岩手県の有名建築物14選【名建築をご紹介します】

皆さんこんにちは、当サイト「建築LIFE」を運営しているたけと言います。

今回は、北海道に次ぎ、日本で2番目に広い面積を持つ「岩手県」の有名建築物14選をご紹介したいと思います。

岩手県は、県庁所在地である「盛岡市」はもちろん、三陸海岸を有する「陸前高田市」や「気仙沼市」にも魅力的な建築物が数多く存在するため、今回は、そのあたりの建築も含めてご紹介します。

岩手県で建築巡りをする際には、ぜひ本記事をご参照ください。

では早速本題に移ります。

目次

岩手県の有名建築物14選【名建築をご紹介します】

1.高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設【内藤廣】

  • 設計:内藤廣建築設計事務所・プレック研究所
  • 竣工:2019年
  • 用途:博物館 物販店舗
  • 住所:岩手県陸前高田市気仙町土手影180番地
  • URL:公式ページ

高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設は、東日本大震災からの復興の象徴となる祈念施設として、2019年・岩手県陸前高田市に建設された施設である。

設計を務めたのは、木材をふんだんに使用した建築作品を数多く手がけることで知られる建築家・内藤廣である。

本施設は、伝承館と道の駅の2つの機能からなっており、それらの機能が前面にある防潮堤と並行するように伸びる建築内に、左右に分けて配置されている。

そして、伝承館と道の駅の間の空間はぽっかりと孔が開いており、床面には水盤、天井面には開口部が設けられ、自然に囲われた豊かな空間を作り出している。

2.大槌町文化交流センター【前田建設工業など】

photo by Ty19080914/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:前田・近代・中居・TOC異業種特定建設共同企業体
  • 竣工:2018年
  • 用途:図書館 公民館
  • 住所:岩手県上閉伊郡大槌町末広町1−15
  • URL:公式ページ

大槌町文化交流センターは、多目的ホールや図書館などの機能が入る、岩手県上閉伊郡大槌町に建つ複合施設である。

本施設の設計は「前田建設工業」「近代建築研究所」「中居敬一都市建築設計」「TOC」の4社が、異業種特定建設共同企業体を構成して実施した。

本施設は、この規模感の建築としては珍しく、完全な木造3階建ての建築物となっており、西側ファサードを構成する「樹状柱」でできた「連続門型アーチ架構」が魅力的な空間を作り出している。

また、内部の多目的ホールの天井では「立体張弦トラス」を採用することで柱のない大空間を作り出しており、施設全体として木材のぬくもりを感じる豊かな空間が形成されている。

3.釜石市民ホールTETTO【横溝真】

photo by Ty19080914/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:aat+ヨコミゾマコト建築設計事務所
  • 竣工:2017年
  • 用途:劇場
  • 住所:岩手県釜石市大町1丁目1番9号
  • URL:参考ページ

釜石市民ホールTETTOは、東日本大震災後の釜石市に賑わいを取り戻すことを目的として、2017年に建設された、大小2つのホールが入る劇場施設である。

設計を務めたのは、東京芸術大学美術学部建築科出身の建築家・ヨコミゾマコトである。

本施設は、建物中央を貫通する「大屋根で覆われた広場空間」が特徴的で、この広場に面する形でロビーやホールが設けられているため、自然な流れで人々を施設内に誘導できるようになっている。

また、この大屋根下の広場空間は、近接する大規模商業施設から人々を商店街に引き込む役割も果たしており、都市計画と建築計画の両面で重要な役割を果たす要素となっている。

4.岩手銀行赤レンガ館【辰野金吾】

photo by 663highland/CC 表示-継承 4.
  • 設計:辰野金吾
  • 竣工:1911年
  • 用途:銀行店舗
  • 住所:岩手県盛岡市中ノ橋通一丁目2番20号
  • URL:参考ページ

岩手銀行赤レンガ館は、1911年・岩手県盛岡市中ノ橋通一丁目に「盛岡銀行本店」として建設された銀行建築であり、現在は多目的ホールや展示施設として利用されている。

設計を務めたのは、「東京駅」や「日本銀行本店」など歴史主義建築を数多く手がけたことで知られる建築家・辰野金吾である。

建築としては、通称「辰野式」と言われる、赤レンガに白い花崗岩を帯状にめぐらせたデザインが特徴的で、代表作『東京駅』にも採用された辰野金吾お得意のデザインとなっている。

5.御所野縄文博物館【仙田満】

  • 設計:仙田満
  • 竣工:2002年
  • 用途:博物館
  • 住所:岩手県二戸郡一戸町岩館字御所野2
  • URL:公式ページ

御所野縄文博物館は、岩手県・御所野にある史跡公園「御所野縄文公園」の中に建つ博物館建築である。

設計を務めたのは「石川県立図書館」や「マツダスタジアム」など数多くの公共建築を手掛けることで知られる建築家・仙田満だ。

仙田満はこの施設で、「博物館本体」と駐車場から博物館まで続く「木橋」の設計を行っている。

もちろん博物館建築も魅力であふれているが、ここでは象徴的な「木橋」について詳しく解説しておく。この木橋は、全長約80mの長さを持つ屋根付きの木造つり橋となっており、外形は一辺3.2mのダイヤモンド型をしている。

この長い木橋を通ることによって、現代から縄文時代へタイムスリップしてもらおうという意図を基に設計を行ったそう。

6.道の駅たのはた【古谷誠章】

  • 設計:古谷誠章
  • 竣工:2021年
  • 用途:物品販売業を営む店舗
  • 住所:岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪151-6
  • URL:公式ページ

道の駅たのはたは、岩手県田野畑村の交流の玄関口として2021年にオープンした道の駅施設である。

設計を務めたのは、日本全国で数多くの公共建築を手掛ける建築家・古谷誠章だ。

コンセプト「田野畑の自然に呼応する曲線屋根の集いの場」

このコンセプトの通り、田野畑村のおおらかな地形に呼応するように、わずかにカーブしながら長く連なる大屋根が、内部空間をやさしく包み込み、居心地のいい道の駅を作り出している。

大屋根は、岩手県産のアカマツを使用した「木トラス架構」で構成されており、内部では柱のない大空間が展開されている。

7.思惟創館【古谷誠章】

  • 設計:古谷誠章
  • 竣工:2020年
  • 用途:旅館
  • 住所:岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪151-61
  • URL:公式ページ

思惟創館は、道の駅たのはたに隣接する位置に建つ、簡易宿泊や研修、農山漁村体験などができる施設である。

設計を務めたのは、「道の駅たのはた」と同様に数多くの公共建築を手掛ける建築家・古谷誠章である。

もともとこの建物は、1930年に元田野畑村長の住宅として建設された建築であった。

1986年に村に寄贈されてからは、高齢者の活動施設として利用されていたが、老朽化などに伴い、今回都市農村交流施設として生まれ変わった。

長年にわたり住民に親しまれてきた元々の姿を可能な限り保存するため、古谷誠章は、古材をうまく利用するなどして改修前の素材感や趣を残しつつ、新しい施設へと改修を行った。

8.岩手県立博物館【佐藤武夫】

photo by Mutimaro/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:佐藤武夫設計事務所
  • 竣工:1980年
  • 用途:博物館
  • 住所:岩手県盛岡市上田字松屋敷34
  • URL:公式ページ

岩手県立博物館は、岩手県の県制百年を記念して1980年に開館した総合博物館である。

設計を務めたのは、日本の大手組織設計事務所「佐藤総合計画」の生みの親である建築家・佐藤武夫だ。

本施設の全体像としては、箱型のシンプルな形態となっているが、一カ所だけ「大きなゲート」のようになった構造体が存在しており、このゲートは来場者を迎え入れる装置として機能している。

また、外壁には「窯変リブ付大型特焼きタイル」というものが打ち込まれており、これは南部赤松の幹を感じさせる色彩を持ち、周囲の自然環境に建築を調和させる効果をもたらす。

9.大船渡市民文化会館・市立図書館 リアスホール【新居千秋】

photo by Yasu/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:新居千秋
  • 竣工:2008年
  • 用途:劇場 図書館 マルチスペース 他
  • 住所:岩手県大船渡市盛町字下舘下18-1
  • URL:公式ページ

大船渡市民文化会館・市立図書館 リアスホールは、劇場と図書館を併設する形で2008年に竣工した、岩手県大船渡市に建つ複合公共建築である。

設計を務めたのは、ペンシルベニア大学の大学院を卒業し、日本各地で数多くの公共施設を手掛ける建築家・新居千秋だ。

建築としては、全体がコンクリートで構成された量感・質感のある形態が特徴的だが、これは地域の名勝である「穴通磯」をモチーフにしてデザインされているという。

また、新居千秋の作品には本施設と類似した「由利本荘市文化交流館 カダーレ」という施設が秋田県に建っているが、カダーレの方が竣工は遅いので、リアスホールの発展形だと考えられる。

10.陸前高田市立博物館【内藤廣】

photo by Yasu/CC 表示-継承 3.0
  • 設計:内藤廣建築設計事務所
  • 竣工:2021年
  • 用途:博物館
  • 住所:岩手県陸前高田市高田町字並杉300-1
  • URL:公式ページ

陸前高田市立博物館は、東日本大震災により甚大な被害を受けた「旧・陸前高田市立博物館」と「海と貝のミュージアム」を合築する形で、2021年に新たに建設された博物館建築である。

設計を務めたのは、木材をふんだんに使用した建築作品を数多く手がけることで知られる建築家・内藤廣である。

建築としては、鉄筋コンクリート造のボリュームに「2枚の片流れ屋根」と「4周に回る庇」が絡みついた堀の深い構成が特徴的で、屋根の裏側には内藤建築らしく木材がふんだんに使用されている。

一方で、屋根の表面には落ち着きのある「チタン亜鉛合金版」が使用されており、この内外の印象の違いも内藤廣建築の特徴である。

11.住田町役場【前田建設工業など】

photo by Ty19080914/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:前田建設工業・長谷川建設・中居敬一都市建築設計・近代建築研究所
  • 竣工:2014年
  • 用途:庁舎
  • 住所:岩手県気仙郡住田町世田米字川向88-1
  • URL:公式ページ

住田町役場は、岩手県気仙郡住田町の執行機関が事務を行うための場所として、2014年に建設された庁舎建築である。

設計を務めたのは、前田建設工業をはじめとする「異業種特定建設共同企業体」である。

本施設は、地元の木材を使用した「純木造の公共建築物」として建築界では有名であり、木材活用コンクールにおいて「農林水産大臣賞」を受賞するなど、数多くの賞を受賞している名建築である。

また、本施設を建設するにあたっては、補助金などを利用せず、町民が積み立ててきた基金を使用していたり、建材として用いている木材も町内でとれたものを利用するなど「町民が自分たちで建てた建築」であることでも知られている。

12.アンバーホール【黒川紀章】

photo by Ty19080914/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:黒川紀章建築都市設計事務所
  • 竣工:1999年
  • 用途:劇場(文化会館)
  • 住所:岩手県久慈市川崎町17-1
  • URL:公式ページ

アンバーホールは、岩手県久慈市に建つ、大小2つのホールを内包したコンサートホール建築である。

設計を務めたのは、メタボリズム理論を展開することで、日本建築界を牽引した世界的建築家・黒川紀章である。

この施設は、建物中央にそびえたった円錐形の構造物が特徴的だが、実は、黒川紀章は建築を設計する際「円錐型」を好んで使用することで知られており、彼の代表作「国立新美術館」でも円錐形が使用されている。

この施設において、ガラスの円錐型構造物の中には、エントランスホールと階段が配置されており、活動の起点となる役割を果たしている。

13.岩手県立美術館【日本設計】

  • 設計:日本設計
  • 竣工:2000年
  • 用途:美術館
  • 住所:岩手県盛岡市本宮字松幅12-3
  • URL:公式ページ

岩手県立美術館は、萬鐵五郎・松本竣介・舟越保武など、岩手県にゆかりのある作家の作品を中心に収集・展示することを目的として、2000年に建設された公立美術館である。

設計を務めたのは、日本最大手の組織設計事務所・日本設計である。

本施設の前面には、円形状に広がる緑豊かな中央公園が存在しており、この円形公園の曲線に沿うように湾曲した空間「グランドギャラリー(写真1枚目)」本施設には設けられている。

このグランドギャラリーは、ロビーやラウンジ的な役割を果たしつつ、場合によっては作品を展示することも可能なフレキシブルな大空間となっている。

14.盛岡市子ども科学館【佐藤武夫】

photo by Ebiebi2/CC 表示-継承 4.0
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