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頭大仏殿【安藤忠雄】

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photo by MIKI Yoshihito/CC BY 2.0

頭大仏殿とは?

photo by Appie Verschoor/CC 表示-継承 2.0

頭大仏殿は、札幌市南区の「真駒内滝野霊園」内にある礼拝施設である。

真駒内滝野霊園

1981年に北海道の自然豊かな環境を生かし、公園墓地として整備された霊園。今回で3度目の整備計画となる。

設計を務めたのは、コンクリート建築で有名な建築家安藤忠雄

「既存の大きな大仏をコンクリートで形成したラベンダーの丘で覆う」という大胆な構成で、ランドスケープのような景観を作り出している。

たけひこ
たけひこ

そんな、頭大仏殿の特徴をご紹介します!!

安藤忠雄とは?

  • 1941 大阪市港区に生まれる
  • 1969 安藤忠雄建築研究所設立
  • 1976 日本建築学会賞を受賞
  • 1989 ハーバード大学客員教授
  • 1997 東京大学教授に就任
  • 2012 国立競技場 審査委員長

建築に関わる者であれば、一度は耳にしたことがあるだろう建築家安藤忠雄。

安藤氏は大学には行かず独学で建築を学び、日本のみならず世界でも活躍されている特異な経歴の持ち主である

代表作としては、「住吉の長屋」「淡路夢舞台」などが挙げられ、コンクリート打ち放しの建築が象徴的である。

建築の特徴

photo by MIKI Yoshihito/CC BY 2.0

頭大仏殿の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 平地に鎮座していた大仏様
  2. 大仏の頭より下を覆うラベンダーの丘
  3. 天井に大きな穴の開いた円形空間
  4. 空間を演出するアプローチ空間
  5. 結界を意味する水庭
  6. 水庭の両端にある円形施設
  7. 「モアイ像」と「ストーンヘンジ」

平地に鎮座していた大仏様

photo by 100yen/CC 表示-継承 3.0

真駒内滝野霊園にある大仏は、2001年に作られ、高さ13.5m、重量1500トンに及ぶ石造りの大仏となっている。

今回の整備前は、この大仏が平地にむき出しのまま鎮座しているだけであったため、あたりの広大な自然に埋もれてしまっていた。

そんな中、、、

「よりありがたく見えるようにしてほしい」

というクライアントの要望から、安藤氏は大仏の大部分をラベンダーの丘で覆い隠すという提案をした。

大仏の頭より下を覆うラベンダーの丘

photo by MIKI Yoshihito/CC 表示 2.0

大仏は、頭より下がコンクリートでできたラベンダーの丘によって覆い隠されている。

このように、頭だけを見せ、全体像がわからないようにすることで、来訪者の期待感を高めることを狙ったという。

ラベンダー畑

丘の上は、約15万株のラベンダーによって覆われており、、、

  • 春:新緑の緑色
  • 夏:ラベンダーの薄紫色
  • 冬:雪の白銀色

に染められ、豊かなランドスケープを作り出す。

空間を演出するアプローチ空間

photo by MIKI Yoshihito/CC 表示 2.0

北海道の広大な土地を生かし、参道から大仏まで135m程ある長いアプローチ空間が設けられている。

このアプローチ空間は、前半は外に開けた広大な道を通り、途中にある水庭を超え、40mの薄暗いトンネルの道を抜けると大仏様が姿を見せるという構成になっている。

結界を意味する水庭

photo by Mike W./CC BY-SA 2.0

アプローチ空間の途中にある「水庭」には、結界の意味が込められている。

参道から大仏まで、まっすぐに伸びるアプローチ空間に直行するように設けられた水庭。

この水庭の壁沿いを迂回するように進んでいくことで、日常から非日常へ気持ちを切り替えてもらうことが狙いであるそう。

水庭の両端にある円形施設

photo by Mike W./CC BY-SA 2.0

アプローチと直行する水庭の両端には、円形の建物が2つ建てられている。

大仏に向かって左側は「カフェ&ストア」、右側はお骨を預かる「頭大仏御廟」になっている。

photo by MIKI Yoshihito/CC 表示 2.0

上の写真は、左側にあるカフェ&ショップの内部である。

ここでは、コーヒーはもちろん、パスタやうどん、アイスなどの軽食を楽しむことができる。

天井に大きな穴の開いた円形空間

photo by MIKI Yoshihito/CC 表示 2.0

40mに及ぶ薄暗いトンネルを抜けると、天井に大きな穴の開いた円形広場に出る。

上部が13.7m、底部が27.0m、角度が60度の円錐台の壁で囲われた広場。

ここでは、天空から差し込む光によって、神々しい大仏様を仰ぐようにして見ることができる。

「モアイ像」と「ストーンヘンジ」

真駒内滝野霊園は、墓地の重たいイメージではない、明るい霊園を目指している。

そのため、霊園内には「モアイ像」や「ストーンヘンジ」といったユニークなモニュメントを再現。

人々が親しみやすい施設となっている。

モアイ像

モアイとは、チリ領イースター島にある人の顔のような石造彫刻のこと。

モアイ像には「未来を生きる」という意味があるとされ、祭祀目的で作られたという説が有力である。

真駒内滝野霊園のモアイ像は、高さ6.5~9.5mの大きさのものが、33基設けられている。

ストーンヘンジ

ストーンヘンジはイギリスにある世界遺産である。

建設目的については、太陽崇拝の祭祀場という説が有力であるが、いまだ結論には至っていない。

建築概要

  • 所在地:北海道札幌市南区滝野2
  • 竣工 :2015年12月
  • 用途 :礼拝施設
  • 構造 :RC造
  • 高さ :11m
  • 階数 :1階(法的には地下1階の適用)
  • 設計 :安藤忠雄建築研究所
  • 構造 :アスコラル構造研究所
  • 施工 :オータカ建設

施設概要

最後に・・・

以上が頭大仏殿の特徴でした。

大仏の頭より下を丘で覆うという大胆な発想と、それによって形成されたランドスケープのような景観が魅力的な建築だったと思います。

たけひこ
たけひこ

札幌市を訪れる際は是非、頭大仏殿に立ち寄ってみてください!!

ご覧いただきありがとうございました。

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