持つグレーの鉄骨とコントラストとなり、美しい構造体を作り出す。
さらに、このS字曲線は、使用材料を必要最低限に抑えつつ、地震や風による曲げモーメントに合理的に対応できる形状ともなっている。
ガラス張りの外観

内部のスギ材であふれる温かい空間とは対照的に、外部はガラス張りのシンプルな構成となっている。
「消費されないデザイン」
シンボリックな形態だと、完成した瞬間のインパクトは大きいがデザインが消費され、飽きられるのも早い。
このような内藤氏の考えを基に、ガラス張りによるシンプルな形態の駅舎がつくられた。
建築概要
- 所在地:宮崎県日向市上町
- 竣工 :2008年2月
- 用途 :駅舎
- 構造 :S造、木造
- 階数 :地上2階
- 高さ :18.266m
- 設計 :内藤廣建築設計事務所
- 施工 :九鉄工業
- 構造 :川口衞構造設計事務所
- 設備 :交建設計
施設概要
最後に・・・
以上が日向市駅の特徴でした。
地元産のスギ材をふんだんに使用した温もりのある内部空間と、ガラス張りのシンプルな外観のコントラストが際立った、魅力的な建築になっていたと思います。

是非一度、日向市駅に訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。