片山東熊の建築作品6選【代表作・人物像などを解説】

みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、明治期を代表する建築家「片山東熊(かたやまとうくま)」の建築作品6選をご紹介したいと思います。

東京・京都・奈良にある3つの国立博物館すべてで、展示館を設計している巨匠です。

是非最後までご覧ください。

目次

片山東熊とは?

  • 1854年 現在の山口県萩市に生まれる
  • 1879年 工部大学校造家学科(現・東大工学部)卒業
  • 1879年 工部省に勤務
  • 1917年 逝去(64歳)

片山東熊(かたやまとうくま)は、日本が開国した年である1854年に生まれ、明治政府の官庁の一つ「工部省」で建築設計などを行った明治を代表する建築家である。

日本近代化における、重責を担った建築家の一人として知られている。

代表作には「東京国立博物館・表慶館」や「迎賓館赤坂離宮」などが挙げられ、国の重要施設を数多く設計している。

また、工部大学校造家学科(現・東京大学工学部建築学科)の1回生として、イギリス人建築家・コンドルの下で建築を学んでおり、同期の辰野金吾らと共に明治期における建築界を牽引したことでも知られている。

片山東熊の建築作品6選

1.東京国立博物館・表慶館

photo by Kakidai/CC 表示-継承 4.0
  • 設計:片山東熊
  • 住所:東京都台東区上野公園
  • 竣工:1908年
  • 用途:博物館
  • URL:建築詳細ページ

東京国立博物館・表慶館は、当時の皇太子(後の大正天皇)のご成婚を記念して建設された美術館建築である。

上野公園の敷地内に建つ6つの展示館で構成される「東京国立博物館」の一施設として1908年に竣工し、現在トーハクの中で最も古い展示館となっている。

3つの青緑色のドームが象徴的な外観をあらわす煉瓦造石張りの建築物で、当時欧州で流行していたネオ・バロック様式用いて設計されている。

明治末期の洋風建築を代表する建築として、1978年には重要文化財にも指定された。

建築詳細ページ

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2.奈良国立博物館・なら仏像館

  • 設計:片山東熊
  • 住所:奈良県奈良市登大路町50-50
  • 竣工:1894年
  • 用途:博物館
  • URL:公式ページ

奈良国立博物館・なら仏像館は、1894年に旧帝国奈良博物館の本館として建設された博物館建築である。

現在は、なら仏像館と名前を変え、重要文化財を含む約100体にも及ぶ日本の仏像を常設展示している。

建築としては、奈良における初の本格西洋建築として建設されており、上面ファサードに現れているコリント式の双柱が堂々とした佇まいを作り出している。

1969年にはその歴史的価値が認められ、「旧帝国奈良博物館本館」として国の重要文化財にも指定された。

3.京都国立博物館・明治古都館

  • 設計:片山東熊
  • 住所:京都府京都市東山区茶屋町527
  • 竣工:1895年
  • 用途:博物館
  • URL:公式ページ

京都国立博物館・明治古都館は、1895年に旧帝国京都博物館の本館として建設された博物館建築である。

16世紀頃に流行したフレンチ・ルネサンス様式を用いた洋風建築となっており、赤煉瓦造の壁とコリント式オーダーによって品のあるファサードがつくられている。

特に、正面玄関部分を構成する3連アーチとコリント式の付け柱からは、古典建築(特にローマ建築)の復興を目指したルネサンス様式特有の端正さがにじみ出ている。

現在明治古都館は、免振改修などを行っているため一般公開はされていないが、いずれさらに進化した明治古都館を見るのが楽しみである。

4.迎賓館赤坂離宮

  • 設計:片山東熊
  • 住所:東京都港区元赤坂2-1-1
  • 竣工:1909年
  • 用途:迎賓館(旧・東宮御所)
  • URL:公式ページ

迎賓館赤坂離宮は、1909年に東宮御所(皇太子さまが住まわれる邸宅)として建設された宮殿建築物である。

竣工当初は東宮御所として建設された施設だが、使い勝手が悪いなどの理由から赤坂離宮に改められる。

そして、第二次世界大戦後は皇室から国に敷地と建物が移管され、国立国会図書館など様々な用途で使用されるが、現在は国賓などを迎え入れる迎賓館として運用されている。

建築としては、日本で唯一のネオ・バロック様式を用いた宮殿建築物として設計されており、バロック特有の装飾性の強い豪華絢爛な建築作品となっている。

2009年に本建築は「旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)」として、重要文化財の中でもより価値の高いものが選ばれる「国宝」に指定された。

5.仁風閣(じんぷうかく)

  • 設計:片山東熊
  • 住所:鳥取県鳥取市東町2-121
  • 竣工:1907年
  • 用途:宿泊施設(現・資料館)
  • URL:公式ページ

仁風閣(じんぷうかく)は、元鳥取藩主・池田仲博侯爵が皇太子嘉仁親王(後の大正天皇)の宿泊施設として建設した洋風建築物である。

現在は、鳥取県の歴史や仁風閣の成り立ち、池田家の歴史などに関する資料を展示する資料館として利用されている。

建築は、フレンチ・ルネサンス様式を用いた木造瓦葺の洋風建築となっており、白亜の壁が品のある佇まいを作り出している。

2012年に公開された映画『るろうに剣心』のロケ地としても利用されたことでも一時期話題になった。

6.グランドプリンスホテル高輪・貴賓館

  • 設計:片山東熊
  • 住所:東京都港区高輪3-13-1
  • 竣工:1911年
  • 用途:邸宅(現・チャペル)
  • URL:公式ページ

グランドホテル高輪・貴賓館は、旧竹田宮邸として1911年に建設された宮殿建築である。

1972年に建築家・村野藤吾によって改修されてからは、グランドホテル高輪のチャペルとして利用されている。

煉瓦造2階建てでできた本建築は、フレンチ・ルネサンス様式やネオ・バロック様式などを結集した洋風建築となっており、品のある端正な佇まいをしてる。

規模的にはあまり大きくないが、片山東熊の代表作の一つである。

片山東熊の同期「辰野金吾」について

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今回はこれで以上になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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