みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は、安藤忠雄の代表作として名高い「光の教会」の建築的特徴を解説していきたいと思います。
安藤忠雄の教会三部作の一つとしても有名な教会建築です。
是非最後までご覧ください。
光の教会の概要

- 設計:安藤忠雄
- 住所:大阪府茨木市北春日丘
- 竣工:1989年
- 用途:教会
- 構造:鉄筋コンクリート造
- 階数:地上1階
- 設計:安藤忠雄
- 構造:アスコラル構造研究所
- 施工:竜己建設
光の教会とは、大阪府茨木市にある茨木春日丘教会のことである。
設計を務めたのは、コンクリートを全面に出した建築で有名な建築家・安藤忠雄。
この教会は、予算がかなり少ない中、できる限り無駄をなくし最低限の礼拝環境を作り出した、究極のローコスト建築である。
しかしながら、この教会の最大の特徴である光の十字架によって、とても豊かで魅力的な空間がつくられている。
設計者:安藤忠雄とは?
- 1941 大阪市港区に生まれる
- 1969 安藤忠雄建築研究所設立
- 1976 日本建築学会賞を受賞
- 1989 ハーバード大学客員教授
- 1997 東京大学教授に就任
- 2012 国立競技場 審査委員長
建築に関わる者であれば、一度は耳にしたことがあるだろう建築家安藤忠雄。
安藤氏は大学には行かず独学で建築を学び、日本のみならず世界でも活躍されている特異な経歴の持ち主である。
代表作としては、「住吉の長屋」「表参道ヒルズ」などが挙げられ、コンクリート打ち放しの建築が象徴的である。
光の教会の建築的特徴
コンクリートの箱と斜めに突き刺さる壁

光の教会の外観は、安藤忠雄氏らしいコンクリート打ち放しによって形作られている。

光の教会は、高さ6ⅿ、奥行き18ⅿほどのコンクリートの箱に、1枚のコンクリートの壁が斜めに突き抜けるような構成をしている。
この斜めの壁と箱の壁の間を通り内部に入る。そして斜めの壁にあけられた開口部を抜けると、正面には光の十字架が姿を現す。
このように、斜めの壁によって、魅力的な演出のアプローチ空間がつくられている。
壁に浮き上がる光の十字架

光の教会という名前の由来は、光という自然を抽象化してつくられた十字架にある。
正面の壁いっぱいに設置された十字型の開口部から、朝日が差し込むように建物を配置。
さらに、その光を強調するために、十字型開口以外の開口部を減らし内部への光を絞っている。
この光の十字架は、構造設計にとても苦労したという。
なぜなら、正面の壁いっぱいに十字型の開口が設けられているため、上二つのブロックは、完全に地面から切り離されている。
そのため、天井部分から2つのブロックを吊るす構成をとったが、低予算であることもあり、難題だったそうです。
階段状になった床

一般的な教会は、一番高い場所に説教壇が置かれることが多い。
しかし、光の教会では、床が光の十字架に向けて階段状に下っていき、その一番低い場所に説教壇が置かれている。
この構成によって、光の十字架への求心性が強調された空間がつくられている。
木製の床や椅子

内部の床や椅子には、ローコストであることを考慮して、工事現場などで足場として使われる木材を使用している。
安藤忠雄氏は以前から、床や机、椅子などの人間が直接触れる部分には自然の材料を使いたいという考えがあったそうだ。
ここで言う自然の材料とは木材に限らず、自然石なども含まれる。
さらに、このこだわりはデビュー作「住吉の長屋」にもみられるため、初期からその考えは一貫していたことがわかる。
隣に建てられた日曜学校

1999年、光の教会ができてから10年後、同じく安藤忠雄氏設計で、教会と一体となるようにして、隣に日曜学校という施設が建てられた。

日曜学校は、光の教会とほとんど同じ構成をしていて、教会との一体的な結びつきが生まれるように考えて設計されている。
ここでは、子供向けの教会学校などが行われている。
子供向けであることも考慮してか、床や椅子の材料は、木材らしい明る色合いのものとなっている。
そのため全体的に光の教会よりも明るい印象を受ける。
さらに、日曜学校には、2階や台所、トイレなども設けられており、人々の親しみやすい空間となっている。
安藤忠雄の作品集

今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。