みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は、長野県茅野市に建つ不思議な茶室建築「空飛ぶ泥舟」を解説していきたいと思います。
一風変わった茶室建築を数多く手がけていることで知られる建築家・藤森照信の作品です。
是非最後までご覧ください。
空飛ぶ泥舟の建築的特徴
長野県茅野市に建つ茶室建築
街の至る所に縄文時代の遺跡が残ることから「縄文の里」として全国にその名を轟かせる長野県茅野市。
そんな茅野市の西端、標高1,651mを誇る守屋山の麓に建つのが今回紹介する茶室建築「空飛ぶ泥舟」である。
その名の通り、まるで空を飛ぶ船のような形状をした本建築は、茅野市出身の建築家「藤森照信」が設計した。
茅野市出身の建築家・藤森照信
藤森照信は、ジブリに登場しそうな自然と建築が一体になった建築作品を数多く手がけている日本人建築家である。
元々は、建築の歴史などを研究する建築史家として活動していた藤森照信だが、1991年45歳の時に建築家としてデビュー。
その後は、モザイクタイル専門の美術館「多治見市モザイクタイルミュージアム」や、木の上に建つ茶室建築「高過庵」など、異彩を放った建築作品を数多く手がけている。
そんな藤森建築の中でも一際目を引くのが、今回紹介する空飛ぶ泥舟である。
茅野市美術館『藤森照信展』のために造られた茶室
空飛ぶ泥舟は元々、2010年に茅野市美術館で開催された『藤森照信展』の展示物として制作された建築作品である。
展覧会の会期中は、茅野市美術館(設計:古谷誠章)の前庭に展示されており、会期後は茅野市にある藤森照信所有の私有地に移築されている。
また、この私有地には他にも「高過庵」や「低過庵」といった藤森建築も建てられている。
ワイヤーによる吊り上げ構造
空飛ぶ泥舟を空中にとどめるために藤森照信は、ワイヤーによる吊り上げ構造を採用している。
高さは地上から約3.5m。
一見すると船の両端を2本のワイヤーで吊り上げているようにも見えるが、正確には船の底にもワイヤーが走っており、ハンモックのように船体を持ち上げる構造となっている。
中へ入る時は、梯子を直接かけて登っていく。
粗い質感で仕上げられた本体
空飛ぶ泥舟は構造もさることながら、壁や屋根の仕上げも面白い。
屋根部分には手で曲げた波板銅板を使用しており、日本伝統の茅葺屋根の粗い質感を思わせる一方で、船底部分には土を塗って自然素材の粗さを表現している。
異質な構造・異質な形態をした建築物ながら、どこか周囲の自然にも調和した魅力的な作品である。
隣接する木の上に建つ茶室「高過庵」
先ほども簡単に言及したが、現在空飛ぶ泥舟が建っている藤森照信の私有地には「高過庵」という茶室建築も建てられている。
ワイヤーによって空に浮かびあげられた「空飛ぶ泥舟」に対して、「高過庵」は2本の木によって地上6m(最高高10m)の位置まで持ち上げられている。
高過庵の詳細については、以下の記事で解説している。
高過庵の詳細
空飛ぶ泥舟の建築データ
藤森照信の作品集
今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。