みなさんこんにちは、本サイト・建築LIFEを運営している「たけ」です。
今回は、広島県尾道市の有名建築物6選をご紹介したいと思います。
尾道市は自然豊かな街であるのと同時に、谷尻誠や安藤忠雄、青木淳といった有名建築家が手がける魅力的な建築作品も数多く存在する地域になります。
本記事では、それら建築物の特徴をわかりやすく解説しているので、尾道観光をする際には是非本記事を参考にしてみてください。
では早速本題に入ります。
尾道市内の有名建築物6選【谷尻誠・安藤忠雄・青木淳など】
1.ONOMICHI U2【谷尻誠】
ONOMICHI U2は、日本初のサイクリスト向けに特化した複合商業施設である。
併設されているホテルでは、全室自転車が持ち込み可能で、壁にはサイクルハンガーが設置されているという、サイクリストからするとこれ以上にない充実したホテルとなっている。
建築の設計は、広島県出身の建築家「谷尻誠」が行った。
本施設は、もともと倉庫として利用されていた建物を、構造体はそのまま残しつつ内部を改装することによって商業施設へと転用している。
具体的には、既存の鉄筋コンクリート造の柱の間に、新たな鉄骨造の小さな建物をいくつも作ることで、倉庫の中に尾道特有の小さな街並み風景を再現した建築物となっている。
2.千光寺頂上展望台【AS】

- 設計:AS
- 住所:広島県尾道市東土堂町
- 竣工:2022年
- 用途:展望台・ロープウェイ駅舎
- URL:建築詳細ページ
千光寺頂上展望台は、広島県尾道市にある千光寺山の山頂に建つ展望台施設である。
本建築は、青木淳と品川雅俊による建築事務所「AS」が設計を担当。
建築全体は、全長63mの直線状の「展望デッキ」と、きれいな曲線を描く「螺旋階段」、展望デッキの端に設けられた「エレベーター」という3つの要素で構成されており、美しい尾道の街並みを眺めながら魅力的な空間体験ができる施設となっている。
千光寺の山頂へは、尾道特有の坂道を登ってくるか、バリアフリー化されたロープウェイで登ってくるかの2択なのだが、この展望デッキではその選択肢を「螺旋階段」と「エレベーター」という2つの要素に落とし込み、千光寺の体験を写し取ったかのような空間体験を作り出している。
建築詳細ページ

3.尾道市立美術館【安藤忠雄】

尾道市立美術館は、尾道にゆかりのある画家の作品を中心に収蔵・展示等を行う公立美術館である。
建築の設計は、世界的建築家「安藤忠雄」が務めた。
本施設の開館は1980年だが、2003年に大規模なリニューアルを行い、その際には既存の日本伝統様式を持つ「本館」を改修しつつ、その前面に新たに「新館」を建設する形をとっている。
安藤忠雄によって新設された「新館」は、ガラスのファサードの中にコンクリートの展示室を収めた安藤忠雄らしい構成となっているが、建物上部には下から見ると切妻屋根のようにも見える庇が設置されており、周辺環境や既存棟との調和を図っていることが読み取れる。
4.メインダイニング エレテギア【中村拓志】
メインダイニング エレテギアは、広島県尾道市にあるリゾートホテル「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」のメインダイニングが入った建物である。
建築の設計は、隈研吾事務所出身の建築家「中村拓志」が担当。
この建築では、ガラス以外の壁を設けないことで周辺の自然豊かな風景を内部でも堪能できるようになっている。
日本は地震が多い国なので、通常は耐震壁などの水平荷重を負担できる構造物を設置しなければならないのだが、この建築では壁がない分の地震力の負担は、柱を「細い2本の鉄骨とそれをつなぐ短い横材」で構成することで水平荷重に対応できる構造体へと変化させている。
さらに、鉄骨やガラス張りの冷たい印象を、屋根の木組みによってやさしい温かみのある空間に変化させているのも魅力的な建築物である。
5.Ribbon Chapel【中村拓志】

Ribbon Chapelは、広島県尾道市にあるリゾートホテル「ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道」の施設として建設された、主に結婚式などを行う礼拝堂建築である。
建築の設計は、隈研吾事務所出身の建築家「中村拓志」が担当。
この建築は、二つの螺旋階段が複雑に絡みあった構成が印象的な外観を形成しているが、中村拓志曰く、これは結び合う行為を空間化したものであるそうだ。
このチャペルでは、祭壇への経路が、新郎と新婦がそれぞれ別の階段を上っていき、頂上で出会う構成となっている。
こんな魅力的な空間で結婚式を挙げられたら幸せだろう。
6.ガンツウ【堀部安嗣】

- 設計:堀部安嗣建築設計事務所
- 住所:広島県尾道市浦崎町
- 竣工:2017年
- 用途:客船
- URL:公式ページ
ガンツウとは本来、瀬戸内海でとれる小さなイシガニの呼び名である。
しかし、ここで言うガンツウは、尾道を拠点に宿泊型クルーズを行っている「客船」のことを指す。イシガニのように親しまれる客船になってほしいという願いを込めてこの名称が与えられたそうだ。
ガンツウは客船であるが、設計を行ったのは京都芸術大学で教授を務める建築家「堀部安嗣」である。
堀部安嗣は「瀬戸内海との調和」を最優先事項としてこの客船を設計している。
具体的には、舟の上部に瀬戸内海沿岸に広がる街並みと調和するような「切妻屋根」を乗っけたり、船体をシルバーで塗装することで周囲の景観に溶け込むようにしたりと、素材や形態による瀬戸内海との調和を試みている。
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今回はこれで以上になります。
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