中銀カプセルタワービルとは?
- 設計 :黒川紀章
- 所在地:東京都中央区銀座8-16-10
- 竣工 :1972年
- 用途 :集合住宅
- 構造 :SRC造 S造
- 階数 :地上11階・13階、地下1階
- 高さ :53.5m
- 設計 :黒川紀章建築都市設計事務所
- 施工 :大成建設
中銀カプセルタワービルは、銀座にあるビジネスパーソンのセカンドハウス・オフィス・別荘などを目的に建てられて建築である。
設計を務めたのは、日本を代表する建築家黒川紀章。
1960~70年代に流行った建築思想「メタボリズム」の考え方をもとに設計された建築として、世界的にも有名な作品である。
そんな、中銀カプセルタワービルの特徴をご紹介します!!
黒川紀章とは?
- 1934年 愛知県に生まれる
- 1957年 京都大学工学部建築学科卒業
- 1957年 東京大学大学院建築学専攻修士課程進学
- 在学中 黒川紀章建築都市設計事務所を設立
- 1960年 世界デザイン会議に参加
- 2007年 東京都知事選挙、参院選に立候補
- 2007年 参院選2か月後に逝去
黒川紀章は、中銀カプセルタワービルや広島市現代美術館などの有名作品を手掛けた建築家である。
学生時代は丹下健三の研究室で学び、のちに建築的理論「メタボリズム」を提唱する。
さらに、黒川紀章は建築家だけではなく文筆家や政治活動家、さらにはバラエティー番組などにも出演するなど、活動の幅が広い。
建築の特徴
コアとカプセルによる構成
中銀カプセルタワービルは、二つのコア(赤茶の部分)に、140個程のカプセル(丸窓の箱)が取り付けられた構成をしている。
これは「メタボリズム」の思想によるものであり、
- コア → 木
- カプセル → 枝や葉
このように、樹木の成長の様子をそのまま建築に投影したように見える。
丸窓が特徴的なカプセル
丸窓が特徴的なカプセル自体にも、「メタボリズム」の思想が反映されている。
この丸窓カプセルの集合体はまるで人間の細胞のようである。
人間の細胞が「修復・成長」していくように、建築も「改修・増築」などを繰り返して変化していくことがイメージできると思う。
カプセルは25年に一度交換される計画であったが、一つだけ交換することができないなどの問題から、50年間一度も交換されることはなかったそう。
少しずつズレて組みあうカプセル
中銀カプセルタワービルのカプセルは、少しずつズレて積み重なっている。
これは、コアの部分でエレベーターを螺旋階段が取り巻くような構成となっているため、螺旋階段に合わせて、カプセルを段々に取り付けていることによるズレである。
装置としての建築
中銀カプセルタワービルのカプセルは、1戸あたり2.5(幅)×4.0(奥行き)×2.5(高さ)mで約10㎡ほどのかなり狭い構成となっている。
この狭い部屋にあらゆる機能を収容するために、カプセルを完全に装置化。
壁には収納・テレビ・ラジオ・電話・目覚まし時計・カセットなど、完成当時としては最先端の設備が埋め込まれている。
これらの様子は、現在ではレトロ感がありながらも、船のコックピットのような最先端性も持ち合わせている。
極限まで無駄をなくした空間
カプセルの内部は、先ほど述べたように狭い空間を効率的に利用するために完全に装置化され、極限まで無駄がない空間となっている。
これによって、カプセルを所有している人たちは、それぞれ好みに合わせて内装をカスタマイズして楽しんでいる。
最後に・・・
以上が中銀カプセルタワービルの特徴でした。
残念ながら中銀カプセルタワービルは、給排水設備や外壁、構造などの老朽化から、2022年には取り壊しが決定している。
解体されたカプセルの一部は保存・展示される予定であるそうです!!
ご覧いただきありがとうございました。