グッゲンハイム美術館とは?

グッゲンハイム美術館は、ニューヨーク・マンハッタンに建つ、象徴的な形態を持つ美術館である。
設計を務めたのは、20世紀を代表する建築家フランク・ロイド・ライト。
自然と調和する「有機的建築」
グッゲンハイム美術館は、ライトが提唱した「有機的建築」の思想が顕著に表れている建築として有名である。
そんな、グッゲンハイム美術館の特徴を今回ご紹介します!!
フランク・ロイド・ライトとは?




- 1867 アメリカに生まれる
- 1885 ウィスコンシン大学入学
- 1893 事務所設立
- 1959 死去(91歳)
フランク・ロイド・ライトは20世紀を代表する建築家であり、「ル・コルビュジエ」「ミース・ファン・デル・ローエ」と共に「近代建築の三大巨匠」として有名である。
代表作としては、「ロビー邸」「帝国ホテル」「落水荘」などが挙げられる。
「プレーリースタイル」や「有機的建築」といった自然と調和する建築的概念を数多く発表し、世界各地で多くの建築作品を残している。
建築の特徴




グッゲンハイム美術館の建築的特徴としては、次のような点が挙げられる。
- 有機的形状を持つ外観
- 螺旋状の動線
- スロープに沿って展示されるアート作品
- 上行くほど広がる展示空間
- 美術館で行われる「回顧展」
- 吹き抜け上の天窓
- 魅力的な形態を持つ分館
有機的形状を持つ外観




グッゲンハイム美術館は、白い外壁と竜巻のように渦巻く建物形状が特徴的である。
この曲線が用いられた形状は、ライトが提唱した「有機的建築」という思想を基に設計されている。
自然を形成している有機的形状に学び、建物が環境と溶け合いながら、利用する人とも調和するような建築のこと
この思想を基に設計されたグッゲンハイム美術館の有機的な外観は、地元民からは「カタツムリの殻」と呼ばれ親しまれている。
螺旋状の動線




「カタツムリの殻」と形容されるグッゲンハイム美術館の内部空間は、中央の大きな吹き抜けの周りを螺旋状に渦巻いたスロープが取り囲む構成となっている。
来館者はまずエレベータによってスロープの最上部まで上がり、そこから下へ降りていくという動線をライトは意図してこのスロープを設計したという。
さらに、このスロープは動線としてだけではなく、展示空間という用途も兼ねているという点が重要である。
スロープに沿って展示されるアート作品




スロープ外回りの壁にはアート作品が展示されている。
つまり、来館者はスロープという流動的な空間を歩きながらアート作品を楽しむことができるのである。
この構成は、従来の堅苦しい美術館施設の概念を、根底から覆すようなアイデアであった。
しかし、この構成は建築だけを見ると魅力的だが、床が傾斜しているためアート作品が見にくいといった点から、美術館建築としてはどうなのかという批判の声もあった。
上行くほど広がる展示空間




外観を見るとわかるが、螺旋状の空間は上に行くほど大きく広がっている。
ここで一旦脱線してしまうが、実はライトが意図した「上から下に降りていく」という動線計画は今ではほとんど「下から上に登っていく」ようになっているそう。
これは、美術館でよく行われる「回顧展」と、先ほど述べた「上に行くほど空間が大きくなる」という構成が影響している。
美術館で行われる「回顧展」




あらゆる美術館でよく行われる、一人のアーティストに焦点を当て、初期→晩年の作品を順に取り上げるという「回顧展」。
多くのアーティストは晩年に近づくほど大きな作品をつくる傾向がある。
この「回顧展」の性質上、上部の広い部分に晩年の作品を設置するのが最も合理的であるため、下から上へという動線にしているという。
しかし、ロイドの意図を知っている来館者も多く存在するため、上からでも下からでも作品を楽しめるような工夫がなされているという。
吹き抜け上の天窓




中央にある大きな吹き抜けの上部には、大きなトップライト(天窓)が設けられている。
このトップライトは、ガラスが2重になっているため、太陽光が拡散され、包み込むような優しい光を内部空間にもたらしている。
さらに、トップライトのデザインも魅力的であり、そこに入る自然光がスロープの壁面に投影され、多様な陰影をつくる様子は何とも言えない魅力がある。
魅力的な形態を持つ分館




グッゲンハイム美術館は、世界各国に分館を持っている。
そのなかでも有名なのがスペイン・ビルバオに建つ、「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」である。
現在でも世界的に活躍する建築家フランク・ゲーリーが設計を務め、ビルバオという街を世界中から観光客が訪れる観光スポットに変えてしまったほどの影響力のある建築物となっている。
建築概要
- 所在地:アメリカ ニューヨーク州 マンハッタン
- 竣工 :1959年
- 用途 :美術館
- 構造 :鉄筋コンクリート造
- 設計 :フランク・ロイド・ライト
最後に・・・
以上がグッゲンハイム美術館の特徴でした。
展示作品と同等、もしくはそれ以上の魅力を持った建築がマンハッタンの街の象徴となっていました。
是非一度、グッゲンハイム美術館を訪れてみてください!!
ご覧いただきありがとうございました。
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