【建築解説】高過庵|藤森照信

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みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。

今回は、長野県茅野市に建つ茶室建築「高過庵」の建築的特徴について解説していたいと思います。

世界で最も危険な建物第9位にも選ばれた藤森照信建築です。

是非最後までご覧ください。

目次

髙過庵の建築的特徴

地上6mの木の上に建つ茶室「高過庵」

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長野県茅野市の西端、標高1,651mを誇る守屋山の麓に建つ茶室「高過庵」。

写真を見て分かる通り、この茶室は2本の細い木によって支えられ、地上6mという高過ぎる位置にまるで秘密基地のように建てられている。

まるでジブリの世界に登場しそうなこの建築を設計したのは、茅野市出身の建築家「藤森照信」である。

設計は建築と自然を融合した作風で知られる建築家・藤森照信

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藤森照信は、ジブリに登場しそうな自然と建築が一体になった建築作品を数多く手がけている日本人建築家である。

元々は、建築の歴史などを研究する建築史家として活動していた藤森照信だが、1991年45歳の時に建築家としてデビュー。

その後は「多治見市モザイクタイルミュージアム」や「空飛ぶ泥舟」など、異彩を放った建築作品を数多く手がけている。

そんな藤森建築の中でも一際目を引くのが、今回紹介する高過庵である。

2本の木で支えられた構造

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高過庵を支えている2本の木は、水に強く腐りにくいという特徴のある「クリの木」である。

元々この地に生えていた樹木というわけではなく、山の中から伐採してきたものを利用しており、土の中に埋め込む形で構造材として利用している。

2本にした理由は、3本や4本だと冒険性に欠けるが1本だと構造的に難しそうだという、非常にシンプルな理由である。

高さ(樹木の長さ)に関しても、本当は周囲に植わる木々から茶室が頭一つ飛び出す形にしたかったようだが、材料や構造的な問題から床下高さ6m・最高高さ10mで落ち着いたそう。

質感の強い仕上げ

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高過庵の壁や屋根は、樹木の自然的な質感に合わせるように、凹凸のある粗目の質感で仕上げられている。

具体的に見てみると、屋根は手で曲げを作った波板銅板を利用しており、日本伝統の茅葺屋根のような風合いを作り出している。

一方で外壁面は、左官仕上げの上に土を刷毛塗りしており、自然的な粗い質感を表現している。

世界でもっとも危険な建物トップ10に選出

高過庵は、アメリカのTIME誌が選ぶ「世界で最も危険な建物トップ10」の第9位に選出されている。

ちなみに、1位はイタリアの世界遺産「ピサの斜塔」である。

確かに、高過庵は歩くだけで建物が数センチほど揺れるらしいので、このランキングも納得である。

隣接するピラミッド型の「低過庵」

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上の写真を見ると、高過庵の足元にピラミッド型をした建物が建っているのがわかる。

これは、2017年に藤森照信の手によって設計された「低過庵」という茶室で、名前の通り高過庵と対照的な存在として建てられている。

低過庵は、地下に埋め込まれた竪穴式の茶室となっており、2段になった屋根は横にスライドして開閉できる仕組みになっている。

高過庵を見学する際にはぜひ一緒に注目しておきたい建築作品である。

高過庵の建築データ

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