みなさんこんにちは、本サイト「建築LIFE」を運営しているたけです。
今回は「坂の街」として有名な、広島県尾道市・千光寺山頂上に建つ「千光寺頂上展望台PEAK」の建築的特徴を解説していきたいと思います。
世界的建築家・青木淳による魅力的な展望施設です。
是非最後までご覧ください。
千光寺頂上展望台PEAKの概要

千光寺頂上展望台PEAKは、広島県尾道市・千光寺山の山頂に建つ展望台施設である。
愛称「PEAK(ピーク)」は、頂上を意味している。
建築の設計は、青木淳と品川雅俊が代表を務める設計事務所「AS」が担当。
施設全体は、全長63メートルの「直線型展望デッキ」とその展望台に繋がる「螺旋階段」、そして「垂直のエレベーターシャフト」という3つの要素で構成されており、回遊的な展望施設を作り出している。
設計者:ASとは?
ASは、世界的建築家「青木淳」と「品川雅俊」が共同で代表を務める設計事務所である。
ASの前身は「青木淳建築計画事務所」であり、元々青木淳の事務所でチーフを務めていた品川雅俊を新たにパートナーとして迎え入れた形でASは設立された。
建築界では割と有名な話なのだが、青木淳の事務所では、所員は基本的に長期滞在はせず、ある程度経験を積んだら出ていくという方針を取っている。
しかし、品川雅俊に関しては例外で、青木淳からかなり信頼されていたのか、12年にもわたり事務所に勤務していた。
そして2020年、ついに青木淳は品川雅俊をパートナーとして迎え入れたのである。
千光寺頂上展望台PEAKの建築的特徴
全長63メートルの直線型展望デッキ

千光寺頂上展望台は上の写真の通り、全長63メートルにも及ぶ、直線型の展望デッキとなっている。
元々この地には円形の展望台が建っており、計画当初はその展望台とロープウェイをつなぐ「橋」のような建築を建てる構想をASはしていた。
しかし、耐震性などの問題から既存展望台の存続が不可能だとわかり、計画が白紙に戻りかけたのだが、当初の「橋のような建築」というアイデアは残り、結果的にこのような変わった展望台が完成したのである。
展望デッキへとつながる螺旋階段

本施設が建つ尾道市は「坂の街」として有名である。
そして、その尾道特有の坂道(厳密には階段)が作り出す魅力的な空間体験を、この千光寺頂上展望台でも螺旋階段という要素によって再現しているのだ。
この螺旋階段の存在意義はかなり大きい。
もし、直線型の展望デッキしかなかった場合、この展望台はかなり退屈な空間になってしまっていただろう。
ロープウェイから連続するエレベーターシャフト

螺旋階段とは反対側の展望デッキ東端には、垂直性の高いエレベーターシャフトが設置されている。
このエレベーターシャフトは、バリアフリー化されたロープウェイに隣接しており、体が不自由な方でも千光寺山を登り展望デッキにまで到達することができるようになっている。
螺旋階段とエレベーターシャフト。この2つの要素によって地上と展望デッキが接続され、回遊的な展望空間を作り出しているのである。
尾道という街の拡張

ここまで読んでいただければ、気が付いた方もいるかもしれないが、この展望台では「尾道」という特異な街の建築化を図っている。
尾道特有の坂が作り出す空間体験をおおらかな螺旋階段で再現しつつ、ロープウェイでの体験をエレベーターシャフトによってさらに拡張しているのである。
つまりASは、尾道の街並みを少しだけ上空に拡張したともいえるのではないだろうか。
青木淳の代表作

今回はこれで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。