みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」といいます。
今回は、北海道札幌市内にある魅力的な美術館・博物館10選をご紹介したいと思います。
北海道の道庁所在地だけあって、札幌市にはアイヌ文化を紹介する博物館から、ビール専門の博物館まで多種多様な芸術文化施設が揃っています。
本記事では、そのような変わった博物館はもちろん、建築として魅力のある美術館などもご紹介しているので、札幌市を刊行する際は、是非参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
札幌市にある美術館・博物館10選【アイヌ文化~ビール博物館まで】
1.北海道立近代美術館【太田実】
- 展示:北海道関連の美術品を中心に展示
- 設計:太田実
- 竣工:1977年
- 用途:美術館
- 住所:北海道札幌市中央区
- URL:公式ページ
北海道立近代美術館は、アートの普遍的価値の継承・発展などを目的として、1977年・北海道札幌市の中心部に建設された美術館建築である。
設計を務めたのは、長年、北海道大学で教鞭をとっていたことで知られる建築家「太田実」である。
本施設は、上から見ると「十字型平面」をしているが、南北方向から見ると「山型立面」をしており、ちょっと特殊な形態の美術館建築になっている。
しかし、初めからこのような形態の建築物にしようと決めて設計されたわけではなく、機能面・設備面・構造面など、あらゆる条件を総合的に判断した結果、このような形態に着地したという。
2.ガラスのピラミッド【イサム・ノグチ】
- 展示:あらゆる美術品の展示
- 設計:イサム・ノグチ
- 竣工:2003年
- 用途:ギャラリー レストラン 公園
- 住所:札幌市東区丘珠町
- URL:公式ページ
*本施設は、美術館・博物館ではなく「ギャラリー」です。魅力的な施設であるため今回は一緒に紹介します。
ガラスのピラミッドは、北海道札幌市の市街地に隣接する位置にある「モエレ沼公園」の中に建つ、ギャラリーやレストランなどの機能が入った複合施設である。
モエレ沼公園全体の基本設計を務めたのは、日本の父とアメリカの母を持つ彫刻家「イサム・ノグチ」であり、このガラスのピラミッド自体も本計画の最重要施設として、イサム・ノグチが基本設計を務めた。
建築としては「ピラミッド」と「直方体」を組み合わせた幾何学的な形態をしており、イサム・ノグチの友人であるイオ・ミン・ペイが設計した「ルーブル美術館」のオマージュだともいわれている。
残念ながら、マスタープランが完成した直後にイサム・ノグチは急逝してしまいましたが、彼の遺志を実現するために、イサム・ノグチ財団(ショージ・サダオ)監修のもとで本施設は完成している。
3.北海道立三岸好太郎美術館【岡田新一】




- 展示:画家・三岸好太郎の作品を展示
- 設計:岡田新一
- 竣工:1983年
- 用途:美術館
- 住所:北海道札幌市中央区
- URL:公式ページ
北海道立三岸好太郎美術館は、札幌出身の画家・三岸好太郎の顕彰を目的として、北海道札幌市に建設された道立美術館である。
設計を務めたのは、「警視庁本部庁舎」や「最高裁判所」など、国の重要施設を数多く手がけたことで知られる建築家・岡田新一だ。
1枚目の写真を見ると、箱型の建築のようにも見えるが、実は上から見ると「縦に長い八角形」の形をしており、周囲は緑豊かな自然に覆いつくされている。
また、建築自体は「白い磁器タイル」で覆われた外壁と「銅板葺き」の傾斜屋根が落ち着いた雰囲気を作り出し、周囲の景観と調和した美術館を形成している。
4.札幌芸術の森美術館【久米建築事務所・日本都市開発】




- 展示:森に関する作品の展示など
- 設計:久米建築事務所・日本都市開発
- 竣工:1990年
- 用途:美術館
- 住所:北海道札幌市南区常盤
- URL:公式ページ
札幌芸術の森美術館は、札幌市にある緑豊かな都市公園「芸術の森」の中に建つ美術館建築である。
北海道にゆかりのある作家の作品を保存・展示するとともに、国内外の優れた現代アート作品や、森に関する作品の収集なども多角的に行っている。
本施設は、日本の大手組織設計事務所「久米建築事務所(現・久米設計)」と「日本都市開発」の共同設計で建設された。
本施設のコンセプトは「調和」と「対比」。
高さを抑え、テラスや中庭を施設内に設けることによって周辺の豊かな環境と「調和」を図りつつ、人工と自然・静と動といった対立的な要素を複合させることで「対比」した空間をつくり上げている。
5.サッポロビール博物館【大成建設】
- 展示:ビールに関する資料や機械などを展示
- 設計:大成建設(改修設計)
- 竣工:1890年
- 用途:博物館
- 住所:北海道札幌市東区北
- URL:公式ページ
サッポロビール博物館は、1903~1965年まで「ビール工場」として利用されていた煉瓦造の建物を改修し、ビールに関する資料や機械などを展示する博物館として1987年に開館した施設である。
博物館が入る煉瓦造の建物は、1890年に「製糖工場」として建てられたもので、その歴史はなんと130年以上。
本施設の博物館への改修は、日本のスーパーゼネコン「大成建設」が担当している。
内部には、ビールの飲み比べができる「スターホール」、ビール製造業発展の様子を展示した「サッポロギャラリー」、サッポロビールオリジナルグッズを販売する「ミュージアムショップ」など様々な機能が入っている。
6.北海道博物館【佐藤武夫】
- 展示:北海道の自然・歴史・文化に関する展示
- 設計:佐藤武夫設計事務所
- 竣工:1970年
- 用途:博物館
- 住所:北海道札幌市厚別区厚別町小野幌
- URL:公式ページ
北海道博物館は、北海道の自然・歴史・文化に関する作品の保存・展示を目的として、1970年北海道札幌市に建設された総合博物館である。
本博物館では、単に過去の資料を展示するだけでなく、「模型」「ジオラマ」「映像」といった多角的な方法で北海道の歴史や文化を伝えているため、子どもから大人まで多世代が楽しめる博物館となっている。
本建築の設計は、現在の大手組織設計事務所「佐藤総合計画」の生みの親である「佐藤武夫」が担当。
建築としては、正方形平面をした非常にシンプルな形態となっているが、その形態はレンガによって全面が覆われており、周囲の自然環境と調和しつつ、落ち着きのある外観を作り出している。
7.札幌市青少年科学館【設計者不明】




- 展示:あらゆる科学に関する展示
- 設計:不明
- 開館:1981年
- 用途:博物館
- 住所:北海道札幌市厚別区
- URL:公式ページ
札幌市青少年科学館は、創造性豊かな青少年を育成することを目的として、1981年北海道札幌市に開館した科学博物館である。
具体的な展示内容としては「プラネタリウム」「無限反射装置」「ななめの部屋」など、あらゆる体験型展示がなされており、小さいお子さんでも楽しめる博物館となっている。
建築としては、設計者は不明だが、箱型を組み合わせたかのような形態に、ガラス張りとタイル張りを組み合わせたスタイリッシュな外観をしており、科学館らしい構成となっている。
8.アイヌ文化交流センター【パシフィックコンサルタンツ】
- 展示:アイヌ民族の衣服や民具などを展示
- 設計:パシフィックコンサルタンツ
- 竣工:2002年
- 用途:博物館
- 住所:北海道札幌市南区小金湯
- URL:公式ページ
アイヌ文化交流センターは、アイヌ民族の生活・歴史・文化などをテーマとする歴史博物館であり、施設内では復元製作した、約300点に及ぶアイヌ民族の衣装や民具などを展示している。
さらに、この博物館が面白いのは、展示している衣装や民具を実際に手にとって触ることができるという点である。
普通の博物館でそんなことをしたら、おそらく出禁を食らうであろう。
また、本施設の屋外には、昔アイヌ民族がすんでいた「チセ(家屋)」や「プ(倉)」などを再現した展示が行われており、屋内外を広々と活用した施設構成も魅力の一つとなっている。
ちなみに本施設の設計は、建築物に関わる企画・計画・設計・工事監理などを総合的に行う企業「パシフィックコンサルタンツ」が担当している。
9.札幌市交通資料館【設計者不明】
- 展示:札幌市を走っていた電車やバスなどを展示
- 設計:不明
- 開館:1975年
- 用途:博物館
- 住所:北海道札幌市南区真駒内東町
- URL:公式ページ
札幌市交通資料館は、過去に札幌市内を走っていた地下鉄・市電・バス等の保存・展示を行うと共に、運転手の制服や模型などの展示も行っている、交通関連博物館である。
本施設は、札幌市営地下鉄南北線自衛隊前駅の近くの「高架下」に設置されており、現役の車両が稼働する様子を感じながら、昔の車両を鑑賞できる面白い博物館となっている。
2023年9月現在、本施設は地下鉄高架部(橋脚)補修工事に伴い休館中で、この工事と同時に本博物館も新たな建物を建設することとなり、2024年春ごろにリニューアルオープンを予定している。
10.札幌オリンピックミュージアム【設計者不明】
- 展示:オリンピックの歴史やウィンタースポーツの体験型展示など
- 設計:不明
- 開館:2000年
- 用途:博物館
- 住所:北海道札幌市中央区宮の森
- URL:公式ページ
札幌オリンピックミュージアムは、1972年に行われた札幌オリンピックやウィンタースポーツに関する展示を行う施設として1980年に開館した博物館である。
開館当初、本施設は札幌市中央区に存在していたが、2000年になると「大倉山ジャンプ競技場(札幌オリンピックで使用)」が隣接する現敷地に移設され「札幌ウィンタースポーツミュージアム」という名称で再オープン。
その後、大規模リニューアルを経て2017年「札幌オリンピックミュージアム」としてリニューアルオープンを果たしている。
本施設は、湾曲した平面形態を持つ本館と、四角形の平面形態を持つ「アネックス」の2つの建物で構成されており、その2つの棟が大倉山ジャンプ競技場のジャンプ台と並行するように並べられている。
建築の設計者は不明だが、水平性のある外観や下層に設けられたピロティ空間などを見ると、ル・コルビュジエが代表するモダニズム建築に強い影響を受けた作品であることは間違いなさそうだ。
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今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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