みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」といいます。
今回は、宮城県内にある魅力的な美術館・博物館施設11選をご紹介したいと思います。
宮城県内には、歴史や宇宙をテーマにした博物館から、漫画を専門的に扱う美術館まで、多種多様な芸術文化施設が揃っているので、宮城県を観光する際にはぜひ本記事を参考に、美術館・博物館巡りをしてみてください。
では早速本題に移ります。
宮城県の魅力的な美術館・博物館11選【歴史博物館~漫画館まで】
1.南三陸311メモリアル【隈研吾】

- 展示:東日本大震災関連の写真・映像を展示
- 設計:隈研吾建築都市設計事務所
- 竣工:2022年
- 用途:文化施設
- 住所:宮城県本吉郡南三陸町志津川字五日町
- URL:公式ページ
南三陸311メモリアルは、東日本大震災の記憶や教訓を未来へ伝える「伝承館」として宮城県本吉郡南三陸町に建設された文化施設である。
本施設の設計は「新国立競技場」や「浅草文化観光センター」など、数多くの公共施設を手掛ける建築家「隈研吾」が担当している。
隈研吾はこれまで、南三陸の復興計画として「さんさん商店街」と「中橋」の2つの建築作品をこの地で手掛けており、この南三陸311メモリアルは、一連の復興計画の集大成となる施設として設計された。
本施設は、建物中央の「孔」が鳥居のような神聖さを作り出した空間構成が特徴的で、そこに隈研吾お得意の「木製ルーバー」が孔に吸い込まれるような形で設置されており、奥に引き寄せられるような求心的な空間を作り出している。
2.石ノ森萬画館【日本設計】




- 展示:漫画家・石ノ森章太に関する資料を展示
- 設計:日本設計
- 竣工:2001年
- 用途:博物館
- 住所:宮城県石巻市中瀬2番7号
- URL:公式ページ
石ノ森萬画館は、仮面ライダーなどで知られる宮城県出身の漫画家「石ノ森章太郎」の顕彰を目的として、2001年に建設された博物館建築である。
本施設の設計原案は石ノ森章太郎自身が作成しており、その原案を基にして、日本の大手組織設計事務所「日本設計」が具体的な設計を行った形となっている。
宇宙船をモチーフにした近未来的な形態が象徴的な外観を作り出しているが、これは「従来の政府が作る箱モノ建築ではなく、遊び心を前面に出したい!」という石ノ森章太郎の想いを反映した形態となっている。
本施設は2001年に竣工した建築物であるが、残念ながら石ノ森章太郎は1998年に亡くなっており、完成した石ノ森萬画館を実際に見ることはなかった。
3.宮城県美術館【前川國男】
- 展示:宮城県および東北地方にゆかりのある作品・海外作家の作品などを展示
- 設計:前川国男建築設計事務所
- 竣工:1981年
- 用途:美術館
- 住所:宮城県仙台市青葉区川内元支倉
- URL:公式ページ
宮城県美術館は、宮城県や東北地方にゆかりがある芸術作品の保存・展示を主目的として、1981年・宮城県仙台市に建てられた美術館建築である。
本美術館の設計は、日本各地で数多くの美術館建築を手がけたことで知られる、日本建築界の巨匠「前川國男」が務めた。
建築としては、建物中央に設けられた「大きな中庭」とその中庭を取り囲う「回廊空間」が特徴的で、回廊上部を支える列柱からは、西洋建築の雰囲気が感じられる。
このような、大きな中庭と回廊という組み合わせは、ヨーロッパの古代建築などによく見られる構成であるが、日本でこのような空間を作り出している例はあまり多くなく、日常とは違う空間体験ができる魅力的な美術館となっている。
4.感覚ミュージアム【六角鬼丈】




- 展示:「感覚」をテーマとする展示
- 設計:六角鬼丈計画工房
- 竣工:2000年
- 用途:美術館
- 住所:宮城県大崎市岩出山字下川原町
- URL:公式ページ
感覚ミュージアムは、日本で初めて視覚・聴覚といった「感覚」をテーマとするミュージアムとして、宮城県大崎市に開館した芸術文化施設である。
本美術館の設計は、東京武道館や富山県立山博物館などの設計者として知られる、東京藝術大学出身の建築家「六角鬼丈」でが務めている。
上空写真を見るとわかりやすいのだが、本施設は、箱型の建物を楕円形にくり抜き、残った部分を内部空間に、くり抜いた楕円形の部分を広場にした全体構成となっている。
さらに、楕円形の広場の一部は外部に開かれた構成となっているのだが、その対面部分には保育所が設置されており、感覚的には周囲を建物に囲われた求心的中庭空間が作り出されている。
5.東北歴史博物館【荒井和征】
- 展示:東北地方の歴史に関する資料を展示
- 設計:荒井和征+空間設計
- 竣工:1999年
- 用途:博物館
- 住所:宮城県多賀城市高崎1-22-1
- URL:公式ページ
東北歴史博物館は、東北地方の歴史を中心に取り扱う、宮城県多賀城市に建つ歴史系博物館である。
本施設の設計は、日本の建築家「荒井和征」が務めている。
本施設は、建物と人工池が並列に配置された全体構成となっているが、その2つの要素の間にはスロープや階段状になった広々としたアプローチ空間が展開されており、受け入れ間口の広い建築物となっている。
また、長いアプローチ空間の左手側は「研究棟」、正面の円筒型の棟は「エントランス」、その左が「展示棟」になっており、来館者は研究棟を横目に見ながら、エントランスに入り展示棟に向かうという一体的な動線計画がなされている。
6.仙台市富沢遺跡保存館【坂倉研究所】
- 展示:富沢遺跡(旧石器時代・弥生時代)の遺構など
- 設計:坂倉建築研究所東京事務所
- 竣工:1996年
- 用途:遺跡保存館
- 住所:宮城県仙台市太白区長町南4-3-1
- URL:公式ページ
仙台市富沢遺跡保存館は、別名「地底の森ミュージアム」という名で親しまれる、宮城県仙台市に建つ博物館建築である。
本博物館の地下2階には、富沢遺跡から発掘された「旧石器時代に生きた人達の活動跡と森林跡」を発掘当時の状態(土の上)で保存・展示しており、この展示形態の珍しさから「地底の森ミュージアム」という愛称が付けられた。
また、本博物館は建築にも特徴があり、楕円形の平面形態を持ったコンクリートの建物が、異様な外観を作り出している。
設計は、日本建築界の巨匠・坂倉準三が生前に設立した建築設計事務所「坂倉建築研究所」が担当している。
7.仙台市科学館【久米建築事務所】
- 展示:自然・科学に関する展示
- 設計:久米建築事務所
- 竣工:1990年
- 用途:科学館
- 住所:宮城県仙台市青葉区台原森林公園
- URL:公式ページ
仙台市科学館は、「スリーエム仙台市科学館」の愛称で親しまれている、宮城県仙台市の台原森林公園に建つ科学博物館である。
設計を務めたのは、日本の大手組織設計事務所「久米設計」の前身となる設計事務所「久米建築事務所」である。
本施設は、水平に長く伸びる形態と、トラスやラーメン構造で構成された鉄骨造の大架構がスタイリッシュな外観を形成しており、「科学館」という事を周囲に印象付けるようなシンボリックな建築物となっている。
さらに、本施設の内部空間では、メカニックや設備システムなどの科学的な要素を、あえて隠すことなく見せることで、建築そのものが科学の展示物となるような構成を採用している。
8.仙台市博物館【佐藤武夫】
- 展示:仙台を中心とする歴史・文化史・美術・工芸資料などの展示
- 設計:佐藤武夫設計事務所
- 竣工:1985年
- 用途:博物館
- 住所:宮城県仙台市青葉区川内26番地
- URL:公式ページ
仙台市博物館は、仙台の歴史・文化・美術などの研究や展示を目的として、宮城県仙台市にある「仙台城三の丸跡」に建てられた博物館建築である。
設計を務めたのは、日本の大手組織設計事務所「佐藤総合計画」の生みの親である建築家・佐藤武夫だ。
本施設は、従来の博物館建築によく見られた「見せる」ための半強制的な空間設計ではなく、利用者が主体となった「見る」ための空間設計が行われており、利用者の自由な活動を引き出すような構成が採用されている。
具体的には、ミュージアムストリートという回遊性のある通路を設けて、その通路に沿う形で各展示空間を商店街に並ぶ店舗のように配置している。
つまり、来館者はミュージアムストリートを歩きながら、自由に自分の入りたい展示室(店舗)を選択することができるというわけである。
9.仙台文学館【ネオタイド建築計画】
- 展示:仙台や宮城にゆかりのある近代文学に関する資料を展示
- 設計:ネオタイド建築計画
- 竣工:1999年
- 用途:文学館
- 住所:宮城県仙台市青葉区北根2丁目7番1号
- URL:公式ページ
仙台文学館は、宮城県仙台市にある緑豊かな「台原森林公園」の西側入口部分に建つ、文学館・社会教育施設などを内包した文化複合施設である。
設計を務めたのは、建築設計・土木設計・インテリデザイン・コンサルなど幅広い分野で活動する企業「オタイド建築計画」である。
本施設は、仙台の「都市空間」から台原森林公園の「大自然」へとつながる「散策ブリッジ」を跨ぐようにして建てられた建築構成が特徴的で、都市と自然の間の「結界」的な役割を果たしている。
また、この建物は敷地全体を巡る散策路を東西につなぐ「ブリッジ」的な役割も担っており、ここを訪れた人々は森の中を散策しているうちに自然とこの施設へ導かれるような見事な動線設計が行われている。
10.中本誠司現代美術館【中本誠司】




- 展示:現代アート作家・中本誠司の作品を展示
- 設計:中本誠司
- 用途:美術館(旧・自宅兼アトリエ)
- 竣工:1976年
- 住所:宮城県仙台市青葉区東勝山
- URL:公式サイト
中本誠司現代美術館は、日本の現代アート作家「中本誠司(1939~2000)」が、自身の作品を発表する場として1976年に建設した施設で、彼の死後もこの施設は、中本誠司の作品を展示する美術館として運営されている。
本施設は、スペイン風のお城のような外観が特徴的な建築物となっているが、実はこの建築、基礎工事以外は中本誠自身の手によって建設されており、いわば中本誠司のアート作品にもなっている。
テントを張って生活しながら、4年の歳月をかけて制作した壮大なアート作品である。
また、こんな物珍しい建築はどこに立っているのか気になるところだが、実はごく一般的な住宅街にポツリと佇んでいるあたりも、異質で面白い。
11.仙台市天文台【NTTファシリティーズ】
- 展示:宇宙・天文に関する展示
- 設計:NTTファシリティーズ
- 用途:天文台・プラネタリウム・展示室
- 竣工:2007年
- 住所:宮城県仙台市青葉区錦ケ丘
- URL:公式サイト
仙台市天文台は、宇宙・天文に関する情報発信の場として、2007年宮城県仙台市に建てられた博物館建築である。
本施設は1954年の設置当初、天文台実習などを行う教育機関としての性格が強い施設だったのだが、運営が文化観光課から教育委員会に移されてからは、プラネタリウムや展示室といった機能を付加していき、現在の博物館としての性格に近づいていったという歴史を持つ。
2007年には、同じく仙台市にあった「仙台市こども宇宙館」の機能を付加する形で天文台施設を新たに建設し、現在の「仙台市天文台」の姿になった。
現・仙台市展望台を設計したのは、日本の大手組織設計事務所「NTTファシリティーズ」である。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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