みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営するたけです。
今回は、神奈川県の湘南エリア・藤沢に建つ「湘南T-SITE」の建築的特徴を解説したいと思います。
是非最後までご覧ください。
湘南T-SITEとは?
湘南T-SITEは、TポイントやTSUTAYAなどで知られる企業「CCC」が湘南エリア・藤沢に設立した、蔦屋書店を中核とする複合文化施設である。
建築の設計は、伊東豊雄事務所出身の2人の建築家によって設立された「クラインダイサムアーキテクツ」と大手組織設計事務所「日本設計」が共同で実施。
本施設はパナソニックが整備する「Fujisawa サスティナブル・スマートタウン」の一角に建てられており、新たに創造された住宅街のシンボル的存在にもなっている。
建築の特徴に関しては、以下で詳しく解説する。
設計者:クラインダイサムアーキテクツとは?
アストリッド・クライン
- 1962年 イタリアで生まれる
- 1988年 来日・伊東豊雄建築設計事務所勤務
- 1991年 クラインダイサムアーキテクツ設立
マーク・ダイサム
- 1964年 イギリスで生まれる
- 1988年 来日・伊東豊雄建築設計事務所勤務
- 1991年 クラインダイサムアーキテクツ設立
久山幸成
- 1973年 兵庫県赤穂市に生まれる
- 1996年 横浜国立大学卒業
- 1996年 クラインダイサムアーキテクツ所属
クラインダイサムアーキテクツは、伊東豊雄事務所出身の建築家「アストリッド・クライン」と「マーク・ダイサム」によって東京・渋谷の地に設立された建築設計事務所である。
1996年からは、横浜国立大学出身の建築家「久山幸成」も事務所の主要メンバーとして加入し、新体制で設計活動を再スタートしている。
代表作としては「代官山T-SITE」「湘南T-SITE」「柏の葉T-SITE」などが挙げられ、蔦屋書店に関する店舗を複数手がけていることでも知られている。
上記3作品もそうだが、クラインダイサムアーキテクツの建築作品には、美しい白色を基調として外観を仕上げているものが多いイメージがある。
湘南T-SITEの建築的特徴
ニュータウンの一角に建つT-SITE
パナソニックが神奈川県藤沢市で進める再開発事業「Fujisawa サスティナブル・スマートタウン」。
この湘南エリアに新しく整備されたニュータウンのシンボル的存在として建設されたのが、今回紹介する湘南T-SITEになる。
そのため、施設の周囲には一般的な戸建て住宅が立ち並んでおり、閑静な住宅街が形成されている。
ズレながら並列する8つの直方体ボリューム
航空写真を見るとわかりやすいのだが、湘南T-SITE全体は、8つの直方体ボリュームが前後にズレを生じさせながら、並列配置された構成となっている。
この「ズレ」という一見小さな要素が、実は重要な役割を果たしている。
ズレで生まれる内外の繋がり
本建築では、直方体ボリュームにズレを生じさせながら並列配置した上で、そのボリュームの1面にガラス面を設けている。
つまり、門型フレームをいくつも重ね合わせたような構成となっているわけだ。
このズレとガラス面を融合することによって、上の写真のように内外につながりが生まれる。
そして、もちろん複数のボリュームを並列させているのだから、その分施設の至る所で内部と外部のつながりが増える。
ズレで生まれる豊かな余白空間
さらに、ズレは内外のつながりだけでなく、豊かな余白空間も生み出す効果がある。
上の写真のように、ボリュームのズレ+ボリューム間に一定の距離を作ることで、そこがテラス・広場・通路空間となり、施設外部にまで豊かな空間がつくられ始める。
この豊かな余白性は、代官山T-SITEでも取り入れられている設計手法である。
蔦の葉をモチーフとした外壁
湘南T-SITEの美しい白い外壁には、蔦屋書店のシンボルでもある「蔦の葉」をモチーフとした仕上げがなされている。
この仕上げにはもちろん、蔦屋書店のシンボル化といる意図はあるだろうが、それ以上にファサードに陰影が生まれることで、施設全体に多様な表情を作り出す効果ももたらしている。
ちなみに、柏の葉T-SITEでは同じ「蔦の葉」、代官山T-SITEではこれまたTSUTAYAの象徴である「T字」をモチーフとした外壁仕上げがなされている。
建築概要
- 設計:クラインダイサムアーキテクツ・日本設計
- 住所:神奈川県藤沢市辻堂元町
- 竣工:2014年
- 用途:物販店舗・サービス店舗・飲食店舗
- URL:公式ページ
その他のT-SITE建築
代官山T-SITE
枚方T-SITE
柏の葉T-SITE
今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。