古谷誠章とは?
- 1955 東京都に生まれる
- 1978 早稲田大学理工学部建築学科卒業
- 1980 早稲田大学大学院修了
- 1997 早稲田大学教授
- 2017 日本建築学会会長(第55代)
古谷誠章は、早稲田大学の建築学科で教授を務めることでも知られる建築家である。
住宅・学校校舎・道の駅・図書館・美術館など幅広い建築作品を手掛け、2017年には日本建築学会の会長に就任するなど、名実ともに偉大な建築家である。
古谷誠章はいろんな建築を設計しているが、最も注目を浴びた作品はおそらく「せんだいメディアテーク」のコンペで2等となった案であろう。
そんな異色の経歴を持つ古谷誠章の代表作8選を、今回ご紹介していきたいと思います。
【代表作】建築家古谷誠章の建築作品8選
1.道の駅たのはた

- 住所:岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪151-6
- 竣工:2021年
- 用途:物品販売業を営む店舗
- URL:公式ページ
道の駅たのはたは、岩手県田野畑村の交流の玄関口として2021年にオープンした道の駅である。
コンセプト「田野畑の自然に呼応する曲線屋根の集いの場」
このコンセプトの通り、田野畑村のおおらかな地形に呼応するように、わずかにカーブしながら長く連なる大屋根が、内部空間をやさしく包み込み、居心地のいい道の駅を作り出している。
大屋根は、岩手県産のアカマツを使用した「木トラス架構」で構成されており、内部では柱のない大空間が展開されている。
2.思惟創館(しいそうかん)




- 住所:岩手県下閉伊郡田野畑村菅窪151-61
- 竣工:2020年
- 用途:旅館
- URL:公式ページ
思惟創館は、道の駅たのはたに隣接する位置に建つ、簡易宿泊や研修、農山漁村体験などができる施設である。
もともとこの建物は、1930年に元田野畑村長の住宅として建設された建築であった。
1986年に村に寄贈されてからは、高齢者の活動施設として利用されていたが、老朽化などに伴い、今回都市農村交流施設として生まれ変わった。
長年にわたり住民に親しまれてきた元々の姿を可能な限り保存するため古谷誠章は、古材をうまく利用するなどして改修前の素材感や趣を残しつつ、新しい施設へと改修した。
3.小布施町立図書館「まちとしょテラソ」




- 住所:長野県上高井郡小布施町大字小布施1491-2
- 竣工:2009年
- 用途:図書館
- URL:公式ページ
小布施町立図書館とは、「栗と北斎のまち」として親しまれている長野県小布施町に建つ図書館のことである。
コンセプト「行灯のような図書館」
このコンセプトを基に、夜間真っ暗になる小布施町を優しく照らす行灯のような図書館が完成している。
さらに、街を優しく照らすだけにとどまらず、街の人々が出合い、自由に時を過ごせる場所を作りたいと考えた古谷誠章は「曲面を持った大屋根」と「樹状の柱」を用いて広場のような空間を作り出した。




4.静岡理工科大学建築学科棟「えんつりー」
- 住所:静岡県袋井市豊沢2200-2
- 竣工:2017年
- 用途:大学
- URL:公式ページ
静岡理工科大学建築学科棟「えんつりー」は、静岡県内で初となる総合建築学科として建てられた学校建築である。
コンセプト「学生の探求心を刺激する」
このコンセプトを基に、建築学科の学生の探求心を刺激するような、仕組みがふんだんに取り入れられた建築となっている。
具体的には「1本の樹状柱で支えられた大きな軒下空間」や「軒下や天井を覆うスギ材によるルーバー」など、建築学生なら思わず反応してしまうような構成がたくさん盛り込まれている。
5.茅野市民館




- 住所:長野県茅野市仲町1-22
- 竣工:2005年
- 用途:劇場 音楽ホール 美術館 図書室
- URL:公式ページ
茅野市民館は、長野県茅野市に建つ、劇場・美術館・図書館など様々な機能をあわせもつ文化複合施設である。
写真右が「コンサートホールや展示室」中央が「マルチホールやロビー」写真左が「図書室やスタジオ」となっており、その3棟で挟み込むように「中庭」が配置されている。
最も特徴的なのが、細長いスロープ棟に配置された図書空間であり、スロープ棟の両壁面はガラス張りになっているため開放感のある読書スペースとなっている。
6.天草ビジターセンター 展望休憩所




- 住所:熊本県天草郡松島町永浦島
- 竣工:1994年
- 用途:博物館・無料休憩所
- URL:公式ページ
天草ビジターセンター展望休憩所は、日本で初めて国立公園に指定された雲仙天草国立公園の「ビジターセンター(公園の利用案内所)」と「展望休憩所」の2棟からなる施設である。
写真奥には広大な海が広がっており、天草の絶景が眺められる。
その景観を重要視して、2つの棟の海側は前面がガラス張りとなっており壁が一切ない。そのため、施設内部にいても常に天草の絶景を堪能できるというわけである。
さらに、建物全体を覆う屋根は天草松島の景観に溶け込むようにと、島の稜線に屋根ラインを合わせているという。すごい徹底ぶりだ。
7.香美市立やなせたかし記念館




- 住所:高知県香美郡香北町美良布
- 竣工:1996年
- 用途:美術館
- URL:公式ページ
香美市立やなせたかし記念館は、アンパンマンの生みの親である漫画家「やなせたかし」の美術館である。
「アンパンマンミュージアム」という愛称を持ち、写真の建物の上にもアンパンマンがいるのが見える。
一見シンプルな箱モノ建築に見えるが、内部では大階段や様々な開口部などによって、外観からでは想像できないような多様な空間がつくられている。
また、前面の芝生の広場からエントランスまでは平面的に湾曲したブリッジがかけられており、美術館への期待が膨らむ魅力的な構成となっている。
8.神流町中里合同庁舎




- 住所:群馬県多野郡神流町神ヶ原427-1
- 竣工:2003年
- 用途:役場分庁舎・健康増進管理センター・図書コーナー
- URL:公式ページ
神流町中里合同庁舎は、今は人口の減少などで神流町へと合併した中里村の村役場として建てられた施設である。
この施設の設計者を決めるコンペでは、将来的に周辺地域と合併する可能性があることをふまえて、以後の使い方も考慮した設計をしてほしいという要件が盛り込まれていました。
その要件に対して古谷誠章氏は、建物の高さを通常規模よりかなり大きく確保して4階建てとし、4階まで村役場を持ち上げ、その下には住民があらゆる活動を行えるユニバーサルスペースを作るという計画を提案しました。
結果的にその提案が通り、このような高さのある建築が完成したのです。
古谷誠章の作品集など




今回はこれで以上になります。
今回ご紹介した建築は、古谷誠章が設計した建築のほんの一部です。
そのため、今後も随時情報を更新していきたいと思っています。
気が向いたら、また本記事をご覧ください。
ではまた。
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