旭川駅とは?

旭川駅は北海道旭川市にある駅舎であり、JR北海道の鉄道高架化に伴う建て替えにより2011年に新駅舎が完成した。
設計を務めたのは、日本を代表する建築家内藤廣。
コンセプト「駅らしい駅」「川のある駅」
このコンセプトを基に、隣に流れる忠別川を意識しながら、大胆な架構の大屋根に覆われた駅らしい駅舎が計画された。

そんな、旭川駅の特徴をご紹介します!!
内藤廣とは?
- 1950 横浜市に生まれる
- 1974 早稲田大学理工学部卒業
- 1976 早稲田大学大学院修了
- 1979 菊竹清訓建築設計事務所勤務
- 1981 内藤廣建築設計事務所設立
- 2003 東京大学教授
内藤廣とは、多くの公共建築や文化施設などを手掛ける、日本を代表する建築家である。
代表作としては、「海の博物館」「牧野富太郎記念館」「島根県芸術文化センター」などが知られ、屋根天井などに木材をふんだんに使用した建築を多く手がける。
また、建築に関する著書も多く手がけており、文筆家・思想家としても知られている。
建築の特徴

旭川駅の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 街を再びつなぐ駅舎
- 全覆型の大屋根
- 大屋根を支える樹状柱
- 大胆なガラスカーテンウォール
- 木のぬくもりを感じる1,2階空間
- 1万人の名前が刻印された壁
街を再びつなぐ駅舎
旭川駅がある街はこれまで、鉄道とその横を流れる忠別川によって南北に分断されていた。
そんな街を再びつなぎ直そうと、次の2つをメインとした大規模再開発事業が行われた。
- 鉄道の高架化
- 橋(氷点橋)の新設
この再開発事業の核となる旭川駅には、1階部分に南北を貫通する自由通路が設けられ、街の中継役となっている。
全覆型の大屋根

旭川駅は、全長180m、幅60m、平行弦トラスの大屋根によって全体が覆われており、日本では類を見ない大胆な構成となっている。
このようなホームを覆う大屋根は、雪国の厳しい気候を考慮した結果、採用された構成だという。
この大屋根は、「日向市駅」「高知駅」でも内藤廣氏と共にチームを組んだ川口衞氏が構造設計を務めた。
「平行弦トラスとしては、大阪万博・お祭り広場以来の大きな屋根を実現」
内藤廣氏がこう述べるように、技術力の詰まった駅舎となっている。
大屋根を支える樹状柱

その技術力の詰まった大屋根を支えるのは、根元で4本に枝分かれしたピン構造の鉄骨柱「四叉柱」である。
この四叉柱は、白く塗装されているため、雪国特有の雪の積もった樹木のようにも見える。
四叉柱の足元には、歩行者が柱に頭をぶつけないように円形のベンチが設置されている。
大胆なガラスカーテンウォール

さらに、南北の壁面は両方とも、高さが13m近くあるガラスカーテンウォールになっている。
この構成により、ホームからは横を流れる忠別川や旭川の街並みを一望でき、外からは駅の樹状構造体が透けて見える。
上の写真を見ると、本当に樹木が並んでいるように見える。
木のぬくもりを感じる1,2階空間

3階のホーム階とは対照的に、1,2階の内部空間には木材が多用され、温かい空間がつくられている。
使用したのは北海道産のタモ材であり、フローリングや家具、野球のバットなど、幅広く使用される木材である。
一つ前の夜の写真のように、1,2階部分からは木材らしい温かい光が漏れ出し、そのうえに雪国らしい白に光る柱が見える構成は何とも幻想的である。
1万人の名前が刻印された壁

さらに、内壁の一部には、一般公募で募った1万人の名前を刻印した木材の壁が存在する。
上の写真では、左側の壁にずらっと刻印されているのがわかる。
このようなユーモアのある試みによって、市民が親しみ深い空間を作り出している。
建築概要
- 所在地:北海道旭川市宮下通
- 竣工 :2012年1月
- 用途 :駅舎
- 構造 :RC造、SRC造
- 高さ :26.311m
- 階数 :地上2階 塔屋1階
- 設計 :内藤廣建築設計事務所
- 施工 :旭川高架駅工区工事共同企業体
- 構造 :川口衞構造設計事務所
- 設備 :北海道旅客鉄道
施設概要
最後に・・・
以上が旭川駅の特徴でした。
ホーム階の大屋根、それを支える樹状柱、木材を多用した1,2階空間などが魅力的な建築になっていたと思います。

旭川を訪れる際は是非、旭川駅に立ち寄ってみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。