建築

秋田県立美術館【安藤忠雄】

秋田県立美術館とは?

photo by Nobuki Taoka/CC 表示-継承 3.0

秋田県立美術館は、秋田市の久保田城跡にある「千秋公園」のすぐそばに位置する美術館である。

千秋公園内にある旧秋田県立美術館(平野政吉美術館)を2013年に移転し、オープンしている。

設計を務めたのは、コンクリート建築で有名な建築家安藤忠雄

「ここにしかない魅力のある美術館」

このコンセプトを基に、旧美術館や千秋公園と連続した美術館となっている。

たけひこ
たけひこ

そんな、秋田県立美術館の特徴をご紹介!!

安藤忠雄とは?

  • 1941 大阪市港区に生まれる
  • 1969 安藤忠雄建築研究所設立
  • 1976 日本建築学会賞を受賞
  • 1989 ハーバード大学客員教授
  • 1997 東京大学教授に就任
  • 2012 国立競技場 審査委員長

建築に関わる者であれば、一度は耳にしたことがあるだろう建築家安藤忠雄。

安藤氏は大学には行かず独学で建築を学び、日本のみならず世界でも活躍されている特異な経歴の持ち主である

代表作としては、「頭大仏殿」「兵庫県立美術館」などが挙げられ、コンクリート打ち放しの建築が象徴的である。

建築の特徴

photo by 掬茶/CC 表示-継承 4.0

秋田県立美術館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。

  1. 三角形をモチーフとしたデザイン
  2. 三角形の屋根が印象的な「旧平野政吉美術館」
  3. 螺旋階段がある三角形のエントランスホール
  4. 三角形の階段室
  5. 光のラインが美しいラウンジ空間
  6. 千秋公園の堀と連続する水庭
  7. 横に長く連なる大開口
  8. 「秋田の行事」を展示する大壁画ギャラリー

三角形をモチーフとしたデザイン

photo by Nobuki Taoka/CC 表示 3.0

秋田県立美術館は、三角形をモチーフとしており、エントランスホールや階段室、建物形状にまで三角形という形態が反映されている。

この三角形は、旧美術館の象徴であった三角屋根と呼応した構成であるそう。

三角形の屋根が印象的な「旧平野政吉美術館」

photo by 掬茶/CC 表示-継承 3.0

久保田城跡の千秋公園内に建つ旧美術館「平野政吉美術館」。

この美術館は、採光窓が設けられた三角形のとんがり屋根が印象的であった。

この三角形の屋根形状は、秋田県民の心に深く刻まれた形態であるため、この形状を新しい美術館で踏襲することによって、親しみ深い施設になるよう意識したという。

美術館としては閉館した平野政吉美術館ですが、建物自体は現在も残されており、市民のための施設として機能している。

螺旋階段がある三角形のエントランスホール

photo by 掬茶/CC 表示-継承 3.0

そんな三角形の形状が顕著に表れているのが、来館者がまず通るエントランスホール。

ここでは、平面がコンクリートの壁によって三角形に切り取られ、中央には螺旋階段が配されている。

また、この螺旋階段は、先端部分がそれぞれの階の床と結合されているだけで、そのほかの部分は柱や壁についておらず、浮いているように見える。

三角形の階段室

エントランスホールの螺旋階段とは別に、階段室があり、この階段室でも三角形が用いられている。

平面を三角形に切り取る壁に沿って、階段が設けられ、その中心部が三角形の吹き抜けになっている。

さらに、この吹き抜けの天井に設けられたLEDライトによって、下には三角形の光が降り注ぐ。

光のラインが美しいラウンジ空間

photo by Sorasi photograph/CC BY-ND 2.0

先ほどの螺旋階段や階段室を上がると、2階にはラウンジスペースが現れる。

ここではさすがに三角形はないと思いきや、天井に設けられた線状の光が三角形を形作っている。

この光が魅力的なラウンジ空間だが、実は、写真右側の棚の奥にもっと魅力的な水庭空間が広がっている。

千秋公園の堀と連続する水庭

photo by Nobuki Taoka/CC 表示-継承 3.0

2階のラウンジ空間のガラスの外には水庭空間が広がっている。

この水庭越しに、千秋公園の緑豊かな景観や、旧秋田県立美術館の象徴的な三角屋根を望む。

さらに、「千秋公園の堀の水」と「水庭の水」が、ラウンジにあるソファに座ると連続して見え、その光景はまるで大壁画を見るようである。

横に長く連なる大開口

photo by 掬茶/CC 表示-継承 3.0

また、水庭に面した開口部は、建物の端から端まで連続しており、外の風景を大胆に切り取る。

しかし、その横に長い構成に対して高さは1.8mと低く抑えられている。

この構成によって、水庭の水平ラインを際立たせると同時に、見える景色を絞ることで、奥に見える千秋公園と旧美術館をより強調している。

「秋田の行事」を展示する大壁画ギャラリー

ラウンジの横には、2層吹き抜けとなった、縦にも横にも大きな展示室が広がっている。

この展示室は、藤田嗣治作品「秋田の行事」するためにつくられた大壁画ギャラリー。

「秋田の行事」は、縦3.65m、横20.5mと、かなり大きな作品であり、この美術館のメインとなっている。

建築概要

  • 所在地:秋田県秋田市中通
  • 竣工 :2012年6月
  • 用途 :美術館
  • 構造 :RC造
  • 高さ :19.217m
  • 階数 :地下1階 地上3階
  • 設計 :安藤忠雄建築研究所
  • 構造 :金箱構造設計事務所
  • 設備 :森村設計
  • 施工 :清水建設東北支店

施設概要

 個人団体
一般310250
シニア(70歳以上)280250
大学生210170
高校生以下無料無料

最後に・・・

以上が秋田県立美術館の特徴でした。

旧美術館の特徴的な三角屋根を踏襲し、随所に三角形が用いられた、魅力的な建築だったと思います。

たけひこ
たけひこ

秋田県を訪れる際は是非、秋田県立美術館に立ち寄ってみてください!!

ご覧いただきありがとうございました。

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