みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は、森の都として知られる熊本の玄関口「熊本駅」の建築的特徴を解説していきたいと思います。
是非最後までご覧ください。
熊本駅の概要

熊本駅は、JR熊本駅における在来線連続立体交差事業の一環として、2019年に新設された駅舎建築である。
建築の設計は、コンクリート建築でおなじみの建築家「安藤忠雄」が担当。
熊本城の石垣をモチーフにしたと言う、わずかに湾曲するファサードが重厚感のある外観を形成している。
また、熊本駅の駅前広場は、東口広場を西沢立衛、西口広場を佐藤光彦という有名建築家が設計を行っている。(両広場に関しても以下で詳しく解説する)
設計者:安藤忠雄とは?
- 1941 大阪市に生まれる
- 1969 安藤忠雄建築研究所設立
- 1976 住吉の長屋で日本建築学会賞受賞
- 1989 ハーバード大学客員教授
- 1997 東京大学工学部建築学科教授
建築に関わる者であれば、知らない人はいないであろう世界的建築家・安藤忠雄。
元プロボクサー、独学で建築を学んだこと、関西人らしい性格など、建築家以外の要素でも魅力的な面をたくさん持った人物である。
代表作としては「住吉の長屋」「光の教会」「頭大仏殿」などが挙げられ、コンクリートと幾何学を用いたスタイリッシュな建築作品を数多く手がけることで知られる。
安藤忠雄の建築は海外でも人気があり、アメリカの歌姫「ビヨンセ」とラッパー「ジェイ・Z」の夫婦が、安藤忠雄設計の住宅を約2億ドル(約283億円)で購入したことでも話題となった。
熊本駅の建築的特徴
熊本城の石垣をモチーフとした外壁

熊本駅の全長240mにも及ぶ横に長いファサードは、熊本城の石垣をモチーフとしてデザインされている。
この角度からだとわかりづらいが、外壁は緩やかなカーブを描いており、まさに熊本城の石垣を彷彿とさせる曲線美を持ち合わせている。
外壁の素材は、安藤忠雄だからコンクリートだと思いがちだが、ここではアルミキャストパネルが使用されており、熊本城の瓦のような質感となっている。
「森の都熊本」の玄関口としての駅舎

『吾輩は猫である』や『坊っちゃん』などで知られる文豪・夏目漱石は、豊かな熊本の風景を見て「熊本は森の都だ」と口にしたという言い伝えがある。
そんな「森の都」の玄関口として熊本駅は建てられている訳だ。
このことを意識してか、コンクリート建築でおなじみの安藤忠雄としては珍しく、駅舎内部に木材をふんだんに使用している。
木材架構でできたホーム屋根

熊本駅ホームの上屋は、集成材架構によって屋根が形成されている。
これによって、ホームではまるで森の中にいるかのような木の温もりであふれた空間がつくられている。
まさに「杜の都熊本」にふさわしい駅舎建築である。
西沢立衛による東口広場

熊本駅の東口広場は、世界的建築家・西沢立衛が設計を担当。
広場を囲うようにして白い屋根が設置されていることがわかる。
元々この東口駅前広場は、2010年に雲をモチーフとした形状のものが完成していたのだが、2016年に発生した熊本地震の影響を受けて以前のものは取り壊され、2021年に今の細長い屋根が建設された。
佐藤光彦による西口広場

熊本駅の西口広場は、日本大学理工学部で教授を務める建築家「佐藤光彦」が担当。
東口広場と同様に、ロータリーを囲うようにして細長い屋根が設けられているが、西口ではさらに内側に壁も設置されていることがわかる。
そしてこの壁は、車道側を黒、歩道側を白で仕上げることで空間の質に変化を与えている。
東口も西口も、どちらも魅力的な駅前空間がつくられている。
安藤忠雄の作品集

今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。