みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は、モザイクタイル発祥の地である岐阜県多治見市に建つ「多治見市モザイクタイルミュージアム」の建築的特徴について解説していきたいと思います。
藤森照信の代表作です。
是非最後までご覧ください。
多治見市モザイクタイルミュージアムの建築的特徴
岐阜県多治見市に建つモザイクタイル専門博物館
モザイクタイル発祥の地であり、今もなおモザイクタイル生産量全国1位を誇る「岐阜県多治見市笠原町」。
そんなモザイクタイルと共に発展してきた多治見市に2016年、新たにモザイクタイルをテーマとした博物館建築が建設された。
建築の設計を務めたのは、自然素材を用いた設計スタイルで知られる建築家「藤森照信」である。
自然素材を建築に用いる藤森照信
藤森照信は、ジブリに登場しそうな建築作品を数多く手がけている日本人建築家である。
元々は、建築の歴史などを研究する建築史家として活動していた藤森照信だが、1991年45歳の時に建築家としてデビュー。
その後は、宙に浮く茶室建築「空飛ぶ泥舟」や、木の上に建つ茶室建築「高過庵」など、異彩を放った建築作品を数多く手がけている。
茶室など小規模建築を多く手がける藤森照信だが、今回紹介する多治見市モザイクタイルミュージアムは、藤森建築としてはかなり大規模な作品となっている。
モザイクタイルの原料は「土」
モザイクタイルとは、1枚の表面積が50平方センチメートル以下の小さいタイルのことを指す。
50平方センチメートルという事は単純計算で一辺が約7㎝ほどとなるが、主流なのは5㎝以下のタイル。洗面所やキッチンなどの壁にもよく用いられるため一度は見たことがあるだろう。
そんなモザイクタイルの原料は「土」である。
水分を含んだ粘土を一定の大きさに成形し、窯で焼成することによってタイルが出来上がる。
採土場をモチーフにした建築
モザイクタイルミュージアムは、タイルの原料である土を採掘する「採土場」をモチーフとして設計されている。
上の2枚の写真を見比べると、採土場の反り立つ地層面と、モザイクタイルミュージアムの反り立つ壁が瓜二つであることがわかる。
多治見市にいくつも存在する採土場の外観をモチーフにすることで、街並みと建築の調和を図りつつ、博物館にシンボル性ももたらした優れた建築作品となっている。
土壁に埋まる「磁器タイル」や「割れた食器」
採土場をモチーフとしたファサード全体には土が塗られており、再度状の荒々しい質感を見事に再現している。
また、その土壁には至る所に「磁器タイル」や「割れた食器」などが埋め込まれており、大きな外壁のアクセントとなっている。
もし、このアクセントがなかったら、この建築はもっと無骨なイメージになってしまっていただろう。藤森照信の鋭い感性が垣間見える。
屋根の縁に設置された「松の木」
横方向からモザイクタイルミュージアムの屋根面を見てみると、縁の部分にだけ松の木が配置されていることがわかる。
この植栽の詳しい意図はわからないが、おそらく採土場の背景に広がる木々をイメージしているのではないだろうか。
ほんのわずかな植栽ではあるが、この松の木があることによって建物に奥行きが生み出されている。
すり鉢状の敷地形状
モザイクタイルミュージアムの敷地は、中央に行くに地面が下がっていく「すり鉢状」の地形になっている。
そして、博物館の入り口はすり鉢の底の部分に設置されているため、来場者は緩やかな斜面を下りながら施設内部へアプローチすることとなる。
この、自然の力強さを感じられるアプローチ展開も、本博物館の魅力の一つである。
多治見市モザイクタイルミュージアムの建築データ
藤森照信の作品集
今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。