頭大仏殿とは?
頭大仏殿は、札幌市南区の「真駒内滝野霊園」内にある礼拝施設である。
設計を務めたのは、コンクリート建築で有名な建築家安藤忠雄。
「既存の大きな大仏をコンクリートで形成したラベンダーの丘で覆う」という大胆な構成で、ランドスケープのような景観を作り出している。
安藤忠雄とは?
- 1941 大阪市港区に生まれる
- 1969 安藤忠雄建築研究所設立
- 1976 日本建築学会賞を受賞
- 1989 ハーバード大学客員教授
- 1997 東京大学教授に就任
- 2012 国立競技場 審査委員長
建築に関わる者であれば、一度は耳にしたことがあるだろう建築家安藤忠雄。
安藤氏は大学には行かず独学で建築を学び、日本のみならず世界でも活躍されている特異な経歴の持ち主である。
代表作としては、「住吉の長屋」「淡路夢舞台」などが挙げられ、コンクリート打ち放しの建築が象徴的である。
建築の特徴
頭大仏殿の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 平地に鎮座していた大仏様
- 大仏の頭より下を覆うラベンダーの丘
- 天井に大きな穴の開いた円形空間
- 空間を演出するアプローチ空間
- 結界を意味する水庭
- 水庭の両端にある円形施設
- 「モアイ像」と「ストーンヘンジ」
平地に鎮座していた大仏様
真駒内滝野霊園にある大仏は、2001年に作られ、高さ13.5m、重量1500トンに及ぶ石造りの大仏となっている。
今回の整備前は、この大仏が平地にむき出しのまま鎮座しているだけであったため、あたりの広大な自然に埋もれてしまっていた。
そんな中、、、「よりありがたく見えるようにしてほしい」
というクライアントの要望から、安藤氏は大仏の大部分をラベンダーの丘で覆い隠すという提案をした。
大仏の頭より下を覆うラベンダーの丘
大仏は、頭より下がコンクリートでできたラベンダーの丘によって覆い隠されている。
このように、頭だけを見せ、全体像がわからないようにすることで、来訪者の期待感を高めることを狙ったという。
空間を演出するアプローチ空間
北海道の広大な土地を生かし、参道から大仏まで135m程ある長いアプローチ空間が設けられている。
このアプローチ空間は、前半は外に開けた広大な道を通り、途中にある水庭を超え、40mの薄暗いトンネルの道を抜けると大仏様が姿を見せるという構成になっている。
結界を意味する水庭
アプローチ空間の途中にある「水庭」には、結界の意味が込められている。
参道から大仏まで、まっすぐに伸びるアプローチ空間に直行するように設けられた水庭。
この水庭の壁沿いを迂回するように進んでいくことで、日常から非日常へ気持ちを切り替えてもらうことが狙いであるそう。
水庭の両端にある円形施設
アプローチと直行する水庭の両端には、円形の建物が2つ建てられている。
大仏に向かって左側は「カフェ&ストア」、右側はお骨を預かる「頭大仏御廟」になっている。
上の写真は、左側にあるカフェ&ショップの内部である。
ここでは、コーヒーはもちろん、パスタやうどん、アイスなどの軽食を楽しむことができる。
天井に大きな穴の開いた円形空間
40mに及ぶ薄暗いトンネルを抜けると、天井に大きな穴の開いた円形広場に出る。
上部が13.7m、底部が27.0m、角度が60度の円錐台の壁で囲われた広場。
ここでは、天空から差し込む光によって、神々しい大仏様を仰ぐようにして見ることができる。
「モアイ像」と「ストーンヘンジ」
真駒内滝野霊園は、墓地の重たいイメージではない、明るい霊園を目指している。
そのため、霊園内には「モアイ像」や「ストーンヘンジ」といったユニークなモニュメントを再現。
人々が親しみやすい施設となっている。
建築概要
- 所在地:北海道札幌市南区滝野2
- 竣工 :2015年12月
- 用途 :礼拝施設
- 構造 :RC造
- 高さ :11m
- 階数 :1階(法的には地下1階の適用)
- 設計 :安藤忠雄建築研究所
- 構造 :アスコラル構造研究所
- 施工 :オータカ建設
施設概要
- Tel :011-592-1223
- 受付時間:9時~16時(4~10月) 10時~16時(11~3月)
- 休館日 :年末年始、メンテナンス日
- URL :トップページ | 真駒内滝野霊園【公式】 (takinoreien.com)
最後に・・・
以上が頭大仏殿の特徴でした。
大仏の頭より下を丘で覆うという大胆な発想と、それによって形成されたランドスケープのような景観が魅力的な建築だったと思います。
札幌市を訪れる際は是非、頭大仏殿に立ち寄ってみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。